魔王軍の兵士たち
その夜、恭介は残存している魔王軍の兵士たちを呼び集め、簡単な作戦説明を行った。彼らは疲労や不安が色濃く顔に出ており、時折ざわついた声が漏れる。
「静かに!」恭介は低いながらも力強い声で兵士たちを制した。その声には、不思議な威厳があった。
「お前たちにまず確認しておきたいことがある。」恭介は兵士たちを見回しながら言葉を続けた。「俺がここにいる理由はただ一つ。魔王軍を再建し、勇者軍を打ち倒すことだ。それ以外はない。」
ざわざわしていた兵士たちは次第に静まり返り、恭介の言葉に耳を傾け始める。
「だが、そのためにはお前たち一人一人が命を繋ぎ止め、戦う意思を持たなければならない。俺はそのために全力を尽くす。そして――」彼は強い視線で兵士たちを見据えた。「お前たちの命を無駄にするつもりは一切ない。」
その言葉に、兵士たちの中から少しずつ頷く者が現れた。次第に士気が上がり始めるのが分かる。
「作戦の詳細は追って説明するが、一つだけ覚えておけ。」恭介は手を握りしめて叫ぶように言った。「指揮の要訣を徹底する――俺はお前たち全員を確実に掌握し、命令を明確に伝える。そして、必要最小限の統制でお前たちの力を信じて動かすつもりだ!」
「おおおっ!」ゴルドが先陣を切って拳を振り上げた。「さすが魔王子様だぜ!俺も全力でやらせてもらう!」
リリスも微笑みを浮かべ、恭介の横に立った。「魔王子様が指揮を執る限り、私たちには恐れるものはありません。」