終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.14 勇者・回帰
魔法大陸北の最果て【魔神の谷】
『オオオオオオオオオオオオ!!!!』
「天空の扉までたどり着いたか。ソロモンよ……お前とも長い付きたいだったな。かつての友よ……地形を変え、魔境の谷より天空大陸の扉を出現させろ! ソロモン山脈!」
『ルオオオオオオオオオオオオ!!!!』
『ソロモン山脈・峰跡』
「死の大地の地形が変えられていく? 谷底から白い扉が地上に出てきた……」
「……それだけではないぞ。刹那……大地が揺れておる」
シュンッ!
「まさか。ウチ達を一つにせずに……」
「───私達。それぞれの欠片と大アルカナで新しい〖アリーナの杖〗を創った」
「「「ゴラアアアアアア!!!」」」
ギアートルの攻撃から守る為に黄金の宝物庫に一時的に避難させていたタマキ達が、外へと出てきた。
「特訓した筈の黑衣も無属性魔法も匣の力もギアートルには効かなかった……止められなかったのか? アイツが行う終末を……」
「刹那……」
俺は呆然と上空に浮かぶギアートルを眺めるしかできなかった。その間も大地には亀裂が出来始め、空は晴れ始めているのに、不自然な落雷が次々と落ち始めた。
「そう。今のアンタの状態じゃあ。あのギアートル・ホーエンハイムには絶体勝てないわ」
「ですから私達が来たのです」
「夜叉に頼まれてしょうがなく来たのよ」
「私の豊穣の地を幾度も救ってくれてありがとう」
「アンタが居なくなったらティアマト地方はどうするのよ!」
「……これまでのお礼をしに参りました。ヘラもそれで良いですね」
「……勇者様がそれで生き残れるなら。世界が憎くても受け入れるわ」
「……その声は。アテナ様と……七聖―女神―の皆さんと……エリス?」
「そうです勇者様……私は―女神―ヘラの剣属にして半身。地上を監視する為の存在でした。だから貴方が近くに居ても認識出来ずにいたんですよ」
エリスはそう言うと俺の右手を手に取った。
「そうか。薄々はそうじゃないかとは思ってたけど。君がヘラ神の半身だったのか。でも何で七聖―女神―様全員がこんな場所に現れるんだ?」
「それはアンタに元の力を返す為よ。刹那……アンタに返す力は二つ。幻想大陸で得た力。勇者時代の力……これを使えばアンタは元の強さ以上に強くなれるわ」
「……俺に返す力?」
「時間がありませんから始めますね。皆さん! お願いします!」
「「「「「「「かの者に取り上げた力を返す……七聖・輪廻〖勇者・回帰〗」」」」」」」
「……これは?」
「刹那の身体が光っておる?」
◇
『ソロモン山脈 天空』
「あらゆる犠牲を払いここまで来た……幾らアリーナであろうと地殻を操れるとは思わなかった様だな。そして、このアリーナの杖は鍵となりマキナへと通じる扉を破壊する……天空大陸に通じれば幻想大陸、暗黒大陸へと通じる道が結ばれる。四つの大陸を制した時、魔法世界の理は破壊され。それは別世界にも影響を及ぼすだろう……終末の時……ここにラグナログが完遂する」
ギアートル・ホーエンハイムはそう告げるとアリーナの杖を静かに天へと掲げ……
シュンッ!
「そうさせない為に俺が戻って来たんだよ! ギアートル! 天雷魔法〖神雷脚〗」
「?! お前は?」
ドガアアアンン!!
ギアートルは天空の扉へと叩きつけられた。
「……お前は誰だ? 金色の者よ」
「俺か?……俺はお前を止める為に力を取り戻した。勇者さ。ギアートル・ホーエンハイム」
魔術師ギアートルの前に金色の魔力を帯びた者が現れた。
かつての全ての力を取り戻した者が。
そう神成刹那が世界の破壊者の前に現れた。




