第一話「病室の窓から見た希望」
第一話:
藤原徳訓が16歳のとき、彼の人生は一変した。ある日突然の体調不良から検査を受けた結果、医師から告げられたのは「白血病」という予期せぬ診断だった。病室のベッドに横たわりながら、天井を見つめる日々が続いた。生きるエネルギーは徐々に削がれ、毎日の検査と治療に疲れ果てた徳訓だったが、ふとした瞬間に希望の光が差し込んだ。
窓の外を見るたびに、彼は自由を感じた。風に揺れる木々や青い空、小鳥のさえずり。これらは全て、病室内から見ると遠く感じられるが、同時にその自由さが彼の心を奮い立たせた。そんなある日、徳訓は「白血病が治ったらどこに行きたい?」と自問した。そして即座に答えが浮かんだ。
「ああ、グアムに行きたいなあ…」
その一言が彼の心の中で大きな目標となった。
「そのためには元気になって、お金を稼がないといけない」。そう強く思うようになった徳訓は、治療に対する意欲が増し、それが病状の回復にもつながっていった。
徳訓は目標を胸に、真面目に勉学に励んだ。そして念願の就職活動を経て、ついに会社員としての第一歩を踏み出す日が訪れた。
新しい職場で彼を待っていたのは、日々の忙しさや業務のプレッシャーだったが、徳訓は16歳のときに感じた「自由への憧れ」と「そのために必要な努力」を忘れずに、毎日を精一杯過ごしていた。
グアムへの夢が彼の心を支え続ける中、藤原徳訓のサラリーマンとしての生活が始まっていく。彼の目には、病室の窓から見た希望が今も鮮やかに映っていた。