動く者と動かぬ軍
十数年前・『キャメロット城』
(おぉ! トリスタン卿。どうですかな? 最近の修行のできは?)
(いえ、特には‥‥‥パパ‥‥‥先代には劣りますので)
(それは、それは、では、少し私のお相手をしてください。私も少々鈍って下りまして)
(はぁ、では、宜しくお願いいたします)
(モードレッド卿)
(おや? トリスタン卿? そんなに慌ててどうなされた?)
(何やら長期のお休みを取られたとか?)
(え、ええ、しばらく自領に戻り。後進の育成を‥‥‥‥)
(では、早速、私の自領。2人の思い出の地。コーンウォールの泉へ参りましょう)
(いえ、まだ、私は仕事がぁああ! トリスタン卿!!!)
ズザザザザ!!!
(ハハハ、楽しそうですな。モードレッド卿! 以前より、明るくなられた)
(ぐっ! ガウェイン卿。見てないで助けてくれ!)
数年前・『キャメロット城』
(おぉ、トリスタン卿。正式なトリスタン家。当主就任おめでとうございます)
(あぁ、おめでとう! トリスタン卿)
(‥‥‥‥ありがとうございます。モードレッド卿、ガウェイン卿!全ては貴方達。2人が影で私を見守ってくれたお陰で‥‥‥‥)
(ハハハ、そう言ってもらえるとはな! モードレッド卿)
(‥‥‥‥あぁ、彼も浮かばれるだろう)
(彼?)
((いや、何でも無い。改めて新党首就任おめでとうトリスタン卿))
(えっと!はい!ありがとうございます!御二人共‥‥)
トリスタン・ガウェイン軍
神代・回帰の技が止む。
「え?! モードレッド? 何処ですか?」
辺りを見渡す。トリスタン卿。
「‥‥‥‥‥あぁ、我が友。モードレッド!行ってしまいましたか‥‥‥‥」
静かに地下空域の上を見る。ガウェイン卿。
「あれ? 嘘ですよね? モードレッド‥卿は ?何処に?」
トリスタン‥‥‥イゾルテはゆっくりとガウェイン卿の顔を見る。
「‥‥‥‥トリスタン卿‥‥‥モードレッドはもう」
ガウェインは、イゾルテの顔を見ながら。顔を左右に振り。モードレッドがもういないことをイゾルテに伝える。
「‥‥‥‥‥闘いに‥‥‥モードレッドに勝てば‥‥‥‥救えると思ってました。身体も、心も、本人も、モードレッド卿、自身を私の手で」
「ええ‥‥‥‥私もですよトリスタン‥‥‥いえ、『金髪のイゾルテ』殿。貴殿は‥‥‥‥‥先代、トリスタン卿の‥‥‥」
「それ以上は結構です! ガウェイン卿‥‥今は‥‥今は、私がトリスタン家元当主。フェイルノートのトリスタンなんですから」
「‥‥‥‥ええ、そうでしたね。すみません。トリスタン卿」
「分かれば良いです。ガウェイン卿!‥‥‥‥私は私の役を死ぬまで演じ続けます。それがバカだと言われても」
「‥‥‥‥‥そうですか‥‥‥‥‥」
「はい‥‥‥‥よいしょっと!」
イゾルテは‥‥‥‥‥トリスタン卿は静かに立ち上がる。
「トリスタン卿?」
「モードレッド卿はいなくなりましたが、元凶である。『女王』はまだ現在です。ガウェイン卿」
「ええ、そうですね」
「モードレッド卿の心を弄んだ『女王』に必ず。正義の鉄槌を喰らわせます。‥‥‥まずはこの左翼の残党兵を片づけます。手伝って下さい!ガウェイン卿」
「‥‥‥はい! 我が盟友達の形見の為に!」
「行きましょう! 『世界樹の迷宮』の攻略へ」
そして左翼の激しい戦いは幕を閉じたのだった。
右翼。
ギャラハット軍 対 ランスロット軍
「で?なんで、うちら右翼の軍は全然。動か無いんだ?」
「真ん中と左翼があんだけ激しくドンパチしてんのに様?」
「知るかよ。そんなの円卓の騎士・最強のランスロット様に聞けよ」
「馬鹿。そんなこと聞いたら。命が幾つあっても足りねえだろうが。殺されちまうよ!」
「だよなぁ。やっぱり別格だわ。ランスロット様は」
◇◇◇◇◇
「ギャラハット卿。動かないので?」
「うーん。動かないんじゃなくてね。動けないんだよ。お互い」
「動けないですか?」
「あぁ、今は、敵の隙を探りあってるって感じ。まさに鉄壁の『ランスロット』だよ。隙が全くと言っていい程無い」
「ど、どうなされます? 突っ込みますか? ギャラハット卿?」
「突っ込んでどうする? 相手は『妖精国』随一の騎兵隊部隊だよ?私達の軍なんて動いた途端に各個撃破で瓦解してしまうよ」
「では? どの様に?」
「ランスロット卿に一騎討ちを申し込む」
「はっ? 今なんと? ギャラハット卿?」
「まぁ、見ていてくれ。どうにするさ、ワハサ副将」
「はぁ、分かりました」
◇◇◇◇◇
「さて、親子喧嘩を始めましょうか? お父上様。ねぇ、最強のランスロット卿」