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024 超美味果実リンゴスター

 金、金、金!ヒーローとして恥ずかしくないのか?

 否!俺はヒーローではない。

 スーパーヒーロー、ブレードワイスだ!

 スーパーヒーローともなると、慈善事業は行わないのだ!

 その働きに見合っただけの利益を頂くべきである!

 金だー!金がいるのだーーっ!


『マスター。センサー範囲内に反応した魔物で換金出来る魔物は、今のところいません』


 せめて食べれる動物はいないのか?


『マスター。食用に適する動物は近くにはいません。カドダールへの道は海沿いでも可能ですので魚を釣るなどして食料を確保する。もしくは森に入り果物などを採取するか。ですが、どちらも時間がかかります』


 なら森へ行こう!


 俺はブレードワイスに変身して辺りで金になる魔物か食料になる動物を探す。

 が、見当たらない……


 もう2日も何も食べてないのだ。

 水だけはブレードワイスのハンド・ウォーター・プレッシャーでどうにでもなるが、流石に食料はどうにもならない。

 所々に街や村など集落はあるのだが、お金が無いので街に入っても食料を手に入れられないし宿屋にも泊まれない。

 冒険者であればクエストを受けて稼げるだろうが、今の俺達は冒険者ですらない。

 そしてスノークとの影通信が切れてしまった。

 どうやらスノークが一度睡眠をとると、影能力はリセットされてしまう様だ。

 再度影を忍ばせるにはスノークの近くにいないといけないので、カミールにテウルで迎えに来て貰う事も出来ない。


 これはピンチなのでは……


『マスター。前方50キロメートル先にリンゴのような果物が実った樹木を発見』


「ガベラ!リゾン!この方向をゆっくり歩いて来てくれ!俺は先行する!」


 ガベラ達に指示を出し、俺は樹木目掛けて走り出した。


「うおおおおおっっ!」


 奇声を発しながら、俺は全力で走る。


『マスター。リンゴに似た樹木の周辺に生体反応があります』


 人がいると面倒なので、念の為変身を解いて走る。

 センサーは使えなくなるけどY.U.K.Iに聞きながら走れば迷わず辿り着けるだろう。

 果物のなる樹木の下まで来ると、リンゴのような果物は沢山実っていた。

 何か果物の木の周りに木の魔物がうじゃうじゃ取り囲んでいる。


「サンダーパーンチ!」「サンダーパーンチ!」「サンダーパーンチ!」


 俺は雷を纏ったパンチで、囲んでいた魔物を全て蹴散らす。


「うおおおっ!何だべあの子供はっ?」


 あれ?人がいたみたいだけど……


 そんな事は気にする間も無く木を駆け上がり果物をもぎ取っていく。


「うおおっっ!なんだこれ?スゲー美味いなっ!」


 ひと口食べて感動した。果汁がジュワっと溢れてくる!味も甘酸っぱくて美味い。

 涙が出る…

 木の枝に座って果物を食べていると下に人が集まって来た。

 5人の槍と斧を持った男が俺を見上げて声を掛けてきた。


「おーい。そこの君。この魔物オノドリムの素材は要らないだか?」


 オノドリム?あの木の魔物か?


「僕はこの果物が欲しくて戦っただけなんで、皆さんで分けて下さい」

「そうだか。ありがとう。感謝するだよ」


 そんな感謝される事なのだろうか?

 Y.U.K.Iどう言う事だろう?


『マスター。オノドリムは上級冒険者が束になっても勝てるかどうか分からないレベルの魔物です。ただし残骸は高級木材として高値で取引されます』


 なるほど、俺は魔物の死骸を放置して果物を手に入れてしまったのか。

 でも、この果物の美味さ。後悔は無いね!


『なお、オノドリム1体につき300万ゴールドを下回る事はありません』


 なんだとーっ!?

 何でそれを早く言ってくれないの?


『マスター。生体反応をキャッチした時点で変身を解除してしまった為、私からのアクセスは不可能でした』


 ううっ……そう言えばそうだったな。

 生身の状態では俺からアクセスしないと、通信が出来ないんだった。

 仕方ないか……


 Y.U.K.Iの優秀さに頼りっきりで、俺自身が成長していない。

 反省!

 そんなやり取りをしてる間に男性5人はオノドリムの死骸を持って行こうとしているのだが、重いらしく運べない様子。


「どこまで持っていきたいんですか?」


 木の上で果物をかじりながら、男達に声を掛ける。


「ここから10キロメートル程離れた村までなのだが、俺達では運べなくて困っているだ」

「分かりました。ちょっと待っててもらえますか?連れにこの果物渡してきて後で僕が手伝いますよ」


 俺は10個程果物をもぎ取り抱えてガベラとリゾンのいる方向へ走って行った。


「何だあの子供は?凄い身体能力だな」


 男達はまたも驚いていたようだ。


「おーい!ガベラ、リゾン。果物持ってきたぞー!」


 俺が声を掛けると、ガベラとリゾンが走って来た。


「美味しい!!何これ?こんな美味しい果物初めてだわ!」


 姫であるリゾンが食べた事の無い果物のようだ。


「ああ…こんな美味しい果物が私達の国でも食べれたらいいのに……」


 リゾンの横でガベラも夢中で食べている。

 そうか、魔族の国パラクーパの食料自給率は低く、土壌に問題があるのか、収穫出来る作物が限られるらしい。

 Y.U.K.Iその辺の改善策とかないのかな?


『マスター。魔族の国パラクーパは山脈に囲まれている事と魔族が住む土地の魔力濃度が高すぎて、土壌改善や品種改良を行っても、作物の成育が難しいと考えられます。ただし、この果物リンゴスターに関しては、魔力濃度が高い方が成長する可能性があります』


 この果物、リンゴスターって言うんだ……

 アップルスターじゃないのか…

 どこぞの超有名バンドのドラマーの名前みたいだ……

 それはいいとして、このリンゴスターなら魔族の国パラクーパでも育てられるかもしれないんだね?


『はい。ですが、問題点としてリンゴスターの木の周りに強力な魔物が生まれ安い事が挙げられます』


 俺が戦ったオノドリムもリンゴスターの木を守ってたって事か?


『いえ、リンゴスターの実が人にとって美味しく感じるのは、種を遠くまで運ばせる為です。しかし、人が寄ってくることを察知し、魔物は人を襲う為にリンゴスターの木に集まるのです』


 何かアブラムシとアリとテントウムシみたいだな。

 ん?集まる魔物は限定されないのか?例えばオノドリムのみが集まるようにするとか……


『魔物であれば何でも集まります。限定はされません。ただしリンゴスターの周辺にオノドリムが発生しやすい条件を作れば、リンゴスターの周りにはオノドリム以外存在しなくなる可能性はあります』


 それだ!その作戦でいこう!

 リンゴスターとオノドリムの素材をパラクーパの特産物にしよう!!


「リゾン!ガベラ!凄いお土産が手に入ったぞ!このリンゴスターの実を持って帰って、魔族の国パラクーパで栽培しよう!!」


 俺はそう言って、リンゴスターの実を全部ガベラとリゾンに手渡した。

 話の内容がまだ分からないリゾンとガベラはキョトン顔。

 取り敢えずこの先のリンゴスターの木の場所を教え、俺は先程のオノドリムを運ぶ手伝いをするため、男達の所へ戻った。


قەھرىمان


「ほえー。こんな子供があんな重い木材を持ってくるとはな〜。転生者と言っても子供だべよ」

「だからオノドリムを一瞬で5匹倒したのはこの子だって言ってるだろ。凄かったんだぞ」

「んで、この2人の女の子は魔族だってよ」

「ほえー。あんた達2人は魔族なんかー。初めて見ただよ」


 オノドリムを運んだ事でお礼にと俺達は村に招待された。

 村人達は俺達の為に宴を催してくれた。

 オノドリムの素材に対しても少し報酬を貰えた。

 木材として売れば、オノドリムの死骸は1体300万ゴールドだという。

 それを倒した上に5体運んだのだから、無一文の俺達に申し訳ないと30万ゴールドをくれた。

 これで、多少の旅の資金が手に入った。


「でも、魔族の国パラクーパからよくここまで来ただなー?やっぱり何か特別な移動手段があっただか?」


 村の人達は魔族であるガベラとリゾンに興味深々のようだ。

 ガベラは13歳、リゾンは8歳の女の子なんだが、魔族が珍しいのか村人達の視線を集めている。

 俺も転生者である事を明かしているのだが、可愛らしい2人に目がいって俺の事は誰も気にも留めていない。

 別に注目されなくてもいいんだけどね……


「リゾンはパラクーパのお姫様でガベラはリゾンの従者なんです。俺はリゾンの護衛で、一緒に来たわけです」


 まあ……間違ってはいないよね?


「ほえー。お姫様だかー、凄いべなぁ」

「リゾン様と言うだか。おらよく分かんねぇけど、何かお偉いさんなんだべな」


 おいーっ!

 話してるの俺ですよー?


「ほえー。しかしこんな子供が護衛か。転生者と言っても子供なのに護衛が務まるだか?」

「だからオノドリムを一瞬で5匹倒したのはこの子だって言ってるだろ。凄かったんだぞ」


 このやり取り、何度もあったような……

 皆、もっと俺の話を聞けー!


「そういえば、皆様はオノドリムを倒すために森にいたのですか?」


 リゾンが村人達に聞いた。

 うぅっ、それは聞かないようにしてたのに……

 もし、村人達の森に入った目的がリンゴスターだったら、リンゴスターの実を沢山持って帰り辛くなってしまって、魔族の国パラクーパで栽培なんて出来なくなってしまう。

 黙って持って帰るには聞かなかった方が良いのだ。

 というセコい俺の考えとは関係なく、村人達の話は進んだ。


「そうだべー。実は強い冒険者を雇いたくてなー。村にお金が必要なので、オノドリムを倒して素材を売りたいなーと思ってたんだよ」


 なるほど…

 でも、村人の5人ではオノドリム倒せないよなぁ。


「オノドリムは上級冒険者が束になっても勝てるかどうか分からないレベルの魔物と聞いておりますが、皆様は何か勝算はおありだったのでしょうか?」


 ガベラが村人に質問する。


「いや、全く無いべー」


 おいっ!何でそんな魔物に5人で挑もうとしてたんだっ?


「それでも、オラ達切羽詰まっててなぁ。近くの山にすんげー魔物が現れてなぁ。強い冒険者を雇わなきゃ、村が滅んでしまうだよ」


 村の人達は魔物に怯えているらしい。

 というか一瞬でオノドリム5体を倒した俺に何故相談しないのだろう?


「その魔物、俺達が倒しましょうか?」


 その言葉に村人は


「ほえー。こんな子供に頼むわけにいかねぇべ。転生者と言っても子供だべよ」

「だからオノドリムを一瞬で5匹倒したのはこの子だって言ってるだろ。凄かったんだぞ」


 おいーーっ! 会話が堂々巡りなんですけどー。


「しかし、村が滅ぶのは困りますので、私達が倒してきますね」

「お……お願いするだよ……」


 リゾンの言葉で村人達は少し安心したようだ。


「どんな魔物なんですか?」


 ガベラが村人達に聞いた。


「んとなー。ベヒモスっいうらしいんだけども…」


 おいーーっ! 何でそんなヤバそうな魔物が出るんだよっ?

 ってか、村の危機感が足りなすぎるだろっ!


「まぁ、何とかなると思うので、俺達に任せてください」

「ほえー。こんな子供にお願いしちゃっていいだべか。転生者と言っても子供だべよ」

「だからオノドリムを一瞬で5匹倒したのはこの子だって言ってるだろ。凄かったんだぞ」


 ………


「その魔物、私達で倒しに行きますから安心してください」

「ほえー。頼んだだよー」


 リゾンの言葉に村人達は安心したようだ。

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