終末決戦・〖勇者と魔王の未来の為に〗No.2 無闇の世界と終末殲滅人形
俺、エスフィール、スカサハの三人は不死騎士アルデバランとその軍勢の相手をセシリアとヒスイに任せ、ソロモン山脈の中へと転移魔法で移動したが……そこに広がっている光景を見て驚きを隠せないでいた。
「何じゃここは? ソロモン山脈の中に入ったと思ったら。広大な草原があるではないか」
「……スカサハ。此処……あそこと似ていないか? フォルトゥナが支配していた世界。アグナの廃棄炉〗に」
「同意……景色は違うけど。雰囲気はとても似ているわ。あそこのよどんだ気持ち悪さにも……」
【オホホホホ!! そりゃあ! そうよお! だって私がこの場所を用意したんですものおぉ!】
「……この声はまさか」
「運命……嘘? カミ君が倒した筈じゃあ」
【お久しぶりねえぇ! 担い手ちゃんと影の国の王女ちゃん。相棒の代理に……いいえ。ギアートルちゃんの為に戻って来て上げたわよおぉ! 貴方達に負けた魔神ちゃん達と共に限定付きでねぇぇ! 覚悟せえや! クソガキ共!】
運命……フォルトゥナが不気味な怪物の姿で現れた。そして、その後ろには醜い化物達を引き連れていた。
「何じゃ? この女男は……」
「運命の大アルカナ……フォルトゥナだ」
「討伐……したと思っていたのに。まさかまた現れるなんて」
【ええ! 倒されはしたわよおぉ! でも私は執念でこの場所に来たのよ。相棒を助けにねえぇ! さあ。私達の相手を誰からしてくれるのかしら?】
「アアアア!!」「ウオォォォ!」「ゴアアア!」「オエエエ!」
フォルトゥナが引き連れてい来た怪物達が、俺達の方へと一斉に向かって来る。
「刹那……ここは私が何とかするからお主は先に進め」
「駄目……私が残るから魔王さんは進んで……」
「『終末殲滅人形』───起動……なぎ払え。マキナ」
エスフィールとスカサハがどちらかが残るかを話し合い始めた。その瞬間、俺は黄金の宝物庫から終末殲滅人形マキナを呼び寄せた。
「───はい。マスター───〖螺旋〗」
「グエエェ?!」「ウオエェェ!」「ゴギャアア?!」「オエエエ!」
【キャアアア!! 何なの? その可愛娘ちゃんは? 私が呼び寄せた魔神ちゃん達が粉々になっていくじゃない!】
「天空大陸の魔機師が造り出した殲滅人形だ。悪いが時間もないここはこの子に相手してもらってくれ。ウリエル、カブリエル、ルシファー、ミカエル」
シュンッ!
「はい。ご主人様」
「ハイハイ何すか?」
「……あら? 身体が元に戻ったわね」
「アハハ! ぶっ殺しですね!主様」
「これで最後の戦いになる。マキナをサポートしながら存分に戦ってくれ」
「「「「了解!」」」」
黄金の宝物庫と最果ての孤島から呼び出した天使達はそう告げるとフォルトゥナに従っている怪物達を倒し始めた。
【ちょっとおぉ! 止めなさいよね! 私達の身体何て天使族に攻撃されたら炭になっちゃうんだから。攻撃何てするんじゃないわよおぉ! ぶっ殺すわよおぉぉ!】
「マキナ。相手はあの女性口調の怪物だ確実に仕留めてくれ」
「───了解───マスター……殲滅を開始する」
「良し。ここは天使達とマキナに任せて、先を急ごう。エスフィール、スカサハ。……ギアートル・ホーエンハイムの元へ」
「う、うむ。しかし、この万を越える数を相手に幾ら天使達やそのマキナと言う者だけでは、厳しいのではないか?」
「……それは」
「それは……」
「シュラララララ! ならば我も残ろう。新しき我が主殿よ。此度の終末の祭り我も参戦したいからな」
「お任せを!」「オンンン!」
再び黄金の宝物庫が光ると黒龍・八岐大蛇とその付き人のウラミとオンネンが酔っ払いながら現れた。
「大蛇……列島大陸での戦いの傷はもう良いのか?」
「ジュララララ! ウム。全て完治した。だから案ずるな我が新しき主殿……ここは我々に任せ、新しき主は神々の黄昏の首領を倒しに行け。神話魔法〖草薙の太刀〗」
大蛇はそう告げると、大剣を振るい、数万は居る怪物達の半数の身体を真っ二つに切り裂いた。
「シュラララララ! 何が終末か! 終わりの時か。それでは先の未来で酒が飲めぬわ。ならば我はその終末を否定しよう。黒龍・八岐大蛇の名においてな! ジュララララ!!」
「ウリエル、ガブリエル、ルシファー、ミカエル、大蛇達……ここは任せた」
俺達三人は大蛇の高笑いを聴きながらソロモン山脈の峰へと向かって再び転移した。