終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.5 ヒスイとアルデバラン
神話時代『ヘラ地方・死の廻廊』
「ほう……不死族か」
【アルデバラン・アルカと言う。何の様か? 少年。ここは死の地と空の地が交わる場所……棄てられた場所だ。我もだがな】
「棄てられた? だから君は一人なのか?」
【ああ、そうだ。不死族の長、亡き後。我はここを一人で守っている】
「そうか。暇なんだな。ならば俺と共に来い! アルデバラン。そして、もっと広い世界を共に見ようじゃないか」
【広い世界?……何だそれは】
▽
【そうしてギアートル様と共に七千年以上の時を共に過ごし、やっと終末の時が訪れたのだ。それを邪魔をする貴様等は消さねばならん。死剣術〖骸の誘い〗】
「ハッ! そんなの知るかよ! お前等の願いだの終末には興味ねえ! 分かってるのはお前は俺の一族を皆殺し土地を奪った俺の仇で、俺の相棒……神成の障害になるっていう事だけなんだよ! 骨野郎! 夜暁術〖黒蜥蜴〗」
アルデバランは自身の身体の中から、骨で造られた剣を取り出しそれを振るった。するとその剣から人骨の手が大量に出現し、ヒスイに向かって行く。
「束縛系の神話の闇ってところか……影に落とせ。黒蜥蜴」
ズズズ………
ヒスイの影からどす黒い蜥蜴の形をした闇魔法が現れ、アルデバランが放った骨の手を影へと落としていく。
【不気味な力を使う。だからレイドの一族は滅ぼさねばならぬのだ。ギアートル様の障害になる前にな。そして、貴様とあの老人を殺せばそれが完遂されるのだ】
「てめえ……俺に残された唯一の家族のレイサイトの師匠まで狙うつもりかよ! 本当にろくでもねえやろうだな。新しい身体を手に入れて浮かれてやがるのか? 気味の悪い骨の身体をよう!」
【この身体は我が主君たるギアートル様から頂いた神聖な不死の身体。それを侮辱するとは万死に値すると思え。夜霧の!】
「そっちから挑発してきたくせに、軽く挑発しかいしたら逆ギレしたんじゃねえよ。不死野郎……夜暁術〖影虎〗」
ヒスイは虎の魔獣の姿をした影を数体出現させ、アルデバランに攻撃を仕掛ける。
【……また遠距離攻撃。我に勝った者が小心や攻撃をするものだな。夜霧の。死剣術〖不骨の投槍〗】
「ずる賢い不死族相手に不要に近付く分けねえだろう! 今の一番の優先事項はお前に勝ち終末とか言う馬鹿な事を回避する事だ。だからてめえに負ける事が一番あっちゃあならねえ……数ヶ月前の短気な俺とは違うんだよ。七千年以上を生きる不死のアルデバランさんよう! てめえとの因縁この技で終わらせてもらうぜ!夜暁術・真奥義『諸行無常・漆黒』……死の大地の修行で得た零からの漆黒を喰らいな! 骨野郎!」
【これは……我の影から闇が溢れて……我が呑まれていくだと?】
「ぶっちゃけ。てめえとの俺の血筋の因縁なんかには今更、興味がねえがよお! レイサイト師匠やアインズさんが生きるこの先の未来を壊すってんなら、俺は容赦しねえ……冥界の更にした。無へと落ちて消えな。〖帳黒棺〗」
【これは……棺か?……や、止めろ! 我を弔う気か?……我はギアートル様と七千年以上もの時代を生きた不死のアルデバラン……アル……】
ギィィ……ガゴン……
不死騎士アルデバランが最後に何か言いかける間もなく、黒の棺の蓋は閉まり。静かに影へと落ちていった。そして、アルデバランは地上より完璧に消滅してしまった。
「……死の大地の不死騎士が呆気ねえ最後だったな。どれ……残りの数万の怪物共も平和にしてやろうぜ! 神成、魔王様よう!」
夜霧のヒスイはそう告げるとアルデバランが新たに呼んだ怪物達に向かって、攻撃を始めた。