終局決戦・〖神なるモノが撰ぶ時〗No.0 勇者の選択
『白い世界』
「ここは?……ソフィアが居た場所に似ている?」
「来たか……いや来ましたか。新たな天上の理の方」
「……? 君は誰だ?」
俺の前に突然、フードと仮面を付けた人物が現れた。
「私は神々の黄昏のゼロ……」
「神々の黄昏のゼロだと? 何でこんな場所に敵が?」
「……もう戦いは終局しましたよ。新しき神〖カミナリ〗」
「新しき神? 俺が?」
「はい。魔法世界の……いえ多次元世界の神々。天上の理に貴方はたどり着いたのです」
「……何で嬉しそうなんだよ。それよりもエスフィールは? 他の皆は? 世界はどうなったんだ?」
「……それはこれからの貴方の選択次第になります。神・カミナリ」
「俺の選択次第?」
「はい! このまま貴方が手に入れたあらゆる力……大アルカナ、神気、魔力、神秘の全てを受け入れ。天上の理の座に付けば魔法世界は消滅します。逆に貴方が魔法世界や異界でこれまで得た力全てを失うのならば魔法世界は救われるでしょう」
「俺がこっちの世界で得た全ての力を失えば、魔法世界が救われる……」
「ええ……それ程の力があれば別世界への干渉も可能です! あらゆる人種の人生に簡単に介入し、改竄も思いのまま。好みの存在をその場に喚び出して好き勝手もできますよ」
「……だから何で少し嬉しそうなんだよ……分かった。なら俺はこの力を失い魔法世界を救うよ事を選択するよ」
「ハッ? マジて言ってるんですか? 貴方? 全能の神や破壊の神。真竜や創造神と同じ位に付けるんですよ? 馬鹿なんですか?」
「誰が馬鹿だよ……元々。神々の黄昏を倒したら大人しく地球に帰還する予定だったんだ。それにこっちでの俺の力は行き過ぎた力だとも自覚していた……その力を失って魔法世界が救えるなら、俺は喜んで今まで得てきた力を手放すさ」
「そうですか…それが貴方が選んだ選択ですか……了解しました。それを受理しましょう……そして、貴方の力は取り上げさせてもらいます(嘘)……ではでは。ただの人間に成り果てる貴方には興味の欠片も無くなりましたので、お取り引きをお願いしましょう……貴方がお好きの魔王と地球へとさっさと帰還して下さい。いでよ! 白い扉~」
ゼロはそう告げると魔法で扉を造り出した。
「随分とノリが軽いんだな……じゃあ遠慮なく帰らせてもらうよ……そうだ。最後に君に質問させてもらっていいかな?」
「はい? 何でしょうか?」
……仮面を付けてゼロとか名乗っている。この少女の正体を俺は言い当てる。
「君……アリーナ様。本人だろう? 違うか?」
「……さあ? どうでしょうね? 教えません~」
「シラを切るのかよ……ちゃんと。神々の黄昏の監視をしてたんだな」
「……手は出さないと決め手ましたけどね」
「エスフィールと戦ってたろうが……まあ、良いか。それよりもこれからの魔法世界をよろしくな。創造神・アリーナ様。さようなら……」
俺はそう告げるとゼロが造り出した扉を静かに開け……
キイィ……
「ええ、さようなら。勇者さん……この世界を救ってくれて本当にありがとう」
扉を潜る俺の背後からゼロの感謝の言葉が聴こえた気がした。
……ガチャ!