なぜ急ぐ?
『カムラン高原』
俺は投降兵を戦場の真ん中に集め。タマキの簡易転移魔法である紙とぺんを配らせ投降兵達。自身のフルネームを書かせた。
「よし、投降兵は全員。契約書(縛りの契約)にサインしたな?タマキ?」
「はい! 短期戦闘だったので負傷者も余りいませんし。逃げ出した人達も『黄金の鎖』と簡易転移で戻って来てもらいました」
「わかった。ありがとう」
「ねぇ? セツナ君。この人達をどうする気なの?それに、なんでそんなに急いでる感じなのかな?」
「そ、そうだぞ!殆ど説明も無しに投降兵を動かせなど!何を考えている?」
アルが少し困った顔で聞いてくる。
その隣には、先ほどまで意識が無かったペレノア卿が立っていた。。
「もう時間が余り無いんだ。アル……今日の朝、あの黒いベールを見て確信した。『カムランの戦い』『七つの丘』「セルビアに居た『蛇竜』‥‥‥女王は今日でなるつもりなんだ。新たな神にな」
「あ、新たな神? 何それ?」
「‥‥‥‥今回の反乱軍の黒幕『女王』様があの目の前に見える『世界樹』を使ってなろうとしているのさ。新しい神に。七聖―女神―『ユグドラシル』様を殺してな」
「おい! そんな話。ランスロット卿やモードレッド卿は一切。俺に話して来なかったぞ!」
慌てるペレノア卿。
「そりゃあ、そうだろう? 『妖精国』の住人に話す必要なんてなくていいのさ。恐らく、あのモードレッド卿とランスロット卿は中見が別の誰かになってるだろうな」
「話す必要がない? あの2人の中見が別の誰かだと?」
「ペレノア卿は2人に会ったんだろう? その時、何か雰囲気とかおかしく無かったか?」
「雰囲気?‥‥‥‥言われて見ればモードレッド卿は何か不気味さがあったり。ランスロット卿はなんだ? その‥‥‥‥魂が抜けて。人形の様な!そんな感じがしたな」
「やっぱり! 『女王』の呪いか何かの副作用か人格を乗っ取られたかだな‥‥‥‥2人共!『世界樹の迷宮』へ急ごう。タイムリミットは夕刻までだ。その間に『女王』を倒す」
俺はそう言うとアルとペレノア卿と共に『世界樹の迷宮』へと移動する事事にした。
「主!」
「我々は」
「どないします?」
残存兵のペレノア軍で移動しようとした時。俺が『和国』から呼び出した三組の神獣方が声をかけてきた。
「皆さん。今回。こんな、危ない所に来てくれてありがとうございます」
「わっぱっぱっ!何の何の」
「『和国』の恩は一生ですから」
「姫も会いたがっとたでぇ!」
「‥‥‥‥では、『鳴神』様は俺と来てください!」
「はい。主!」
「残りのお二方は両翼の軍の相手をお願いします。報酬の魔力残滓は全てお持ち帰り頂いて構いませんので」
「なんと! ここの濃い魔力残滓を全て?! 酒呑殿!!」
「ええ! いい魔酒が作れますなぁ! ほな!」
「はい。我々は行きます! 雷殿! 『鳴神』殿」
「お願いします!」
「勝って! 祝杯を!」
「では!」
「「散!!!!」」
『カムラン高原』
ガウェイン軍対モードレッド軍
「ハハハ、流石は昼間は無敵のガウェイン卿! やりますな!」
「‥‥‥‥くっ! 何を余裕そうに! モードレッド卿!」
「ヒヒヒヒ! そんな事ありません。俺も必死ですとも!ヒヒヒヒ!」
「緊急! 緊急! モードレッド卿!」
「何ですか? 五月蝿い!」
ザシュッ!
「ガハッ‥‥‥‥はい。中央に居た。トリスタン軍がこちらに向かって‥‥‥‥」ドサッ!
「き、貴様! 自分の部下に攻撃を!」
「ヒヒヒヒ! いいんですよ! 別に今日の夜で全て終わるのですからね!ヒヒヒヒ!ヒヒヒヒ」
「何? 貴殿は何を言って?‥‥‥‥」
「モードレッド卿! 神代弓技(橙)『橙弓覚』」
「ん? おや! 皆さん! 行きなさい!」
「へ?」
「何がですか? モードレッド卿?!」
「ヒヒヒヒ! 私の盾になりなさいって事だよ! 行け!!」
「なっ? 身体が勝手に! ぎゃあ!!!」
「そ、そんな!! うわぁ!!」
モードレッドの命令で側近の兵士が次々に『橙弓覚』に突っ込み倒れて行く。
「モードレッド卿!!!」
「モードレッド!!!」
ガキーン!!
「おや? 御二人共? 何をそんなに怒ってラシャるので? ヒヒヒヒ!」
「もういい! 貴殿は」
「ここで我々が」
「「粛清する!!」」
「やれるもんならやってみなさい!ヒヒヒヒ!ヒヒヒヒ!御二人共!!!」
『ペレアスの湖』北東部
「黒いベールが広がる前に中に入ることはできたけど。これからどうするの? フローレンス?」
「目的は変わらないよ。パーシヴァル、此方達はこのまま『世界樹の迷宮』の攻略に向かう」
「でも、目の前に突然、現れた。あの、グールみたいなのはどうするの?」
「アアア!!!」
「殺してくれ!!」
「アアア!死にたい!!!」
「いや!いやあぁぁ!」
「あれは、多分だけど地上で死んでった妖精の死骸だと思う。黒幕の『女王』様はかなり趣味が悪いね。同じ国の妖精同士で殺し合いをさせてるたんだからね」
「どうする? フローレンス?」
「パーシヴィア。君は、メイエス先輩を連れて一足先に『世界樹の迷宮』に行って。メイエス先輩の近くに居た方が安全だからね」
「そ、そうなの? でも、私、一度捕まってて」ガタガタ!
「ごめん! 君しか『世界樹の迷宮』の中を知らないからさ!辛いだろけど!‥‥‥‥メイエス先輩‥‥‥いや、エスフィールさんは『7つの秘宝』の1つ『武神鎧』またの名を『ユグドラの盾』を所持してる」
「‥‥‥‥‥『ユグドラの盾』を?」
「うん! それに此方のご主人様も『世界樹の迷宮』に向かい始めてるよ! 君のお父さんと共にね」
「お父さん?! ペレノア卿が‥‥‥お父さん‥‥‥わ、わかった! 怖いけど。行ってくるよ、フローレンス!」
「ありがとう! パーシヴァル!」
「って! 何で抱きつくのフローレンス」
「何か、あったら此方のご主人様の魔法の袋へ逃げ込むといいよ」カチャリ!
「‥‥‥何これ? フローレンス?!」
「『契約の輪』これで此方達は運命共同体。ご主人様のメイドさんだよ!」
「『契約の輪』って! これ…自分じゃあ外せないやつじゃない?!」
「全軍に告げるをこれより軍を半分に分ける。5000の兵は我と共に目の前の敵を倒す! 残りの5000の兵はパーシヴァル卿と共に『世界樹の迷宮』の攻略にあたれ!!」
「おお!!!」
「フローレンス様!! お供致します!」
「パーシヴィア卿! 脱いで下さい!」
「‥‥‥にゃんで! こんなに人気なのにゃあ? あの二人は?」
「何やら! 踊り子集団とか六こう何とかという歌い手集団の活動をしていて凄まじい人気らしぞ」
「踊り子にゃあ? わっちらもやるかにゃあ? メイエス?」
パコーン!
「い、痛いにゃあ、何するにゃあ!」
「軽く肩を撫でだけじゃ。全く、私はパーシヴァル卿共に行くからのう。セシリア、ここは任せたぞ!」
「うにゃあ! 大暴れしてやるにゃあ!」
「パーシヴァル軍!! 移動を開始する!!!」
「おお!!!」
「『世界樹の迷宮』を攻略するぜえ!!!」
「パーシヴァル卿の仇を取るぞ!!!」
「全てはパーシヴァル様の為に!!!」
パーシヴァル軍の行軍は熱気に溢れていた。




