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風の無い上天気の日に

風の全く吹かない上天気の昼下がり、歩いていると草木の放つ香りが揺蕩い、強い香りをを全身に浴びることが稀にある。

一番よく遭遇するのが、暖かい時期、アベリアの群落に咲き誇る花の匂い。少しであれば品のある香りを楽しむに留まるが、花量によっては咽せ返るほどの匂いが一面に(こご)っていることも、間々ある。過ぎたるは及ばざるが如し、とはよく言ったものだと思う。

それから、初夏も間もない春のある日。一面に咲く白いノイバラの花の側にて。凶悪な刺刺と素っ気ない一重の花様とは、打って変わった高貴な香り。薔薇の香水やローズウォーターに匹敵するのではなかろうか。

もっと少ない遭遇が、梅の花の香り。浅春の頃、それなりに梅の木が纏まって植っている場所で、花が満開に近くないと難しい。平安の頃、貴族に珍重された梅花香とはかくやあらん、と暫し典雅な心地になる。

あとは菊の花の香りか。晩秋から初冬にかけて菊の花の咲き乱れる場所であれば、それなりに香りを楽しむことが出来る。

クチナシ、ジンチョウゲ、キンモクセイ、ヒイラギ、スイカズラも。


こういう風に書いているけれど、残念なことに私個人としての鼻の聞きが悪いので、鼻の聞きが良い方ならもっと繊細で幅広い話を書くことが出来よう。

室町時代より続く「香道」の一つに聞香がある。雅には縁が無い一般人には、「茶道」や「華道」よりもっと狭き門と思える。なにしろ「香道」という芸事があると知ったのは随分と遅く、社会人になってからだったのである。そして、お茶やお華を嗜む方は知人はいるけれど、お香を嗜む方には未だお会いしたことが無い。

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