終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.13 七つの秘宝が集う時
『ソロモン山脈・峰』
「……更地と化したか。天空の扉も近い。破損した筈の七つの秘宝を回収し、アリーナの杖を早急に造らねばならんな」
「緑魔法〖ユグドラの緑激〗」
「ほう。愚者を退けたか。魔王よ……聖典回帰〖光壁〗」
「つっ!……刹那!」
シュンッ!
「ああ、助けてくれてありがとう。エスフィール」
▽
「何だ? 白い衝撃波?……〖無限黑廊〗が押し負け……いや相殺すら出来てない! 逃げろ! 皆!」
「───ギアートルさんの破滅の力」
ズズズ……
「ここは?……ソロモン山脈の頂上か?……それにあの白い火?……不味い! 発動せよ!……〖ユグドラの神々〗」
▽
「……君が武神鎧で時間を稼いでくれなかったら。〖転移匣〗は発動出来ず。皆、やられていた」
「……うむ。無事で良かったぞ。刹那」
「……ユグドラの盾も峰に来たか。これで残り三つの秘宝か……」
ズズズ……
「御先祖様。聖剣の欠片をアヴァロンから持ち帰りました」
「あれは?……セハル?……何でエリスの兄貴がこんな所に現れるんだ?」
「セハルか……ご苦労だった。そして、約束通りに……」
「ええ、不死の力を僕に授けて下さい! 御先祖さ……あれ?」
ドスッ!
「ああ、約束通りに天界の狭間で永遠の彷徨いを与えてやろう。ロキの小間使いだった者よ。貴様の野心はここで費えさせる」
「は?……何だ……全部していたんですか?……ハハハ………ロキさんと連絡が付かなくなってから可笑しいとは思っていたけどね……愚者さんに騙されたか………誰にもバレないよう立ち回ったつもりだったのにさあ……しょせん、僕は勇者にもなれなかった落ちこぼれだったという事かい? ―女神―ヘラよ」
ドサッ!
「……欠片でも聖剣は聖剣……これで残りは〖ロンギヌス〗と〖ラグエル〗のみ……ならば呼び出し従わせよう……来たれ……我が元へ。聖槍ロンギヌス、聖書ラグエルよ」
ギアートルがそう告げると、俺が持つ黄金の宝物庫と最果ての孤島が突然、光出し。中からロンギヌスの槍とラグエルの書が飛び出して来た。
「嘘だろう? 俺の命令も無しにロンギヌスとラグエルが自力で出てきた? 二つとも封印していた筈だぞ」
「……真なる魔道の秘宝は製作者に逆らえん様に、我がそう法として定めた」
「法だと?」
「そうだ。我はあらゆる魔法形態、魔道具、神々を造り出した創造主……そして、ここに全ては揃った」
ギアートルはそう告げると宙へと浮き始める。
「……先の我の攻撃で我の眷属は消滅したが……他愛のない犠牲だ」
「刹那、あやつ。何かする気じゃぞ!」
「ああ! 分かってる! 何かする前に決めるさ! 天雷魔法〖嵐雷の天〗」
俺はギアートルの真上に目掛けて天雷の雷撃を発動し、直撃させた。
「雷撃か……我の中には全能の神〖ゼウス〗の欠片も入って入る為、効かないと言ってやろうと思ったが……もう良い。製作を始めよう……〖黄金の宝物庫〗は外角を成し。〖ユグドラの盾〗は外角を護る物に。〖聖剣・エクスカリバー〗はアヴァロンの力を、〖聖槍・ロンギヌス〗は冥界を穿つ力を、〖ラグエルの書〗は天界の力を、〖終末殲滅人形マキナ〗は魔機の力を、〖炎の首飾り〗は獣魔の力を……あらゆる力が混じ合い……全ての大アルカナの力を使い元の杖へと回帰せよ。聖典回帰〖アリーナの杖〗」
「大アルカナの全ての力で……杖を創っただと?」
………ギアートル・ホーエンハイムの手の中に世界を破滅させる力が顕現した。