終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.16 ギアートル・ホーエンハイム
───黄金の光に包まれたと思えば。ここはどこだ?……何故、今まで生きていた思い出が甦ってくるのだ……
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原初の時代……〖とある天空大陸の花園〗
『全能の神の一部と破壊の神の一部を混ぜ合わせ、貴様を産み落とし役目を与えよう。世界を創り変えろ』
ボトッ……
「ここは……神の一部の混ざりモノで……俺は」
「あら? 貴方……ここで何をしているの? お名前は?」
「俺?……俺はギアートル・ホーエンハイム……君は?」
「私?……私はマギア……魔法を研究する錬金術しよ」
「マギア?……錬金術」
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「お父様ー!」「だぁー!」
「あれから数年……マギアに惚れ。イヴにエクシスという子供が出来たが……マギア。天上の理より、手紙が来たんだ」
「……始祖の龍に貴様の存在が知られた。取り引きにより、貴様の子供をフラマとトネリコと言う異世界へと飛ばす事になった……何よこれ?」
「それを守らねば俺達も殺し。アレイスター、アルデバラン、カリオストロ、マリー、ジン、サテュロス、ゼロ……世界に変革をもたらす仲間達も殺すと御告げがあった……勿論、魔術を極め広めた大魔女の君もとな」
「……何よそれ?……全能の神はどこまで私達を不幸にすれば気が済むのよ!」
その後、マギアは連日泣き続け。イヴはフラマの世界に。エクシスはトネリコの世界へと我々の全ての記憶を消して転移させた。
そして、まさか神話時代に再開するなど思っても見なかったがな。
◇
神話時代『ヘファイストス地方 イシス』
「どうだ。アレイスター、ゼロ。―女神―創成の研究は?」
「魔術師・ギアートル……それがですね。ロキが魔法世界の真実を第一世代以降の実験体の脳内に情報を与えてしまい」
「……このまま神代行の研究を続ければ反乱が起こる事は間違いないかと」
「またもロキか……全能の神が遣わした。我々を管理する〖観測者〗か……ならば研究は中止とする。零世代は急ぎ神々の黄昏へと編入させ。第一世代以降の者達は、従う者以外は永久に眠らせこのイシスの地下深くへと保存する」
「はい。了解しました。ギアートルさん」
「……ロキの動きが活発化してきたがどうする?」
「ギアートルに監視してもらう。行き過ぎた行動をすれば。全能の神の遣いの者だろうと容赦なく処罰するさ。その為に新組織〖神々の黄昏〗を立ち上げたのだからな」
▽
『魔法大陸の最果て』
「……代理人ちゃん! この世界の真実って……後、数百年でこの世界が消滅するってどういう事よ!」
「……その本に書かれている通りだ。フォルトゥナ。そして、それを読めば普通は精神が壊れるのだが。元々、壊れてるお前なら大丈夫の様だな」
「誰が壊れているよ……成る程ねえ。貴方の奥さんのマギアを始め、実験体だった。イシス、ヘラ、ヘカテ、フレイもこの真実を頭にぶちこまれて壊れちゃったわけね」
「ああ、ロキの仕業だったが。それも良い破滅を作る切っ掛けになるだろう。全てはアリーナを救い。我の家族が新しい世界で生き残ればそれで良い」
「……相変わらず。自分の家族以外には容赦がないわよね。ギアートルちゃんは……まぁ! そこに惚れ込んでる私も異常なのよねえぇ!……それで? そろそろ魔法大陸に帰って本格的に始めるんでしょう? 魔法世界の侵略を」
「ああ、手始めにユグドラシル地方に居るエキドナにエルフの国を……」
───そうかこれはかつて〖星〗のシリウスが言っていた走馬灯と言うやつか……自身が死ぬ時に見るという場面……そうか我は終末を成し遂げられず……勇者の一撃で……息絶えたのか……これ程の力を有していた我が死ぬか……ゼロ……いや、零……後の選択はお前にまか……せ……よう………
〖勇者と魔王の未来の為に〗
終