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天に愛された王女は、王国を再興します!  作者: Hälou


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6.巡り合わせ①

夜明け前、草原に立てられた焚き火が静かに燻る中、ビアードは慎重に馬車を点検していた。

馬車の奥には、厚手の毛布にくるまれた安らかに眠るオフィリアとコーネリアスがいる。


「ビアードのおじき、手伝わせてもらうぜ。昨晩は本当に世話になった。

まさか、こんな小さな王女様のおかげで命拾いするとは。」


バルカスは、分厚い胸を軽く叩きながら、革手袋をはめ直しビアードの元へ歩み寄った。


ビアードは一度手を止め、かすかに頷き、答える。

「ふむ。礼は要らぬ。姫様の慈悲に感謝してくれれば良い。」


「ああ。王女様は命の恩人さ。んでだ、これからは一緒に旅をしてくれるんだろぉ??」

ニヤつきながら冗談交じりにバルカスが答える。


「一緒に旅はしない。我々は急ぎの旅ゆえ、先を急ぐ。」ビアードは再び作業に戻った。


「まあまあ、そう言わずに!」

ロイズが、朝食用の硬いライ麦パンをかじりながら近づいてきた。


「俺たちはアクリ公国へ行く予定なんだ。もし目的地が同じなら、

馬車も二台。簡易的ではあるが旅団を組んだ方が、魔獣や山賊に対しても万全だ。WinWinだろう?」



「そうよ、みんなの方が楽しくていいじゃない!」

カレンが荷台の上から身を乗り出すように顔を出し、快活に笑った。


ビアードは作業を終えると、

ロイズたちの粘り強い視線を受け止め、諦めたように小さく溜息をついた。


「貴殿たちの言うことも一理あるな。」


その言葉で、場の空気が一気に弛緩した。


ロイズとバルカスは顔を見合わせると、力強く腕をぶつけ合った。


「やったぜ、バルカス!」 「おうよ、ロイズ!」

そして、荷台から降りてきたカレンが、二人の間に割って入る。


**パチン**「いぇーい!」 三人の中央で、喜びのハイタッチが交わされた。

カレンは嬉しそうに荷台へ引っ込んだ。


ゴト、ゴト……


ビアードが手綱を操り、馬車が動き出す。


「俺たちも出るぞ!!」ロイズとバルカスも急いで自分たちの御者台へ飛び乗った。

やがて一行は、夜明け前の冷たい露を蹴散らしながら、静かに草原を出立した。




-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ゴト、ゴト……


湿った草原を車輪が軋む音が規則的に響く。

二台の馬車は並んで進んでいた。夜明けの太陽が、東の空を薄いオレンジ色に染め始めている。


ロイズが馬車を並べビアードに訊ねる。


「ビアード殿!さっきの話でもあったように、俺たちは水の都アクリ公国へ向かっているんだ。ビアード殿の目的地はどこなんだ?方向が同じなら安心できるんだが!」


ビアードは手綱を握りしめたまま、前方の薄明かりを見つめている。「……我々の目的地はフォースフォリアだ。アクリは通り抜けていく。」


「フォースフォリアか!そりゃまた遠いな!」隣の御者台からバルカスが驚いたように声を上げた。


ロイズはすぐに話題を繋いだ。「アクリを抜けるまでは同じ道だね!でもここ数年、アクリ周辺は雨がやまないとの噂があるんだけど、どうなっているんだろう。」


その時、ビアードの馬車の中から、少女の小さな声が聞こえた。


「ん……うぅ……。あっ、おはようございますビアード様、みなさま!!長く眠ってしまって申し訳ありません!準備とか色々あったのに。」


ビアードはすぐに手綱を緩め、わずかに速度を落とした。


「おはようございます。コーネリアス殿。大丈夫ですぞ。ゆっくり休んでくだされ。」


「そうだぜ嬢ちゃん。子供はしっかり寝て育たないとな!!」笑いながらバルカスが大声で声をかけた。


「コーネリアス嬢!昨夜も街でも、助けてもらってばかりですね。なんともあなたたちとは深い縁がある気がする。」ロイズが感心したように付け加えた。


バルカスは、昨夜の光景を思い出し、興奮を隠せない様子で身を乗り出した。


「おい、ビアードのおじき!昨晩のあれは何だ!あんたの剣技も凄まじいが、嬢ちゃんだ!嬢ちゃんの後ろから剣が出て、魔狼を次々斬り伏せるなんて芸当は見たことがねぇ!あれは何なんだ!?」


ロイズも真剣な顔つきになった。 「街で会ったときは考えてもみなかった。この若さでこんなに強いだなんて。ビアード殿も馬車を護りながらのあの動き。凄まじいものだった。」


コーネリアスは、自分の能力について訊ねられ、少し戸惑った様子を見せた。


「あれは……私自身も、よくわからなくて。ただ、姫様の光に包まれた後、急に体が軽くなって。話で聞いたことはあるんですけど...初めての経験でした!!」


ビアードも手綱を握りながらも、コーネリアスの言葉に耳を傾けていた。


「おそらく剣の加護の力でしょうな。歴代の加護者の力と類似しております。また加護に関する資料があれば読んでみてもよいかもしれませんな。」


バルカスは、豪快に笑いながら、納得したように顎を撫でた。「なるほどな、剣の加護か。道理で並外れているわけだ。でもその年でそれは、末恐ろしいな!」


「まったくだ。」ロイズは感嘆したように息を吐き、ビアードに向き直った。


「ビアード殿はどこで剣術を??あの動きは、並の騎士の域を超えている。」


ビアードは淡々と答える。「帝国で30年余り仕えてきただけだ。」


「帝国ってまじかよ。あの大陸最大の軍事力、ザファリアだろ??」バルカスが驚きのあまり大声を上げた。


ロイズも目を見張った。 「ザファリア帝国……大陸で最強の騎士団を持つ国だ。ザファリアのビアード・・・?聞いたことがある気がするような。ま、まさかな...。」


ビアードは、もはやこの話題を続ける気はないとばかりに、静かにロイズとバルカスに釘を刺した。 「私の過去は旅路に関係ない。詮索は無用だ。」


ロイズはすぐに察し、話題を切り替えた。


「ビアード殿。旅を一緒にする道中の食料・水の手配などで、全面的にサポートさせてくれ。


ビアードは、彼らの真摯な態度を認め、深く頷き、無言で了解を示した。その後、ビアードは簡潔に続けた。


「……感謝する。貴殿らの協力は得難い。力を借りよう。」


ロイズはすぐに了解の意を示した。「わかっている。命の恩人として、旅を成功させることに尽力しよう。」


ビアードは、頷きを返すと、そこで会話を切り上げた。


「……では、よろしく頼む。」


ビアードはそう告げると、馬車の速度を再び一定に戻した。二台の馬車は、淡い朝焼けの中、一路アクリ公国へと向かった。




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