終わりの始まり
『ソロモン城』郊外
『オオオオオオオオオオ!!』
「まさかここまで何の邪魔も無しに辿り着けるとはな」
「戦略……私の夢魔の力と権能〖迷彩〗で私達の姿は透明化と意識阻害をしているから、誰にも気づかれるわけないわ」
「透明化とは。まさにチートじゃな。スカサハ殿は」
「ああ、それにスカサハは強い。頼りになる仲間さ。あの時の旅でも凄く助けてくれたしな」
「フフ……そうね。あの時の四人の旅は私にとってもかけがえのない思い出になっているわ。カミ君」
「……カミ君? お主らいったい何処を旅しておったのだ? 確かスカサハ殿とはセルビアで遭遇して以降会っていない筈ではないか?」
「いや、それはラグナの……」
「カミ君。その話は今はしては駄目」
「むぐっ?!」
スカサハは俺の口を手で塞いできた。
「全能……の神に目をつけられて不幸にされてしまうわ。ソロモン山脈の峰に居る、ギアートル・ホーエンハイムの様に」
「全能の神がギアートルを不幸にした? スカサハ。それはいったい……」
「全能の神? それは確かゼウ……」
俺とエスフィールがスカサハに質問しようとした時、ソロモン山脈が動くのを止め。俺達の方が乗る魔機車を睨みつけた。
『オオオオオオオオオオ!!』
「ハハハ! どうやら近付き過ぎたみてえだな! 来るぜ! 俺達から逃げたあの骨野郎がな!」
ガゴンッ……!!
ソロモン山脈の一部が大きな扉へと変化し、ヒスイに倒された筈の不死騎士アルデバランが奇妙な馬の魔獣に乗って現れ、その後ろには黒い鎧を身に付けた怪物達を引き連れていた。
【ギアートル様の邪魔をしようとする者達だ。容赦は不要だ。皆殺しにせよ。そして、我は夜霧のヒスイの首を取る】
「「「「「ギャララララ!!」」」」」
「……軽く数千は居るか?」
「うむ。更にあの城の中にはもっと居ると思われるのう」
「壮観……どんどん出てくるわ」
「神成!! ここは俺とアインズさんに任せて先に行って良いぜ! 骨野郎は俺が確実に倒すからよう」
「オニャエ! 何をわっちを巻き込もうとしてるのかニャア! わっちはセツニャ達と一緒に居る方が安全ニャのに……」
「安心しな。数は問題ねえぜ! 何せ、援軍なら冥界とやから呼べるからよう……夜暁術〖骸の呼出〗」
ズズズ……
「「「「「ロオオオオ!!」」」」」
【これは……死霊か?】
「ヒスイ……任せて大丈夫か?」
「ああ、さっさと行きな! 神成! そして、やり合おうぜ! 骨野郎。二回目の俺との殺し合いをよう!」
ヒスイはそう告げて愛刀〖闇霧〗を構え、不死騎士アルデバランと対峙した。




