終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.9 魔王と愚者の戦い
『黄昏の花園』
魔王ユナ・エスフィールじゃ。スカサハがアルゴンにどこかへと連れられて行かれてしまったが、動くに動けん状態じゃ。それもその筈、目の前に大アルカナのNo.0がおるのだからのう……
「貴様等。スカサハ殿をどこへやった?」
「……上も下も騒がしいくなってきたか」
「私の質問に答えぬか! 仮面の者」
「……そう心配せずとも問題ない。影の国の王女ならあの夜城に居るさ。他人の心配をするよりも、自分の心配をしてはどうだろうか? 魔王領の王……お前の相手はこの私なんだからな。物質魔法〖蒼の魔矢〗」
「青色の矢じゃと?……それにこれは神代の魔力の気配か? 緑魔法〖森羅の盾〗」
愚者が私に放った矢の攻撃を私は大木を出現させ防いだが、大木の盾は矢が当たると同時に消え失せた。
「へー、魔力の性質の違いを分かるようになるまで成長したんだな……素晴らしい。それにその防御力。これなら……短期決戦でいこうか。魔王領の王。大アルカナを発動……犠牲は私の神々の黄昏としての立場を棄てる……大アルカナ〖道化師〗……起動」
「森羅の盾が消滅した? それに……何じゃ? あれは可笑しな仮面を付けた子供?」
「アハハハ!!」
「これは私の哀れな半身の成れの果て……ロキ。愚者という立場を演じる為に破壊の神が寄越した観測者にして、魔法世界を混沌に落とした悪神でもあるか」
「アハハハ!!……そう。ボクは愚かな愚者。油断してイシスに行って、勇者とイシスの策で死んだ愚かな悪童だよ……〖悪霊の矢〗」
「ええい! 邪魔をするな! 迎え撃て。神煌具『緑樹・霊剣』‥‥‥展開せよ‥‥‥神代・回帰〖神代樹海廊の庭〗」
「ギャオオオオ!!」
「……ユグドラシルの護り手。深緑龍まで扱えるとは。物質魔法〖愚行の魔矢〗」
「ウィリディスよ。あの壊れた者の相手は任せる。私は愚者を叩くのでな」
「ギャラララ!」
「……流石が―女神―ユグドラシルが認めた眷属。相手が得たいが知れない存在だと判断するれば、直ぐに対応する怪物を召喚するか」
「終末を止める為の決戦じゃ。もう。出し惜しみはせぬ。そして、これも使用してやろうぞ。七つの秘宝たる『武神鎧』……いやユグドラの盾よ、応えよ……秘宝・回帰〖世界樹の箱庭〗」
「……緑の世界がこの黄昏の園と同化していく? それに私の愚行の魔弓が全て浄化されるとは。これが武神鎧《ユグドラの盾》の力……世界を正常に浄化する力。魔法世界を存続させる力か……」
「アハハハ!……何をボーッとしているんだい? ゼロ。さっさとボクに次の魔法の支援を……ガギィ? 何でボクの首が折れているんだ?」
「……死んでも五月蝿いのは変わらずだな。半身……そんなお前が本当に嫌いだった。ソイツを切り刻め、深緑龍」
「ギャオオオオ!!」
ドスッ!
「アハハハ?!……何でボクがまた死ぬんだよ?」シュンッ!
「……何じゃ? ウィリディスが愚者の命令を聞いたじゃと?」
「……試練はこれで最後とする。これを防げばお前の勝ちだ。魔王領の王……大アルカナ……起動……〖物質主義者〗……終末を超えてみろ」
『アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
「……巨大な機械人形が二体?……が落ちてくるのか?」
「……マキナは勇者側に付いている様だが。残りはこちら側で使用しているんだ。さあ、防げるか? 新時代の王。これを防げなければソロモン山脈に居る者全てが死ぬ事になるな」
「何?……貴様……今なんと言った……つっ!……あの質量と面積を防げと言うのか?」
シュンッ!
「間に合いました!! 無事ですか?! 私のユナさん!!」
「……貴女はユグドラシル様の依り代様? 何故、こんな所に?」
「……ユグドラシル」
「私の押しで大切な眷属が困っているのだから。助けるに決まっているじゃないですか。それに……同族本人が地上に害をなそうとするなら余計ですよ」
ユグドラシル様はそう告げると一瞬だけ、愚者を見つめた。
「同族?」
「いえいえ。こっちのお話ですよ。今はあのデウスエクスを鎮めるのが優先……ユナさん。ユグドラの盾を上に構えて。私が今から言う詠唱に続いて下さい」
「えっと。上に構えるですか……こうでしょうか?」
「はい! では……魔法世界の生命を司る世界樹は……」
「魔法世界の生命を司る世界樹は……」
「「真なる護りの力を発動し、この魔法世界の地を守る盾となろう。七聖・回帰〖新緑の未来を〗」」
ユグドラの盾からまばゆい緑光の光が放たれ、落下するデウスエクスへと注がれる。
『アアアアアアアア?!……アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
「……何とか。落下してくる前に破壊出来たか」
「フゥー、やりましたね。ユナさん」
「……終末殲滅魔機〖デウスエクス〗が壊れる。見事。ここでの勝利は貴女に譲ろう……では私はこれにて失礼する。ギアートルの方を見届けないといけないのでな。〖無闇の沈み〗」ズズズ……
愚者はそう告げると黒い影の中へと消えていく。
「?!……貴様! どこに行く気だ? 待たぬか!!」
「……そう。最後まで彼に従うのですか。ゼロ」
ユグドラシル様は消えて行く愚者を見つめながら、悲しそうな表情な顔をしていた……