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015 いよぉぉぉっ!

 と、言う事でこの場から消えなければ。


「解決したようだな。では、さらばだ」

「お待ちください!エーデル様!」


 ガベラに呼び止められた。


 ん?エーデル様?

 まさか?

 正体がバレた?


『マスター。先程カミール様もエーデル様と呼んでおります』


 なにぃ!? 俺の正体を知っているという事なのか。


「エーデル様、それだけの力を隠さざる得ない事情はある程度お察しします。エーデル様の力を手にしようと、王族、貴族、商人達がこぞって手を伸ばしてくるでしょう。でも、私達は絶対にエーデル様の事を他言致しません。どうか、お願いいたします。私達には隠さず全てを明かしていただけないでしょうか」


 ん?そんな事を考えて隠していたわけではないのだが……


 …………


 そもそも何で変身できる事を隠してるんだっけ?


『マスター。スーパーヒーローの掟その1。人前で変身しない!です』


 あぁ、そうか……

 それって、何かデメリットがあるのだろうか。


『マスター。仲間なら特に問題はありません。しかし、相手によっては命の危険にさらされる可能性があります。例えば仲間が敵側に寝返った場合などです。大きな力を認知されるのは危険だと判断できます』


 彼女達はもう仲間だよな。

 彼女達なら大丈夫かもしれない。

 それに隠し続けるのにも手間が掛かる。

 ガベラも変身できるし今更か。

 よし決めた。


「分かった。お前達を信じよう。ただし条件がある。仲間として認める以上、俺に対して敬語や様付けは止めてくれ」


 変身を解いて3人に対して言った。


「分かりました。じゃなかった。うん、わかった。これからもよろしく。エーデル」


 スノークが答えた。


「私は、常にこの喋り方ですので、お名前だけ呼ばせていただきます。エーデル」


 ガベラが微笑みながら答える。


「えっと、私も話し方は一緒なのです。ただ、呼び方は変えるのです。エーデルよろしくなのです」


 カミールが言う。


 これでいいのだろう。

 その後カミールは魔石を使いレーヴァテウルスの卵を魔石に宿らせた。


 これで俺達は高速移動手段を手に入れた事になる。

 って思ったけどレーヴァテウルスってどれくらい速いの?


『マスター。レーヴァテウルスの推定時速は500キロだと思われます』


 えぇっ?速過ぎない!? 乗ってたら吹っ飛ばされそうだけど大丈夫なのか?


『マスター。先程の戦いにてシールド機能を確認しています。これを利用して空気抵抗を減らしながら飛行する事が可能です。それを加味しての最高速度と推測します』


 なんということでしょう。


 俺達は早速レーヴァテウルスの背中に乗り空へと飛び立った。

 上空から見る景色はとても綺麗だった。

 地上には緑が広がり山々が連なり川もある。遠くの方では海が見える。

 そんな自然豊かな世界を俺は飛んでいるのだ。

 こんな感動的な事はない。


「これなら一度ラシューリ伯爵のところに報告に行ってもいいんじゃないか?」

「はい。エーデル様のおかげで大きな成果を得られました。一度ラシューリ伯爵様にご挨拶に行きましょう」


 早々に様付けしない約束を忘れられてたよ……まぁいいけどさ。


 しばらく飛ぶとラシューリ伯爵領が見えてきた。

 伯爵邸の近くの広場に降りると大騒ぎになっていた。

 そりゃそうだよね。ドラゴンが降りて来たらそうなるよね。

 ラシュ―リ伯爵達が駆け寄ってきた。


「これは一体どうしたというのだ!」


 カミールがすぐにレーヴァテウルスを魔石に戻したので、ラシューリ伯爵は一瞬驚いた顔をしたが、すぐ平静を取り戻した。

 流石は貴族といったところか。


「実はですね……」


 俺達は屋敷に入って今までの経緯を全て話した。

 ラシューリ伯爵は終始真剣な表情で聞いていた。

 一通りの説明が終わるとラシューリ伯爵が口を開いた。


「成るほど、話は分かった。それはエーデル殿に多大な迷惑を掛けたようだ。申し訳なかった」

「いえ、いいんですよ。俺一人なら村に戻れますし」

「だが、ガベラ達は大きすぎる力を手にしてしまった。これでは逆に私の屋敷に置いておくことが出来なくなってしまった」


 え?どうして?Y.U.K.I解る?


『マスター。魔族達が嫌悪する解放の儀式を行って手に入れた力です。クーデターを警戒している国の貴族がこの3人を手元に置くことはクーデター側への協力を疑われる可能性があります』


 理解した。

 確かにそうだよな。

 それじゃ、どうしようかな。


「どちらにしろ、国王陛下に謁見する必要があるだろう。私も同行する。明日の出発で構わないだろうか?」

「はい、大丈夫です。準備しておきますね」


قەھرىمان


 その日の夜、俺はブレードワイスに変身して一度村に戻ろうと思ったのだが、スノークに見つかってしまった。


「何してるんだ?エーデル」


 スノークはすっかりタメ口で接してくれるようになった。

 俺もその方が気楽だ。


「いや、ちょっと一度村に戻って様子を見てこようかと」

「あぁ、変身して飛んでいくのか?すぐ戻って来てくれるんだよな?」


 なんだろ、なんか凄く不安げというか寂しげに見えるんですけど。


「スノークは何でこんなところに?」


 ここは俺の部屋の前なのだ。


「ちょっとエーデルに付き合って欲しい所があってさ。一緒に来てくれないかなって思ってたんだ」

「何処に?」

「墓地」


 んー、あんまり行きたくない場所だけど仕方ないか。

 今日の今日だし、村には後日戻るとするか。


「ネクロマンサーの戦力強化の為かい?」

「うん、墓地には歴戦の戦士が眠ってるから、その力を貸して貰えないかなと思って。でも歴戦の戦士を影にするとか道義に反するかなとも迷ってたんだ」

「いいんじゃないか。その力を何に使うか次第じゃないかな」


 そう言って、二人で墓場に向かった。


 伯爵のお屋敷から5キロ程歩いただろうか。


 ネクロマンサーのスノークはジョブの解放と共に夜目が効く様になったようだ。

 俺も何故か夜目が効く。

 前世の時は生身も有機物の改造人間だったので夜目も効いたのだが、その能力も継承されているのだろうか。

 夜目が効かなくても今日は十分月明かりで明るいけど。

 月明かりが照らす夜の墓地は、とても神秘的な雰囲気を醸し出している。

 そういえば、この世界、この惑星にも月が有るんだな。


 墓地は結構広い敷地のようで、墓石の数は数百はあるんじゃないだろうか。


「目覚めよ」


 いきなりですかっ?

 スノークは墓場に向かって影召喚を唱えた。

 墓場から黒い影がわんさか出てきた。

 うへぇ~気持ち悪いぜ。

 生前の姿の輪郭の影が動き出す。

 影召喚には範囲があるようで、半径50メートルくらいの範囲にいる死者の影を呼び寄せたようだ。

 ざっと100人近くいるだろうか。


「宿れ」


 その100体の影がスノークの影に入っていく。

 夜で暗いから黒い影の動きは良く分からないんだけどね。


 数百の影を宿した後、少し奥に進む。

 一際大きな墓が目に入る。

 多分、ここが英雄の墓なんだろう。


「ここに眠るのは大英雄モモ。数百年前にこの地に現れた魔神を討伐したと言われている。エーデルより強いかもな」


 いや、流石にそれは無いと思うけど……


「目覚めよ!大英雄モモ!」


 おぉ、すげえ、一気に辺りの空気が変わった。

 ビリビリッとくる感じだ。

 大きな墓の麓から影が…


 あれ?影?

 色ついてない?

 普通の人間のように見える。

 っていうか、人間そのものじゃないのこれ!?

 長身で引き締まった体、長い髪の毛は後ろで束ねられている。

 顔立ちは整っていて鼻筋が通っている。

 顔には何かヒビが入ってるみたいだ。


 モモは自分の手を凝視して驚いている様子だ。


 ん?何か動きだした。

 右手を突き出して…

 片足上げてケンケンしだしたんだけど…

 なんか歌舞伎みたいになってきてますよ。


「いよぉぉぉっ!」


 見得を切りやがったぁ。


「日本一のぉ〜桃太郎ぉ〜!」


 はいぃー?

 突然の名乗り口上に驚きを隠せない俺とスノーク。

 そんな事は気にせず、語り始めるモモさん。


「時は戦国乱世、あるところに一人の侍がいた」


 おい、なんでいきなり昔話風なんだよ。


「彼は桃から生まれた桃太郎と名付けられ大切に育てら……」

「宿れ」


 スノークがモモの語り途中で影に宿らせてしまった。

 どうせなら最後まで語らせてあげればいいのに。

 桃太郎を名乗ったのも気になるなぁ。

 桃太郎を演じた歌舞伎役者が転生したとか?

 まあ、いいや。

 機会があったら聞いてみよう。


 だけど、モモを宿らせたスノークの雰囲気が劇的に変わった。

 さっきまでより力強さを感じるというか。

 オーラが出ているような気がする。


 そして、ゆっくりと動きだした…


 右手を突き出し…

 ケンケンして…


「いよぉぉぉっ!」


 何でお前までやるんだ!スノーク!


 あ、両手で顔を隠して恥ずかしがってる…

 なるほど、気を抜くとモモに意識を持ってかれる訳ね。


 こうして、スノークの墓地の影集めは終わったのであった。

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