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スヴァローグの追憶


───ここは何処どこだ? 確か我は死の大地での最終決戦後、霊王が治める影の国に運ばれ治療を受けていた筈だが。


「うお?! 何で夢世界に居るんだ?」


「む? その声は……刹那か?」


「は?……この声は……スヴァローグ……何でお前がここにいるんだ? 神明魔法しか使えないくせに」


「いや、それは我が聞きたい事なのだかな……」


 かつての相棒がいきなり知らない世界に現れたのだ。びっくりもするだろう。



「へー、あっちは今、全地方でお祭りなのか?」


「ああ、死の大地が遥か昔の様に緑豊かな地へと変わり、終末の時を無事に回避したことを祝う祭典だとか。グレイという者が言っていた」


「そうか……本当に平和になったんだな。スヴァローグ。お前の怪我は大丈夫なのかよ? ギアートルに深手を負わされてたよな?」


「それは問題ない。養父…親父殿が我を傷つけた後。直ぐに治癒魔法を施してくれていたからな。傷はかなり浅かった」


「そうか。ギアートルが治癒魔法ねぇ……まあ、なんにせよ。スヴァローグが生きていて良かったよ」


「うむ。それよりも。刹那よ。貴様、今、どこに居るんだ? 決戦後、魔王領の魔王と消えたと聞いたが?」


「んー? ああ、実はだな…」


 刹那は決戦後の事を話始めた。



「新たな神になる事を拒み。力を全て捨てて地球へと帰還したのか」


「まあ、そんな感じだな。俺がそっちにいても、新たな火種にしかならないからな。勇者は役目を終えたらさるのみさ」


「そうか……力を失ったか。ならば。魔法世界アリーナにはもう来れないのだな?」


「だな……あんな力。俺には過ぎたる力だから。魔法世界アリーナが平和になったんなら。俺はそれで良いさ」


「刹那らしい……己の力への解答だな。おっと。もう起きる様だな。ではな。刹那よ。また魔法世界アリーナで会おう」


「は? スヴァローグ。お前。今、何て言った……」



〖影の国 医療部屋〗


「……朝か。随分と長く寝ていた様だな。刹那の奴。元気そうであったな……」


 ────久しぶりに相棒と話せて良かった。少し見ない間に背が伸びていたな。


 刹那よ。貴様がくれたこの平和な魔法世界アリーナは任せてほしい。


 新たな時代は争いなき平和な世にしていくと。イグニッションの名にかけて誓うとしよう。


 我はそう告げて医療部屋を静かに後にした。


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