アナタに花束を届けたい
ここは大国『セルビア』の首都『オーディン』。
快晴の青空の元、一組のカップルが挙式を執り行う真っ只中っだった。
ガラハットとメリュジーヌ・フローレンスの騎士達による結婚式が。
『ユグドラシル大聖堂』
ゴーン!ゴーン!ゴーン!
「フフフ……まさか此方達が本当に結婚する事になるなんて思ってもみなかったでしょう? ダーリン」
「……ダーリンって! フローレンス。君ねえ」
「おめでとう~! 御二人と~!」「英雄達の挙式だ! 国中を上げてお祝いするぞ」「世界がやっと平和になったんだ。お祝いだ。お祝い~」
オーディオに住まう国民達からも御祝いの言葉がそこら中から聴こえてくる。
「良いなぁ。メリュジーヌ卿。あんな素敵な人と結婚出来るなんて。ボクなんてほっとかれて捨てられたっていのにさぁ」
そう悪態つくのはセルビア国の王女アルディス・セルビアだった。
彼女はかつて地球から転移して来たとある1人の男の子に恋をしその後は放置されていた。
「ニャア。アルの機嫌がすこぶる悪いのニャア。これも全部、セツニャが悪いニャア。あの女たらしがこっちの世界でわんさか乙女をときめかせたせいで悲しむ娘達が大量に……」
「セツナ君の悪口は許さないよ。セシリア! 激おこなんだからね。《正雪》」
「ニャギァ? 何でニャア。わっちはただアルが心配なだけなのにニャアアア!!」パキンッ!
挙式に呼ばれていたセシリアはアルディスの氷魔法によって凍り付けにされる。
「……何やってんだ。アンタらはよう! 会えないなら会いに行けば良いだろがよう。地球に行っちまった魔王様は定期的にこっちに帰って来てんだぜえ。それを取っ捕まえて地球とやらに付いてけば神成に会えんだろう?」
「へ? あぁ、うん。そうだね……でもユナちゃんがいつ現れるなんかなんて分かるわけ」
「それはウチがおりますのでご安心下さい。アルディス姫」
「オ、オニャエは行き場所がニャイから家《アインズ家》に勝手にすみ始めた腹黒きつ………ギニャアアア!!」
セシリアに未だに付けられた『契約の首輪』から大量の電気が流れ、彼女は丸焦げになった。
「うるさい猫は嫌いですよ。セシリア嬢」
「君は……タマキちゃん。久しぶりだね。セシリア達と一緒に暮らしてたんだ」
「お久しぶりでございます。アルディス姫……お話は変わりますが。アルディス姫はご主人様にまた会いたいんですか?」
「へ?……そ、そりゃあ会いたいけど。セツナ君は地球に帰っちゃったし。彼にはもう魔力が無いからこっちにも来られないんでしょう? それじゃあもう会えるわけ……」
「いえ。普通に行けますよ。以前よりも安全で高性能にね」
「へ? 今、なんて言ったの? タマキちゃん」
アルディス姫はタマキのその発言で驚きの表情を浮かべた。
◇
「それではお互い愛の誓いを……」
「はい。フローレンス。君が居てくれたお陰で色々な事を乗り越える事ができた……愛しているよ」
「フフフ……此方もだよ。ギャラ……大好きです」
「……2人だけの世界だね」
「ニャア。何でわっちはまで付き添いで行くのかニャア?」
「セシリア嬢は1度地球に行った事があるのでしょう? ならば道案内のするのがアルディス姫の従者としての役目です」
「俺も心配だから付いてくぜ!」
「ギニャア! 誰がアルの従者ニャア!!」
「ハイハイ。うるさいですね~、ではでは久しぶりにご主人様の元へレッツゴー! いざ行きましょう。地球へ~」シュンッ!
「セツナ君にまた会える……」シュンッ!
こうして1匹の狐と三人は神成が居る地球へと転移したのだった。