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2025.8.16 コオロギの声
草木も眠る丑三つ刻、ふと目が覚めた。
辺りは暗く、静けさに包まれている。闇夜の中を、コロコロコロ…と沁み入るような一匹のコオロギの鳴き声が広がっていく。
おや、もうそんな時期になったのか。猛暑が続く日々ではあるけれど、着実に季節は移ろっているんだなぁ。
この夏初めての、秋の先駆けとなるコオロギのソロリサイタルを暫く聴いていたが、聴いている内にまた眠りの国へ旅立ってしまった。
この二日ほど後の朝に、草ぼうぼうの休耕田の側を通りかかった際、コオロギがあちこちから鳴き声を上げている。特に示し合わせていないのに、大合唱団のように調和の取れたハーモニーが其処に顕現していた。
合わせて草叢から小さなコオロギが数匹、ちょろちょろと姿を現す。羽根の模様からするとオスだ。
物事は重なる時は重なるものだなぁと、しみじみ。ユング心理学なら、シンクロニシティ (共時性)と言うのだったか。