九条先生と一生徒
「スゥー………フー、長い戦いが終わりどちらの世界も平和になったか」
世話好きの教師が1人。煙草を吸いながら夜空の満月を見ている。
「あれ? 九条先生。何、黄昏れてるですか?」
「神成か……なんだか久しぶりだな。天王洲達とは話したのか?」
「あ、いえ……九条先生から逃げるとか言って。タマキを俺から奪い取って、アリーナに行っちゃいました」
「は?……私から逃げるだと?」
「はい。死にもの狂いで逃げるそうですよ」
「そうか。アイツ等、今度会ったらお仕置きしよう」
「あ~、それならこれを渡しときますね。昔、2人の首に着けていた『契約の輪』と魔力紐です」
神成はそう告げると、2つの魔道具を九条へと手渡した。
「これはどうやって使うんだ? 神成」
「魔力を込めれば、アリーナからあの2人を強制的に九条先生の元に呼び出せます。なんか、暫く会わない間にタマキが凄くパワーアップしていたんで、転移で色々できるそうです」
「スゥー………フー、ほう。それは良い物を貰った。感謝するぞ。神成」
「いえいえ、九条先生には和国の……ヤマトタケルとの戦いの時にお世話になりましたから」
「ヤマトタケルか……懐かしいな。しかし、よく大アルカナを最後まで倒せたな。神成……私は少なからず途中で絶対に失敗すると思っていたんだ」
「……沢山の仲間が助けてくれましたからね。それに沢山の犠牲がありました」
「……スゥー………フー………だな。その犠牲の上に地球とアリーナの平和があることを心に刻んで忘れずにおこう。今後の平和の為に」
「……はい」
教師と生徒は夜空の満月を見るながら、今後の2つの世界の平和を静かに祈ったのだった。




