終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.4 ユグドラシル地方の勝利者
ヘラ地方・死の大地で決戦が繰り広げられている一方。ユグドラシル地方で行われている妖精国の騎士メリュジーヌ・フローレンスと、あらゆる獣の祖〖英雄〗サテュロスの戦いは苛烈な戦いを繰り広げていた。
『白亜の部屋』
「ギャシャアア!! どうだい? 此方が造り出した白亜こ部屋は。頑丈で外に出ることすら出来ないでしょう! 神代魔法(赤)〖赤漣激〗」
【どうしてこんな事に……まさか私が産み出した子達の子孫達に攻撃されるなんて……】
(覚悟して頂きたい。幾ら、我々の偉大なる母・始祖サテュロス様といえど。これ以上の始まりの大森林の破壊は許される事ではありません!)
(見て下さいこの森一面に燃え広がる炎を……サテュロス様。始まりは貴女がお造りになられた場所かもしれません。ですが私達は今、ここで暮らしているのです!)
(サテュロス様。御初に御目にかかります。ワシは始まりの大森林の長ガルド・アインズと申します……この森を任されてから、英雄と呼ばれる貴女に恥じぬ者になるために励んで来ました……ですが今日、ご本人をお会いして、貴女の行動に悲しみく思います………ここで貴女の愚行を止めさせて頂きます! そして、最後に御伝えします。現在の始まりの大森林を見て頂きたい。貴女が慈しみ育てた森と我々を……)
▽
【ガルド……私の夫と同じ名前の猫族……周りを見て頂きたいとか言っていたわ……赤い炎に包まれている。これは私がやった事……ギアートルの為に……】
「何をボーッとしてるのかな? 〖赤竜翼螺旋〗」
サテュロスはガルドに言われた事を思い出し、少し油断してしまっていた。そのせいである。妖精竜形態のメリュジーヌが放った毒の竜翼の攻撃を受けてしまったのだった。
「くっ! よくも。左肩に傷が。それにこの中に居るだけで子供達を分離できなくなる。上手く英雄の力が発揮できない……まさかこの結界は始祖の龍の力?……始祖の獣と対をなす。あいつの……アルビオンの力?】
「ギャシャア!……そろそろ終わりにさせてほしいなぁ。凄い力だね。遥か昔の人を一時的に復活させる魔法なんて。ギアートル・ホーエンハイム。七聖教会の創設者の凄い人だね」
【そう。貴女はアルビオンの力を引きし、妖精竜なの……厄介。アイツの毒は私には良く効くのに喰らわされるとは】
「……終わりだね。さっきから力も弱まって来ているし、その凄い人。術者本人であるギアートル・ホーエンハイムに何かあったのかな?」
【ギアートルにもしもも何かもないの。彼は最高の魔術師にして聖職者……二つの力を極めた〖超越者〗何だから】
「ふーん。凄い信頼だね。でも此方も信頼している人がいるんだ」
【信頼している人?】
「うん。現代の勇者様にして、此方のご主人様……神成様だよ。その人が今、まさにギアートル・ホーエンハイムを相手している……勝つのは此方達を明日を迎える。ご主人様なんだよ。サテュロス」
【……違う。勝つのはギアートル……私をアルビオンから助けてくれた。私の契約者……ギアートル・ホーエンハイムだ! 獣神……回帰……〖我真なる英雄獣なり〗】
サテュロスが白く輝く獣へと変化していく、その姿はとても美しく纏う魔力残滓は強力は様々な魔法属性を含み、白亜の部屋内を破壊しようとうごめき始めた。
「白い聖獣。そう。それで此方を倒す気なんだね。サテュロス……本気には本気で相手をしないとね……神代・回帰(赤白)『天の赤白龍・終点回廊』
赤と白の巨体な竜爪が螺旋を描き動き出し、サテュロスへと向かって行く……
【アルビオンの末裔! これで終わり。〖聖職者の聖獣牙〗】
「遅い……竜爪は回り螺旋を描き終末を終わらせる……〖黄金赤白螺旋〗」
白き聖獣と赤白の妖精竜がぶつかり合い……白き聖獣。英雄サテュロスの胴体に大穴を開け決着を成す。
【がぁ……この私が負けるなんて……】
「うん。君は強かったよ。でもね。此方は許せなかった。ユグドラシル地方をこんなにした君をね。だから本気で戦ったんだよ」
【……ユグドラシル地方をこんなに】
死に際のサテュロスは再び始まりの大森林を眺める。
【そう……これを私が……なら最後は元に戻して消えないとね。それがここを育てた始祖の……親の役目だもの。獣神魔法〖獣界再生〗……これで元に戻る。ギアートル。ゴメン。不甲斐ない遣い魔で。でもここの戦力は抑えたから。後は頑張ってご主人様……】
サテュロスはそう告げ終わると光の粒子となり消えていく。
「ご主人様って……サテュロス。君も此方と同じ。ギアートル・ホーエンハイムに遣えていたの?……始まりの大森林が再生していく。ううん。前よりも魔力が濃くて強い森になっていくね……そう。最後にユグドラシル地方の皆の言葉が届いたんだね。サテュロス……ゆっくりお休みなさい。ユグドラシルの母よ……」




