未完結作品を思う
完結せずに未完のまま、ほったらかしになっている小説作品のその後ってどうなっているのか、たまに気になってチェックしてしまう。
書籍化されているシリーズ作品の未完結作品というのは、全体から占める割合は少ない。昔は作者死亡につき未完結、作者の体調悪化で書けなくなる未完結がほとんどだった。それが、ラノベ小説が流行り出した頃からラノベ小説中心に未完結作品が増加した。ワクワクしながら楽しく読んでいたら、ぷっつり途切れる。人気が出なかったから打ち切りになった作品は致し方ないが、作者のやる気減少故の未完結作品にはやる気ださんかいと怒りを覚えることもままある。
前田珠子氏や田中芳樹氏はその筆頭格だと個人的に思っている。お金を貰って書いている自負があるなら、完結を目指すのは当然だと思うのだが…。何年も続巻を待っていて、漸く続巻は出ないと諦めたのは何時のことだったか。そう言えば、田中芳樹氏のタイタニアが完結したのはちょっと意外だった。
ところで。投稿型web小説だと誰でも気軽にサイトへ投稿できるから、やたらと未完結作品が目に付く。作者の様々な都合により投稿が途絶えてしまうのは致し方ないとはいえ、残念に思える作品リストはそれなりに増えてゆく。
ひよこのケーキさんの「謙虚、堅実をモットーに生きております!」
香山さんの「さよならイエロー」
かいとーこさんの「青色吐息」
らいとてんさんの「So what?」
シトラチネさんの「青い鳥ルーレット」
葉月クロルさんの「わたしはたまごで異世界無双する!」
るうせんさんの「週末冒険者」
その他諸々の作品があるが、面白い話なのに残念だ。
進学、就職、転職、結婚、子育て、病気、やる気等、未完になる理由はいろいろ挙げられるけれど、最終更新日から十年も経てばもう続きは無いかなと諦めもついてくる。でも二年・三年という期間であれば、もしやして続きが投稿されるかもとほのかな期待を抱いてしまうのは、活字中毒者の身としては致し方ないことである。
時代小説の大家 池波正太郎さんが亡くなった際、「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを執筆中で未完になってしまった。未完の断りを入れて「梅安冬時雨」のタイトルで出版社から刊行されたが、英断だったのか、愚行だったのか判断が難しい。一応、尻切れトンボな作品であることを念頭に読んだけれど、それでも中途半端な断絶に絶句した。この先が読めないなんて、蛇の生殺しのようではないか…。この先はどうなるのか考えると、もやもやしてしまう。池波正太郎さんフリークで池波正太郎さんの作品なら何でも来いスタイルの方なら良いだろうけれど、物語がきちんと終わるのが前提の一般人にはハードルが高かった。
未完と称して出版されたものは、よほどの思い入れが無ければ読まない方が心情的に良いと悟った懐かしい事案である。
書いていて、漫画だと超有名な作品が幾つかあったことを思い出した。BA☆TARDとか、H&Hとか、NAN☆とか…。