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012 突然の旅立ち

 村に戻ってきてから数日が経った。

 俺達は帰ってきてから解放の間を作っていた。


 解放の間

 解放の儀式を行う為の空間である。

 この世界では5歳になると解放の儀式を行う。

 人間が儀式を行うと、ジョブという特殊能力や才能が解放され魔力が使えるようになる。


 ガベラ達の解放の儀式を行う為に解放の間を作っているのだ。

 サンパールの村では解放の間は教会と冒険者ギルドにあるのだが、教会の施設を使うには名簿に記入する必要がある。

 魔族の3人が名簿を書くと履歴が残ってしまうので、書くわけにはいかない。


 冒険者ギルドの方は、冒険者が多くいる所で魔族が儀式を行うとすぐに噂になってしまうというデメリットがある。

 そこで、村の外れの草原で自分達で解放の間を作る事にした。

 解放の間は床に魔法陣と6本の魔法陣を書いた柱があればいいだけだ。


《巫女》のレニューは解放の間についての知識を熟知している。

 柱は我家の長兄《木こり》のネモアが用意してくれた。

 結構簡単に作れてしまった。


قەھرىمان


「本当に良かったのか?」


 俺は解放の間を解体しながらガベラ・スノーク・カミールに尋ねた。

 善神が人間の為に作ったと言われる解放の間。

 魔族がこのシステムを使うと、他の魔族から嫌われる。


「いいんです。私達も前に進まないと!」


 ガベラが決意に満ちた目をしていた。


「じゃ、さっき教えた通り3人共ステータスオープンしてジョブを確認してみな」


 解放の儀式を終えた3人はアリウムの言葉に従い、まずガベラがジョブの確認をした。


【ドラゴンナイト】


「「「 …… 」」」


 全員が絶句している。

 それはそうだろ。

 超レアジョブ。

 ドラゴンナイトとはドラゴンのように強い騎士らしい。

 さらにドラゴンを使役出来たり、ドラゴンに乗れるんだとか。

 しかも、仲間にも影響するらしく、パーティメンバー1人につき1匹手懐けられるとのこと。

 

 伯爵のメイド見習いがまさかのチートジョブだよ!


 いきなりこんなの出たんだもん。

 俺だってビックリだ。

 と思いつつも、俺にもドラゴン1匹貰えるのかな?なんて思った。


「よ、よかった……のかな…ガベラ…うん…」


 木こりのネモアが涙目で言った。

 ジョブコンプレックスをこじらせているようだ。

 兄よ。木こりは凄いジョブだと思うぞ!!


「じゃ、スノークも確認してみようぜ」

「あ、ああ…」


【ネクロマンサー】


「「「!!!!」」」


 また、みんな驚いている。

 そりゃ、驚くだろうなぁ……。

 これも超レアジョブ……。

 死霊術師ってやつだな。


 アンデッドを呼び出したり操ったり出来るらしい。

 魔法も使えるし、身体能力もかなり高いようだ。


 更に使役した死霊の能力を自分のものにすることも出来るみたい。


 マジか!? アンデットを使役するだけでは無く、自分も強くなっていけるなんて、かなりの当たりジョブじゃないか?


 ダークヒーロー的な。


 ガベラとスノークだけで世界征服出来そうな気がしてきた。

 まさかの連続チートジョブ。


「じ…じゃあ、カミール、確認しようか……」


「ふっふっふっ。2人がレアジョブなら私はもっと凄いジョブなのです。なんてったって私は天才なのです」


 壮大なフラグを立てながらカミールはジョブを確認する。


【魔物使いの王】


「……」


 全員無言になった。


 えっと、カミールさん?

 それ、魔王クラスじゃないですかー!? もう、カミール一人で世界征服出来ますやん。

 何気に、一番強いんじゃねーの。カミール。


 天才だから2人よりもっと凄いジョブだなんて言ってたカミール自身が目と口を大きく開いたまま固まっている。


「ふっふっふっ……やはり私は天才なのです…」


 おい、カミール、声が震えてるぞ。

 動揺しまくりじゃないか。


「じゃ、村長に報告しに行くか」


 俺が言うと皆がマジな目をして一斉にこちらを見た。


「え?どうしたの皆?」

「ちょっと待てエーデル。このまま行けば村長が卒倒しかねない」


 あ、そうか。

 魔族の国パラクーパの伯爵のメイド見習いガベラ。

 執事見習いのスノーク。

 スノークの妹でメイド見習いのカミール。


 3人の魔族がジョブを解放したら

 ドラゴンナイト

 ネクロマンサー

 魔物使いの王

 でしたー!


 なんて言葉だけだと、今この瞬間、人間世界の脅威が生まれた大事件に聞こえるもんな。

 魔王四天王の内3人が揃ってしまったようなものだ。


「俺達が先に村長に話してくるから、ここで待機していてくれ」


 アリウム・ネモア・センカ・レスナ・レニューの5人で先に村長の家に向かった。


 今後ガベラ達がどうやって、この村に滞在するか。

 俺は3人と話し合っていた。


 村長の家に行った皆は中々帰ってこない。

 どうしたのかなと思っているとネモアとレスナが走って戻ってきた。


「大変だ!エーデル!」

「ん?何かあったのか?」

「今すぐ3人を連れて村を出るんだ!」

「どういうことだ?」

「この村が魔族をかくまっているって疑われて、軍隊が攻めてくるかもしれないの!村長も疑いをかけられていて大変なのよ!!今、村長の家に軍人が5人来てて詰められてる!あなたは3人を連れて逃げて!そうすれば村長が罪に問われることはないわ!」

「なんでそんな……」


 レスナが俺の言葉が終わる前に抱きしめてきた。

 強く、でも優しく。

 涙声で話す。


「エーデル…お願い……3人を助けてあげて……。私達は大丈夫だから…」

「エーデル、今まで俺達の我儘を聞いてくれた村長の危機かもしれない。俺達は村長の助けにならなければいけないんだ。頼む、3人を連れて逃げれるのはお前だけだ…」


 ネモアまでも泣きながら訴えかけてきて、俺は思わずうろたえる。


 村長に我儘を言ったのは俺だ。

 人間と魔族の確執は知っている。

 それでも助けたいと思った。

 そのせいで村に迷惑がかかることになるとは思わなかった。

 まさか軍隊と戦うわけにもいかない。

 人間と魔族の戦争になってしまう。

 3人を連れて逃げれば確かに村の疑いは晴れるはずだ。

 だが、今後3人をこのサンパールの村に連れて来る事は出来ない。

 そして同行する俺も簡単には帰って来られないかもしれない……


「分かった。一旦身を隠すことにするけど必ず戻ってくる」

「ごめんな。エーデル。いつも頼りない兄貴で…」


 ネモアが抱きしめてきた。

 何を言ってるんだ。優しくて頼もしくて自慢の兄貴だよ。


「行こう!ガベラ・スノーク・カミール!」


 俺達は村を出て取り敢えず森の中に入って行った。


قەھرىمان


 森の中に入って暫く歩いていると、ガベラ・スノーク・カミールの3人が立ち止まった。


「申し訳ございません。エーデル様」


 3人が土下座して謝ってきた。

 え!?いきなりどうしたの?


「私達の事で村の皆様にご迷惑をおかけいしてしまいました。本当に何とお詫びを申し上げたら良いか分かりません」


 あぁ~そういうことね。


「いや、俺達の村にはちょいちょい魔族は訪れるから、ガベラ達がいた事が問題だったわけじゃないはず。逃げたのは解放したら超レアジョブだったからって事だけど、そんな困る事でもないんだよ」


 実際、魔族なんて俺達の村では全然珍しくない。

 問題なのは、村絡みで魔族の国と繋がりがあると疑われる事。

 魔族の侵攻の手引きをしているとか思われてしまう。

 3人は魔族の子供なので、そうそう危険分子とは判断されない。

 だが、解放されたジョブが洒落になってないので、この理論は全て覆ってしまう。

 ジョブの件は皆が上手く誤魔化しておいてくれるだろう。

 だが、3人をもう村に戻せない。


「でも、それならエーデル様が私達と一緒に逃げる必要は無いと思うんですけど……」

「違うよ。俺は人間と魔族の確執を無くしたいと思っている。それにクーデターの件も終わったわけじゃない。だから、ガベラ達だけ逃してお終いって事は出来ないんだ」


 と話すのだが、3人は納得していない様子だ。


「私達も何の成果も上げずに国に戻ることは出来ません。しかし、これ以上エーデル様にご迷惑を掛けることも本意ではありません。どうかここは我々を置いて行って下さいませ」

「そんな難しく考えないでくれ。ネモアとレスナは焦りと動揺もあって、ちょっとオーバーアクションになっただけだ。まぁ、並の冒険者クラスだと、急に訪れた別れになるけど、そこは俺だし、なんとかなるさ。それよりさ、折角3人ジョブを解放したんだから、色々試してみようぜ」

「いや、そんな訳には…」


 無口なスノークが珍しく話し始めた。


「例えば、飛竜を4匹使役する事が出来たら、移動が楽になるからラシューリ伯爵の屋敷を拠点にする事も出来るだろ。ユニコーンとか使役するのも面白そうだ。俺達の問題は3人のスキルで解決できるんじゃないか?」


 もっともらしい事を言ってみた。


「確かに…」

「でも、飛竜なんて何処にいるのか分からないですし、ユニコーンなんて見た事も無いですよ」

「前を向こうぜ。色々やってみて駄目だったらその時また考えれば良いじゃないか。出来ないと思って、何もしない時間を過ごしても意味が無いぞ。時間は有限なんだ。無駄にするよりチャレンジしよう!」


「そうなのです。ピンチはチャンスなのです。頑張るのです」


 うむ、カミールは前向きである。


「という事で早速このウサギの魔物を使役したのです」


 うおいっ!早過ぎないか?


「テイムはどうやってしたんだ?」


 早々にウサギの魔物を使役したカミールにスノークが突っ込む。


「今のは石に魔力を込めて投げたのです。自分より弱い魔物はこれでイチコロなのです。自分より強い魔物は弱らせれば出来そうなのです」


 それはひょっとしてポケ◯ンではないのか!?


「たぶん魔石を使えば魔石の中に宿らせておけそうなのです。いつでも呼び出せるのです」


 うおーっ!まんまポケ◯ンじゃね〜か!!

 凄えぞ!カミール!魔物使いの王!


「早速このウサ子に、近くに強い魔物がいないか探して貰うのです」


 ウサギの魔物がどこかに走って行く。

 暫くすると戻って来た。


「この先に強めの気配があるみたいなので行ってみるのです」


 ヤバっ!なんかめちゃくちゃ面白くなって来ましたよ。

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