終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.7 影の国の女王と征服者
『黄昏の花園』
「愚者よ。お互い戦う場が近いとやりづらいだろう……俺は影の国の娘を夜城へと向かう」
「……了解した。勝てる事を祈っている」
「ああ、お互い。ギアートルが創る新世界の為に……」ズズズ……
「移動……これが無闇?」ズズズ……
「スカサハ殿? どうしたのじゃ……」
◇
『黄昏の夜城』
ズズズ……
「よもや。神話時代から魔法世界を裏で操ってきた神々の黄昏がギアートルと愚者のみになっているとは。全くもって驚いたぞ」
「結果……征服者アルゴンが冥界より呼び出されたのね」
「その通りだ。五百年前、剣技大陸に攻め入り。後もう一歩のところでカンナギの姫君に破れ。俺はさ迷っていた。それが終末が近付き、各世界の理が曖昧になった事を利用して、俺を擬似的に復活させる愚者の力……見事だと思わないか? 影の国の娘」
「当然……そんなのあの人なら簡単でしょう。この死の大地をまとめるあの人なら」
「愚者の正体を知っているのか?……ならばますます生きていられては困るな……それともこの展開をも利用して手に入れる気なの? 魔王領の長が持つ力、武神鎧……いやユグドラの盾を」
「黙秘……今はそれよりも貴方を倒す事が優先。そうしなければ魔法世界事態が滅んでしまうもの……最初から全力でいくわ。発動〖影と結晶魔法……『紫影の世界』。この異空間を結晶の世界で」
「神話の具現化か?! 霊王の……レオンの血筋が良く使うこ賢しい技。それをその若さで扱えるのか?」
「勿論……そして、私は夢魔のハーフ。貴方の呪いは一切効かないわ。魔道王さん」
「ハッ!……抜かった。まさか影の国の娘が、俺がもっとも不得意とする力を有するとはな。影魔槍〖呪激〗」
スカサハの『紫影の世界』が黄昏の夜城を結晶の世界へと変えていく。
これによりアルゴンの力は徐々に弱くなり初めていく事になる。
「……俺の呪詛の魔法が上手く広がらないか。この結晶の世界と外を完全に隔離したな。影の国の娘……お前の狙いは、俺と愚者の魔力パスの遮断か?」
「正解……一時的な蘇生でも、私が剣技大陸の人口の半分を殺した魔道王に勝てるわけないもの。だけど貴方をわざわざ倒さなくても蘇生させた人との繋がりを絶ってしまえば……」
「俺は残り数刻も持たずに消えるとふんだか?……流石、あの霊王の実娘。容赦の無いな……ならば、俺は消える前にお前を倒そう。影魔槍〖黄金の呪箱〗」
「拒否…私はこの死の大地を再び、聖の大地に戻すまでは死にたくないの。だから貴方の要望は御応えできないわ。〖影の晶剣〗」
パキンッ!
「呪いの力でお前の剣に触れただけで、俺の左腕が結晶に覆われた?……まさかお前のその力は?!」
「夢魔の誘惑……影結晶の加護……貴方は私とはあらゆる意味で相性が悪いわ。それが霊王様……御父様が私をカミ君達に動向させた理由。私はこの場面を夢で見てそれを御父様に報告したの」
パキンッ……バキンッ……!
「この展開の未来を既に知っていただと?……霊王の未来眼と夢魔の予知無か……弱りに弱りきっていたとはいえ、大アルカナNo.7の俺をこうもあっさりと打ち倒すとは」
「結論……最初からそうなる様に準備をしていただけよ。万全の貴方には私では絶対に勝てないもの……現代魔法の発案者〖魔法博士アルゴン〗に」
「……ハハハ……そうか霊王と夢魔のハーフならば長生きか……魔法博士など久しぶりに言われた気がするな……懐かしいな……なあ、ギアートル……俺達の研究はこの世界でどれだけの人を救う事が出来たんだろうな?」パキンッ!!
「驚愕……最後は笑顔で砕け散った?……剣技大陸の半分の人口を死に追いやった。アルゴンが………結晶から手紙?」
《弁明にはならないが五百年前の真実をここに……破壊の神は剣技大陸に落雷と雨を降らせ、その多くの命を消し去った……天上の理には気をつけろ……あの中に真の破滅をもたらす者あり。何かあれば愚者を頼り。勇ある者に託しアレの妥当を願う。君の親愛なる共。アルゴンより》
「真実……剣技大陸の大量虐殺は破壊の神が行ったの?……そして、ギアートル・ホーエンハイムが率いる神々の黄昏の狙いは終末……破壊の神の打倒も含まれているという事?……それじゃあ。その時が来た時……私は」
……スカサハはアルゴンの手紙を読み終えると。とある魔法の詠唱を開始したのだった。