最終話・俺は君との日常を
『とある日の地球』
ジリリリ!!
「……きぬか……刹……」
「ん?……いやまだ寝れ……」
「ええい! さっさと起きぬか! 刹那! 学校が再開するのだぞ! さっさと起きて支度をせい!」
バチンッ!!
「がぁ?! 痛ええ! 何すんだ? エスフィール」
「ふん! 自業自得じゃな。さっさと顔を洗って支度を済ませろ! 私と寧々達が朝食を作った朝食が冷めぬうちにな!」
バタンッ!
「……すっかり神成家のお母さんポジションだな……ふぁぁ……もう一回寝よう」ポフッ!
……そして、俺は再び夢の世界へとダイビングし、もう一度と俺を起こしに戻って来たエスフィールにフルボッコにされた。
◇
「……痛かったんだが。魔王さん」
「ふん! 朝食に帰って来てフヌケておるからだろうよ。勇者殿」
「フヌケねえ……別に良いだろう、フヌケても。君が魔王領の仕事で数時間だけ魔法世界に帰って仕入れてくる話わ定期的に聞くに。あっちの世界は平和なんだしさ。安心してフヌケにもなるさ」
そうなのである。俺、事態は魔法の力がなくなったので、魔法世界には行けなくなったが。
七つの秘宝〖黄金の宝物庫〗ことタマキのお陰でエスフィールだけは、地球と魔法世界を行き来き出来るようにしてくれたみたいなんだよな。
ちなみに魔法世界の仲間達はというと。ヒスイとセシリアが付き合い出したり。メリュジーヌ卿とギャラ先生が結婚したりだとかのとんでもニュースを聴かされたりで。すっかり平和を満喫しているんだとか。
良かった。良かった……っと! エスフィールの顔を見ながら考えていた。
「阿呆。今年は高校受験も控えておるのだぞ。生徒会の仕事もある。それにあっちの世界では……」
「はいはい……気を抜きません。抜きませんよ」
「全く……お主。勇者としての自覚はあるのか?」
「んー?……いや、無いな。皆無だ。皆無。俺はもう全ての力を失った普通の中学生にジョブチャンジしたんだからな」
「……普通の中学生が執事に送り迎いされぬと思うがのう」
「さようで……まあ、俺は君が直ぐ側に居てくれればそれだけで良いんだよ。魔王のユナ・エスフィールさん」
「……それは私が一番好きという事か? 勇者のカミナリ・セツナ殿」
この日俺達はいつもよりも早く家を出た。学校のグラウンドには俺達以外に誰もいない……この言葉を伝えるには今が一番良いだろう。
「ああ、俺は君が一番大切で……この世で一番好きな女の子だよ! 魔王エスフィール! だから俺の側にずっと居てほしい! これからのずっと先の未来もっ!」
俺はエスフィールに向けて、思っている事を素直に伝えた。彼女が好きという気持ちを包み隠さずに。
「フフフ……その言葉を待っておった……うむ。私もお主が大好きじゃぞ。勇者セツナ……だからこれからもずっと私の側に居させてくれ!」
エスフィールは……いや、ユナはそう告げると俺の胸元へと飛び込み、俺の唇にキスをした。
「……エスフィール。ああ、ありがとう。これからもずっと共に歩もう。魔王様……」
「うむ……約束しよう。勇者殿」
そうして俺達はお互い抱き締め合い。勇者と魔王の関係から恋人の関係へと変化した。
俺は魔王を連れて地球へと帰還して、色々な場所を共にした。何とも可笑しな物語だと自分でも思いたくなる。
そうだな。もしもこんな物語があるのならタイトルはこうしようか
『最終決戦でしたが何故か魔王と一緒に元の世界に帰還しました 』とかな……
「なーんてな……」
「む? 何じゃ? ニヤニヤしよって?」
「いや。何でもないよ。エスフィール。さあ、教室に行こう。エスフィール……俺達の日常が待っている。それからこれからもよろしくな。彼女さん」
「……良く分からんが。まあ、良いか……うむ、これからもよろしく頼む。彼氏殿」
俺達はお互いにそんな冗談を言い合いながら。手を繋ぎ仲良く校舎へと入って行った。
そんな毎日がずっと続く様に俺はこれからも彼女の隣で支えていこうと……彼女の勇者としてこれからも守ってあげようと心に誓った。
好きな女の子を一生懸命守る勇ある者。それが俺が思い描く理想の勇者なのだから………
〖最終決戦でしたが何故か魔王と一緒に元の世界に帰還しました〗
終わり。
ここまで最後までお読み頂きありがとうございました………初投稿から約1年8ヶ月の間の時が経ち、初作〖最終決戦でしたが何故か魔王と一緒に元の世界に帰還しました〗を完結させる事ができました。
………そして、これで主人公〖神成刹那〗のお話は終わりです。そう彼のお話は終わりですが他の登場人物はまだまだいます。
この作品は完結しますが、今後は定期的に他の登場人物の事は書いていきますのでよろしくお願いいたします。
本当にここまで読んで頂きありがとうございました!