終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.10 スヴァローグの思い
ソロモン山脈突入前……『死の楽園跡』
「ピピピィー!!」
「おっ! マジか? 戻って来たか」
「……何じゃ? 魔鳥に……足に手紙が付いておるのう」
「ああ、いちをどっかで修行している元相棒や剣聖の相棒に手紙を昨日、寝る前に送ったんだが……来てくれるみたいだな。アイツ等がさ」
「ほう。味方になってくれる者達に連絡したのか……しかし相棒が多いのう。刹那は」
「ん? ああ、勿論、一番の相棒は君だよ。エスフィール」
「……ほうほう。そうか……そうか」
「ニャー、また隠れてイチャイチャしてるニャア! この二人は!!」
「何じゃと? べ、別にイチャイチャなどしとらんは、 アホセシリア!」
「ニャアー! 誰がアホだニャア! ムッツリメイエス!」
「……しかし。本当に来る気なのか? スヴァローグ……」
▽
『ソロモン山脈・峰』
「代理人。我は貴殿に憧れ。貴方に追い付く為に強くなった。そして、この強さをもって養父の暴走を……終末を止めさせてもらう。神明魔法・〖イグニッション・ブラスト〗」
「スヴァローグ………」
(何? 新たな家族を作れだと? フォルトゥナ。お前は何を言っている?)
(もう! 話は最後まで聞きなさいよ! 神々の黄昏の戦力強化をするのよ。その為に擬似的な家族を作るの。でっ! それがあの子達よぉぉ!)
(ティアマト神の擬似娘、フレイヤ神の複製体、イグニッション王家の孤児……成る程。皆、強力な力を持つ魔法素体か)
(そうよん。これで更に貴方の計画が進む事間違いなしだと思わない? 代理人ちゃん)
(……俺はスヴァローグ……いずれはフレイヤ地方で最強になる者だ)
(ほう。良い眼をしているなお前は……どれ、我に力を示してみろ)
▽
「などとフォルトゥナにそそのかされ、家族としてしばらくの間過ごしたのは良き思い出だな。スヴァローグ……そんなお前がまさか我に反目するとは夢にも思わなかったが。これもまたお前が決めた事……覚悟せよ。聖典騎士〖アルデバラン〗」
【オオオオォォ!!】
ギアートル・ホーエンハイムは白色の本のような物を懐から取り出し、七死霊の一人であるアルデバランの名前を呼び上げた。すると白銀の鎧を纏った騎士が聖典から出現した。
そして、白銀の騎士はスヴァローグが放った全ての炎の攻撃を手に持つ銀の槍の一突きでかき消してしまった。
「アルデバランって……ヒスイが倒した奴だよな? 何でそいつが白色の本の中から」
シュンッ!
「それはあれが聖典だからよ。担い手しん」
シュンッ!
「……そう。代理人……いえ、ギアートルさんが扱う聖典回帰」
「オルビステラとイシス?……君達。何で最果ての孤島から出てきたんだ? ここは危ないんだぞ。早く中に戻って…」
「ごめんなさい。それは無理な話よ」
「……ええ、私達は神々の黄昏の裏切り者で……ギアートルさんの暴走を止める役目があるの」
「君達……何をする気なんだ?」
「あれはオルビステラにイシスか……裏切り者が続々と現れるとはな。勇者の右耳……最果ての孤島か。中にはブリュンヒルデ……下にはルシファーか。そして、我が娘。イヴも先程。我に最後の別れを述べ、カンナギの姫君が持っていた〖征服者〗〖審判〗〖吊るされた男〗〖女教皇〗を届けてくれた。残りは勇者に纏わり付くいているか……これで全ての大アルカナが揃い。世界を変える力となる……」
「……我のイグニッション・ブラストが一振で無効かされるとは。ならばこれでどうだ。神明魔法〖ブラスト・ノヴァ〗」
スヴァローグは自身の身体に青色の炎を纏わせ。ギアートルへと突っ込んで行く。
「先の一撃でお前が昔よりも遥かに強くなった事は理解した。その一撃をまともに受ければ我もただでは済まないだろう……アルデバランよ。スヴァローグの身動きを止めよ」
【ルオオォォ!!】
聖典騎士アルデバランがギアートルの指示に従い、スヴァローグに向かって勢い良く突っ込んで行く。
「何? 我に突っ込んで来るだと? ならば!……神明魔法〖ラスト・イグニッション〗」
ドゴオオオンン!!
赤き炎と聖魔法の光が激しくぶつかり合い、ソロモン山脈の頂上を明るく照らした。
「スヴァローグ!」
「…………刹那に負けたあの日から我は死ぬ気で修行をしたのだ。したはずだったのだ。それが……こんな一撃で我が負ける……の……か?」ドサッ!
スヴァローグはそう告げると意識を失い、地面へと倒れてしまった。
「聖典騎士アルデバランを消滅させるか……強くなったな。スヴァローグ………全ての大アルカナ、七つの秘宝が揃った。これにて天空の門を破壊せし条件は満たされた。では始めよう。この魔法世界の次の新世界の創成を……」




