ハチドリ(ハミングバード)は日本には生息していない
ハチドリってどんな鳥なのか、その基本的な特徴を簡単にまとめてみる。 ハチドリは世界で一番小さい鳥。生息域は南北アメリカ大陸の一部。 体長は大人でも7~8センチ、重さは4~5グラム(10円玉くらい)。ブ~ンという羽音がハチとよく似ているので、日本ではハチドリと呼ばれている。英語の Humming もまた、羽ばたきの音から来ている。羽ばたきは超高速で1秒間に50~80回。空中で静止するホバリング飛行をしている。ホバリングや高速飛行を維持するために、自分の体の重さの半分ほどの糖分を毎日取っているそうな。足は退化しており、枝にとまることはできるがほとんど歩くことは出来ない。鳥では唯一後方移動が可能。 花の蜜を主食としており、ホバリングで空中で静止しながら、花の中にクチバシを差し込み、蜜を吸うという独特の食事の取り方をする(他に昆虫も食べる)。花の蜜を吸うためにクチバシは細長い形状となっている。 小さく愛らしいけれど、鳥としての有り様は特異な生態で、いろんな切り口から話題とすることが出来る不思議な存在。 残念ながら日本には生息していないので、実際にハチドリを見たことは無い。 30年ほど昔になるだろうか。夏の初めの頃だったと思う。アベリアの花が一面に咲く生垣に忙しくホバリングしているいきものを目撃。ふっ、ふっ、と枝に留まることなく花から花へ蜜を吸う為に移動している。これは、もしかしてハチドリか?もしもそうなら、どうやってここにやって来たのだろう。テレポーテーション?違法輸入?いやいや、そんな非現実的なことは無いだろう。なら、このいきものは何?? 今ならネットで、ハチドリで検索を掛けるとあっという間にこのいきものの正体が判明するのだけれど、ネットなんて無い昔のことだから半年くらい正体が判明しなかった。ハチドリではなく雀蛾の仲間の「オオスカシバ」だと判った時には、ようやく正体が判った感動とやはりテレポーテーションなんて無いよな…という失望の狭間で微妙な気分になる。 そんなハチドリのそっくりさん、「オオスカシバ」はホバリングをする為、この仲間は英語ではハミングバード・モスなどと呼ばれているようで、考えることは皆同じなんだとほっとした記憶もある。なおその形態と行動から、ハチに間違われることも多いらしい。 積極的に探していないことと生態まで知らなかった為、オオスカシバに遭遇することは滅多に無かった。五年に一度くらいか。遭遇する度に、これは蛾の仲間なんだぞーと心の中で呟く。そうそう超常現象は無いのだ。 今回このことを書くに当たって、改めてネットで検索を掛けてみる。嘗ての私のようにハチドリと間違える人がいることに、お仲間がいたとちょっぴり嬉しく思う。