終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.11 環と鈴鹿の空間干渉
『ソロモン山脈・アグナの草原』
「シュラララ！ これで終わりだ。怪物共……」
「……本当に容赦がないわね。始祖・神集九煌って！ でも時間はかなり稼げたし……そろそろ自爆して皆を殺してあげるわよぉお！！」
「……何？」
「じゃあねぇ！！ 七原龍・黒龍と天使ちゃん達。冥界落ちて消えてちょうだい！！ 〖運命懐炉〗」
「シュラララ！……成る程。貴様の狙いは最初から我々を殺すつもりだった。可笑しな言動故に見誤ったか。以外に策士だな。貴様……だがな」
フォルトゥナの体が紫の輝きを放ち自爆しようとした瞬間だった。
「地形魔法〖蟒蛇地殻〗」
「ブオオォォ！！」
「はっ？ 何？……魚の口に呑まれ……嘘でしょう？ 冥界の底と繋がって……」
ゴクンッ！
「ハハハ！ 何とか間に合ったぞ！ 神成殿よぉ！」
「こちらの方が策を労してした様だぞ。可笑し言葉よ……と言ってももう聴こえんか。アグナの底の底に沈められた。貴様にはな。上の戦いも始まったか……さて我が新しき主はどんな運命を掴むのか。見物であるな」
◇
『ソロモン山脈・峰』
「……あのスヴァローグが一撃でやれるなんて」
「担い手さん。驚いているのは分かるけど」
「次が来る……」
「次だと？」
オルビステラとイシスはそう告げるとギアートルの方を見ていた。
「オルビステラとイシス……お前達に邪魔をされても困る故に対処させてもらう。聖典英雄サテュロスはオルビステラを……聖典婦人マリーはイシスを止めろ」
「ウオォォオ！」
「……はい。魔術師様」
聖典騎士の時と同様。白い獣と婦人服を着た少女が聖典の中から現れた。
「また本の中から新しい敵を出現させたのか？」
「ええ。そうよ。あれが聖職者を極めたギアートルさんが使える〖聖人召還〗……あの人の力のいったん」
「……イシス様。私はあの白い獣を」
「ええ、私はアントワルを相手する……だから貴方はギアートルさんに集中しなさい。勇者さん」
「ゥオオォオ！」「フフフ！……殺してあげるわ。裏切り者達」
「……済まん。ここは任せる二人共！〖縮転移〗」
「オルビステラ！ 分かってはいると思うけど」
「はい。イシス様。終末を防ぐ為に全力で戦います！」
◇
「スヴァローグに続いて、オルビステラとイシスも戦うか……ジンは世界を知り裏切り。カリオストロは世界の果てに飛ばされ。アレイスターは氷の世界へ輸送され。我が妻、マギアはかつての弟子達に連れられ魔術院へと帰化したか……我に残ったのは愚者……ゼロだけとなったか……」
シュンッ！
「ギアートル・ホーエンハイム！ 天雷魔法〖雷鳴天雷〗」
俺はギアートルの目の前に転移した瞬間。強力な天雷魔法を発動し、ギアートルに向けて勢い良く放った。
「……だがこれも我が主の……破壊の神〖ケイオス〗様の為。聖典回帰〖ラストの審判〗」
【お任せを……最後の審判】
バリバリ……シュンッ……
「雷鳴天雷が……本から出てきた神父に防がれた？」
「この大アルカナの聖典には神々の黄昏に所属し、お前達神ノ使徒に倒された者達の……全ての力が集約されている。そして、この我の力だ。大アルカナNo.1〖魔術師〗の力もな。大アルカナを起動する……贄は現代の魔法世界を……そして、ここに集められた全ての大アルカナよ。この聖典の中へと集合せよ！」
「………何だ？ 身体がいきなり光出した？ いや。俺だけじゃない！ オルビステラとイシス……の体から何かか飛び出して行く」
「女帝、皇帝、教皇、恋人、力、隠者、運命の輪、正義、死神、節制、悪魔、塔、星、月、太陽、世界が我が元に……これで愚者がこの聖典に入れば完成する……天空大陸と幻想大陸を壊す。〖ラグナログ〗が。そして、それを様いる杖はお前と魔王が所持する〖七つの秘宝〗を統合した力。アリーナの杖だ」
ギアートルはそう告げると俺へと一瞬で近付き。俺の首を左手で掴んだ。
「がはぁ？……何だ？ この力は？……魔法が使えないだと？」
「勿論当たり前だ。我はあらゆる魔法の形態を創った祖の魔術師にして、聖典の力を極めた聖職者……そんな存在の前で、異世界から来た子供の魔法無意味になるのは必定。さあ、渡せ。今、お前が持つ全ての七つの秘宝を！ 勇者！」
「くっ！……マキナ。来てくれ！」
ドガアアアンン！！
「───はい。マスター──マスターに触れさせない」
「……殲滅終末人形マキナか。確かに貴様は七つの秘宝だが。奪うのは最後だ。今は……勇者が持つ黄金の宝物庫を取り上げ……」
「させませんよ。ギアートル・ホーエンハイムさん」
「ほんにうちの新しいご主人様になに晒してくれはるん？」
「この声は……タマキと鈴鹿か？」
声が二つ聴こえた。一つは黄金の宝物庫その物のタマキ。そして、もう一つは和国で俺の精神世界に閉じ込めていた筈の鈴鹿御前だった。
「おはようございます。ご主人様。相変わらずピンチの様ですね」
「ほんにうちの新しいご主人様は敵はんが多いんどすな」
「タマキ……鈴鹿……何でこんなタイミングで？」
「ええ！ ベストタイミングで起きれましたよ。ご主人様！ 新入りの狐の人やりますよ！」
「はいな……終末なら強力せんと終わるものねぇ……」
「「神話結界・〖魔法隔離〗」」
タマキと鈴鹿が魔法を発動した瞬間。ソロモン山脈の峰に結界が形成されていく……ギアートル・ホーエンハイムが使用する聖典の一部を封じる結界が。
「ほう……これは我の力を封じる為にマギアが編み出した魔法結界か……それを使われるとは思いもしなかったぞ。マキナ」
「───殲滅します───貴方は過ちを侵し過ぎましたから……ホーエンハイムさん」
ギアートルとマキナはそんな会話をしながら。戦っていた。
