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天に愛された王女は、王国を再興します!  作者: Hälou


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1.歩み②

通路を抜けた先は、城壁の裏に隠された、人通りの少ない裏通りだった。


王国内でオフィリアの本当の姿を知る者はいない。


「フィーナちゃん!!」


――数週間前。


オフィリアは、コーネリアスと城壁外に出るために城下の裏通りを歩いていた。


「ほんと最近調子がよくないね。魔晶球も無料じゃないし、こうも火がつかないと商売あがったりだよ。」


「誰かー。修理が得意な人いないかー??」その声は、パン屋を営むマルタさんのものだった。


「どうかしましたか??」コーネリアスは親しげに声をかけた。


「あぁ。コーネリアスちゃんとフィーナちゃんじゃないか。最近火の調子が悪くって。直せる人がいないか探してるんだけどねぇ。」


「わ、わたし少しだけ勉強したことがあります!」オフィリアが声をあげる。


「ほんとかい!?ちょっとみてみておくれよ。」


「は、はい!!」オフィリアは緊張しながらも、マルタさんの自宅で故障の原因を探っていた。


「(姫様。すぐに直りそうですか?)」コーネリアスが小声で耳打ちをする。


「うん。ちょっと魔晶球の術式が焼けてるみたい。すぐに付与しなおすから待ってて。」オフィリアは周囲に誰もいないことを確認し、コーネリアスに話しかけた。


「マルタさん。少し危ないかも知れないので外へ。」コーネリアスがマルタを道まで連れ出そうとした。


「そんな危ないって。フィーナちゃんは大丈夫なのかい!?」マルタさんは心配そうに覗き込む。


「姫、おほんっ。フィーナは趣味で機械いじりをよくしているので大丈夫です。」


コーネリアスは、あえて声色を変え、王女の偽の肩書きを口にした。


「じゃあ任せるけど無理だけはしないどくれよ。」


オフィリアは火元に設置されている魔晶球を取り出し、両手で覆い隠す。彼女の小さな体から、純粋な魔力が魔晶球へと流れ込んでいく。


「これで大丈夫かな。あとは魔力を保管すればっと。」



「できたっ!!」



「ほんとうかい!?ありがとう。すこしみてみるよ。」


その声にマルタはオフィリアの元へと駆け寄り、すぐに火を点けた。


「ほんとうだ。しっかりと付くじゃないか。ありがとう。本当に助かったよ。」マルタの顔が笑顔で輝く。


「お力になれてよかったです。」オフィリアは心からの微笑みを浮かべた。


「いつも助けてもらってばかりだけど、またご飯でも食べにおいで。」


「はい!また御伺いしますね!」


「いつでもおいで!!」


――現在。


「フィーナちゃん!!この間は助かったよ。これ、うちで焼いたパンだよ。少しだけど持ってっとくれ!」


「あ、ありがとうございます!!うわぁ。マルタさんのパンはいつも美味しそう。」まだ温かいパンを受け取りオフィリアは満面の笑みになった。


「(姫様。いくら知っている人だからって、あまり外で他人からの食べ物は受け取らないでください。)」コーネリアスは小声でオフィリアに耳打ちをする。


「いいんだよこれくらい。いつものお礼さ。ほら、あんたもよ!」コーネリアスの囁きを遮るようにマルタは続ける。


「あ、どうも。ありがとうございます。後でいただきます。」コーネリアスもその迫力に押されパンを受け取った。


「しっかり食べて大きくなるんだよ!!またね!」そう言い残すとマルタは自宅へ戻っていった。


そういって去っていくマルタに二人は一礼をした。


「コーネリアスだって、結局受け取ってるじゃん。」オフィリアは頬を膨らませながらコーネリアスに皮肉めきながらも笑いかけた。


「食べ物に罪はありませんから。そして私は姫様より丈夫です。」


「わたしだって丈夫だもん。」


オフィリアはもらった温かいパンを丁寧にカバンの中にしまい込んだ。


賑わう大通りを抜け、二人は城下町の外縁、市門へと到達した。


門を警護する兵士たちが、コーネリアスの姿を視認した瞬間、わずかに背筋を伸ばすのがわかった。


「みなさまお疲れ様です。」


コーネリアスは兵士たちに挨拶と軽い会釈をした。


「コーネリアス様!どこかへお出かけでしょうか!」


若い兵士がコーネリアスに歩み寄り、緊張した面持ちで挨拶をする。


「はい。近くの村まで様子を見に行こうかと思っています。」


「そうでしたか!お気をつけて!後ろの方もご一緒ですか??」


兵士はフードを深く被ったオフィリアを一瞥した。


「はい。昔からの友人で、私の調査に付き合ってもらっているのです。共に村へ向かいます。」


コーネリアスは、わずかに威厳を込めた声で言い切った。


「そうでしたか。コーネリアス様のご友人ならば、問題ありません。どうぞお通り下さい!」


「感謝します。行こう、フィーナ。」


「うん。…ありがとうございます。」


オフィリアも軽く会釈をし、フードを深くしたまま、コーネリアスに続いて門を出た。


「コーネリアス様・・・。いつか自分に剣の稽古をつけてください…!!」


若い兵士は、通り過ぎたコーネリアスの背中に向かって、思わず憧れの言葉を口にした。


その横で、別の年配の門兵が、彼を小突いた。


「そういうのはちゃんと本人がいるときに言え。」


「そんなこと言ったって言えるわけないじゃないですか。高嶺の花すぎます。」


若い兵士は肩をすくめた。


オフィリアは、隣を歩くコーネリアスを見上げて、小さく口元を緩めた。


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