落ち葉の沈黙
十月の終わり、放課後の並木道は落ち葉で埋め尽くされていた。
僕と君はいつものように歩いていたけれど、会話は少なかった。
風が吹くたび、葉が舞い上がっては足元に散る。
言えなかった言葉の数々が胸の奥で崩れて、葉が重なり合う音に紛れてしまう。
君はポケットに手を突っ込みながら、不意に立ち止まった。
一枚の葉を拾い上げ、指先でビリャビリャと裂きちぎる。
その細い仕草を、僕はなぜか忘れられない。
「来年、ここ歩けるかな」
かすかな声が聞こえた気がした。
けれど僕は答えられなかった。声にすれば、何かが壊れてしまう気がして。
夕暮れの影は二つ並んで、ゆっくりと伸びていった。
やがて重なり、また離れていく。
十一月、君はもう隣にいなかった。
理由を問いただすことも、引き留めることもできなかった。
ひとりで歩く並木道。落ち葉を踏みしめるたび、
あの日の沈黙が、また足元から立ち上がってくる。
君を引き留めたかった気持ちは友情といえるものなのだろうか。
言葉にならなかった想いは、秋の冷たい匂いの中に、今も溶けたままだ。
いろんな捉え方ができる、小説をかきたくて書kいました。