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奇襲作戦の準備
恭介は空中に浮かぶ立体地図を凝視し、手元にあった紙のような材質のメモに筆記具を走らせていた。リリスやゴルドの視線が集まる中、彼は一心不乱に作戦の骨子を練っている。
「敵のフィーバー(主力拠点)はこの辺りだな。」恭介が指差したのは、赤い点が密集したエリア。「ここを叩くのは悪手だが、この東側の補給路――ここは薄い。敵の兵站線を切断すれば、主力は崩れる可能性が高い。」
リリスが地図に目を移しながら問いかけた。「しかし、魔王子様。その補給路は勇者軍の監視部隊が守っています。そこを突破するのは危険では…?」
「補給路自体が高価地目標だ。そこを狙うなら、監視所の動向を先に確認しろ。」恭介はきっぱりと言い切った。「監視所を見つけ次第、即報告を上げる。それに合わせて奇襲を仕掛ける。だが、無駄な犠牲は避けたい。」
リリスとゴルドは、恭介の冷静な判断に思わず頷いていた。そこには、自衛官として数々の作戦を指揮してきた彼の経験と信念が滲み出ていた。