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天に愛された王女は、王国を再興します!  作者: Hälou


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4.静寂と足音①

サンドライト教国へ!!

ザファリア帝都の重厚な石門をくぐり、一行は南へ続く街道を進んでいた。


日暮れが近づき、空が茜色に染まる頃、ビアードは周囲の安全を確認すると、街道から少し離れた森の入り口で野営の準備を始めた。オフィリアとともに馬車に座るコーネリアスは、慣れない旅の疲れからか、ふと表情を曇らせる。


「大丈夫ですか、コーネリアス殿。お疲れのようですが」


ビアードが静かに声をかけると、コーネリアスはかすかに微笑み、首を横に振った。


「いいえ。少し、この先が不安になっただけです。」


彼女の不安を察したビアードは、焚き火の準備を進めながら、力強く答えた。


「ご安心ください。私は野営や旅には慣れていますから。私たちで、必ずや王女様をフォースフォリア王国までお護りいたしましょう。」


その言葉に、コーネリアスはうなずいた。


その夜、焚き火の揺れる炎の光が、あたりを幻想的に照らしていた。コーネリアスは、眠りについたオフィリアの手を優しく握り、その小さな寝顔を見つめる。


(姫様はすごい力を持ってるんだよね。魔人たちは呪われた力とかって言ってるけど。)


いつしか、コーネリアスもオフィリアの穏やかな寝息に合わせて、安らかな眠りに落ちていった。


その穏やかな夜の闇に、蠢く幾つかの影があった。


遠くの岩場から野営地を偵察する、盗賊の一団が身を潜めていた。彼らは獲物を見つけたとばかりに、静かにビアードたちの動向を追っていた。


しかし、彼らの歩みは、ある一点でピタリと止まった。


焚き火の横に立つ、護衛から放たれる、ただならぬ気配。ザファリア近隣国では知らないものはいない、王国副騎士団長の姿を。ビアードは、目を閉じていても、その全身から歴戦の戦士としての威圧感を放っていた。


副団長が守るべき馬車の中には身分の高き者がいることを盗賊たちは気づいていた。しかし、その圧倒的な気配を前に、手出しはできず、無言のまま闇の中へと消えていった。



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ザファリア帝都を出て数日、一行は引き続き南へ続く街道を進んでいた。


一方、オフィリアが乗る馬車をみつけた盗賊たちはアジトへ帰り、首領たちに報告していた。


「バンの親分。報告するっす。ザファリア王国騎士副団長ビアードらしき人物が一人で馬車を守っていたっす。

 見たことない子供も馬車へ入っていくのをみたっす。おそらく身分の高いものを護衛してると思うっす!!」


それを聞きバンはダンと顔を見合わせ、にやりと笑う。


「懐かしい名前だ。ビアードか。見間違いじゃないだろうな?そんな副騎士団長ともあろうものが一人で馬車を守るなんてありえねえ。」


部下の一人が、恐る恐る口を開く。


「ビアードって名前くらいは聞いたことありますが、そんな凄いんすか??」


今度はバンがその部下を睨みつけ、荒々しく言葉を継いだ。


「馬鹿を言え。ザファリアといえば大陸随一の軍隊を持つ。そこの副団長だぞ。想像できないか?。数十万人の軍隊を束ねる副団長の凄みが。」


「それはおっかないっすね。なんでそんな人間が馬車の護衛だなんて。」


ダンはそんなバンの様子を黙って見ていたが、ダンはよだれを垂らしながら、拳を強く握りしめ、言い放つ。


「あの時の借りを返してやるじぇえ。許せないじぇえ。ビアードォ。」


バンは落ち着いた口調で弟を制する。


「落ち着くんだ。まだ確証はねえ。しっかりと下調べをしてからだ。もし本当にビアードならば大変なことになったぞ。ククク。」


バンはそう述べ、再度笑みを浮かべた。




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「ビアード様、この道はネリアン地方に向かう道ですか?地図にはそう示されています。」


馬車から顔を出したコーネリアスが尋ねると、ビアードは頷いた。


「はい。そうですが、ご安心を。ネリアン地方は、火山地帯、王女様の身に何かあってはなりません。


 そのため、少々遠回りになりますが、私たちはネリアンの暑さを避けて、西へと迂回し、サンドライト教国を目指します。」


その言葉に、コーネリアスは安堵の表情を浮かべた。




旅は順調に進み、夜闇に怯えることもなく、日中は静かに街道を進んでいく。オフィリアは馬車の中で穏やかに眠り、その小さな寝息が、揺れる車内を静かに満たしていた。


コーネリアスは、時に窓の外を流れる景色を眺め、時にオフィリアの寝顔を見つめながら、穏やかな時間を過ごしていた。


ビアードは馬の手綱を引きながら周囲への警戒を怠らない。しかし、道中、不審な影はなく、時が過ぎていた。


数日後、一行の目に、太陽の光を反射して輝く白い街並みが飛び込んできた。それがサンドライト教国の首都ルミナリアだった。


その街は、教皇を元に特に信仰が厚い地域であり、街全体が巨大な教会のように白く、神聖な雰囲気を放っていた。門番は旅人の身分を細かく尋ねることなく、ただ穏やかな微笑みで一行を迎え入れた。


街に入ると、旅の疲れは癒され、ビアードたちは心地よい安堵感に包まれた。


コーネリアスは馬車から降り、オフィリアを抱きながら、ビアードに感謝の言葉を伝えた。


「ビアード様、本当にありがとうございます。ここなら、ゆっくりできそうですね」


「お気になさらず。コーネリアス殿。これが私の務めですから」


二人は宿を取り、荷物を片してから街へ赴いた。


街では、人々の生活が穏やかに営まれており、オフィリアの幼い好奇心をくすぐるものがたくさんあった。


コーネリアスは、オフィリアにパン屋で焼きたてのパンの香りを嗅がせたり、花屋で色とりどりの花を見せてあげたりした。


オフィリアは、普段見ることのできない景色に目を輝かせ、楽しそうに笑った。その屈託のない笑顔は、コーネリアスとビアードの心を温かく満たした。




数日間という束の間の平和な時間が過ぎ、旅の再開が近づいていた。


翌朝にサンドライト教国を断つため、ビアードとコーネリアスはオフィリアを抱いて街へ買い出しに出ていた。


穏やかな街の空気の中、三人は露店を回り、旅に必要な食料や日用品を買い揃える。オフィリアはコーネリアスの腕の中で、きょろきょろと目を動かし、街の賑わいを楽しんでいた。


買い物と夕飯を終え、宿に戻った一行は、馬車へ荷を詰めていた。



その時、夜闇に紛れて、道の両サイドから、複数の人影が現れた。

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