そのまた次の日・ガウェイン卿
昨日、トリスタン卿に自身の弓自慢や弓の歴史。トリスタン卿の家系の歴史等を懇切丁寧に教え込まれ。俺達は疲れ果てた。
解放された後は湯浴みを済ませ。そのまま、自分達のベッドまで行き。息絶えた。
そして、気づいたら外は明るくなっていた。
なんでか、昨日1日を棒に降った気がしてやな気持ちになり。
ストレスを感じてしまった。近くで寝ていた。アルディス‥‥‥アルに悪戯してそのストレスを解消(寝顔をずっと見ていた)をしていると唐突にアルが目をパチクリさせて起き上がってきたのだ。
‥‥‥もう少し綺麗な寝顔を見たかったな。
「‥‥‥おはよう。セツナ君……何、私を襲おうとしているのかな?」
「いや、俺はただ、君の寝顔を観察していただけだ」
パスンっ!
「……バカ」
アルのベッドの近くにあった高そうな枕を俺の顔面に屠られた。
コンコン!
来賓用の客の間の扉からノックの音がした。
「はいどなたでしょうか?」
「おはようございます!御二人共。少しお時間よろしいでしょうか?」
あの声は確か!‥‥‥ガウェイン卿の声だ。
ガチャリ!
扉を開けると目の前には、金髪のイケメンが凛として立っていた。
「おはようございます! ガウェイン卿。朝からお勤めご苦労様様です」
「はい。おはようございます。御二人共」
「あの? 朝からどうしたの?」
「はい。アルディス王子。昨日、御二人はトリスタン‥‥‥トリスタン卿の弓の解説を目を輝かせてお聴きしてたと。トリスタン卿が興奮しながら私に教えてくれまして」
「‥‥‥‥はぁ」
(おい! アル。ヤバイぞ! この流れ。多分、定番の)
(‥‥‥ん? 定番の何? セツナ君?!)
「では今日は是非、私の剣術と剣の歴史。そして、我が家の歴史について知って頂こうかと」
ほら見ろ。物語定番のスキップ不可能。回避不可能。強制イベントの始まった。
「いえ、あの‥‥‥」
俺はどうやってこの場を乗り越えようかと考えた瞬間。
「ん?おや?ガウェイン卿?何してるです?」
ガラ先生事、ギャラハット卿が俺達の前に現れた。
「おお、ギャラハット卿。実はですね。かくかくしかじかで‥‥‥‥」
おお、ここでイベントスキップキャラが乱入とは。では、ここは上手く切り抜けて。今日は1日。のんびり、アルと一緒に城下町の見学にでも‥‥‥‥
「なんだって? ガウェイン卿の剣術を見せあげたり。剣術の歴史の勉強をする? 家系も?」
おお、そうだ。ガラ先生、言ってやれ! 言ってやれ! そして、このイベントは強制スキップで‥‥‥‥
「なんと。素晴らしい! まさに教育者、いや、先導者だ!私の半身も現在は中央魔法国で教鞭を振るっている身。そこに現れたわ。元教え子に北東魔法学院の歴代最高傑作」
「いや、ガラ先生。俺達はもう卒業して‥‥‥」
「卒業しても尚、勉強したいということだね。セツナ。なんて、素晴らしい!」
「いや。人の話をちゃんと聞いて!」
‥‥‥‥おい、だんだん、雲行きが怪しくなってきたぞ!何でキャメロット城に残ってる奴等は基本。自慢したがりばかりなんだ?南東部の円卓の騎士達は方がまだ人の話しに耳を傾けたぞ。
「‥‥それでは行きましょう。ガウェイン卿。私も明日の戦いの準備はとうに終わり。暇‥‥‥時間がありますのでガウェイン卿の剣術の妙技や講義に参加します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「おお、なんと! ギャラハット卿。いや、ギャラハット! 流石は、『三銃士』の一人。円卓の騎士になっても尚。勉学に勤しむとは、貴殿こそ騎士の中の騎士に違いない」
「おお、ありがとうございます!ガウェイン卿」
そうして、2人のイケメンは鎧をガチャンガチャンさせながら強く抱きしめあった。
「‥‥‥うわぁ!」
アルが若干引いていた。
『キャメロット』修練場
忠義の騎士 ガウェイン卿
愛剣『ガラティン』の使い手
太陽の獅子。
彼には色々な逸話がある。
そんな彼が今、俺の目の前で凄まじい剣劇を披露している。
「どうですか? ナルカミ殿。この私の妙技!」
「‥‥‥素晴らしいです! ガウェイン卿」
「なんと、いつもは近衛兵に披露するのでが!煙たがらはれてしまって。私はいつも泣いていました」
「うわぁ!」
アルが若干、引いている。
「分かります。分かりますよ! ガウェイン卿。自分も何故か、兵士に講義や訓練を開くと何故か逃げられてしまって‥‥」
「当たり前だろ。あんな、ガリア帝国の軍隊式スパルタみたいな教育方法がまかり通る分けねえだろう」
「セツナ君?!」
俺は、昔のギャラハット卿とマーリン先生の拷問‥‥‥‥スパルタ教育を思い出して。激しく突っ込んだ。
「なんだい?セツナ!そんなに私の講義をもう一度受けたいのかい?」
「講義? 講義? だと? あれの何処が講義だ。あんな、虐待‥‥‥」
「よしよし!ならば良いだろう。ガウェイン卿!場所を移しましょう。ここでは、狭いですから。あそこへ行きましょう」
「おお、なるほど。あそこですね。分かりました!さぁあ!共に行きましょう!ナルカミ殿!!」
「あんたら。明日は決戦だろう?こんな事してて良いのかよ!」
俺は遂に我慢できなくなり突っ込んだ!
「それは、ご心配なく。全ての準備は随分前に整っており。今は暇‥‥‥‥時間がありますので」ガシッ!
「私もだよ。セツナ。久しぶりに楽しい授業の始まりだね!大丈夫!怪我や魔力が減っても。私、特製のポーションを飲めば。明日は万全の状態で戦えるからね。セツナ」ガシッ!
「おい! 離せ! そして、下ろせ! 俺は今日、アルディスと一緒に城下町で遊んで」
2人の長身の男に両腕を捕まれ。宙に浮かされた。
「さぁ、訓練、訓練」
「先生である。私を差し置いて。何、リア充かい? 君の世界だと? そんなこと、決戦前日にさせてたまるか」
「おい! 本音を漏らすな。ギャラハット!! がはぁ!‥‥‥‥」
「‥‥‥では、行こう」
「ちょっと!セツナ君!!」
「あぁ、アルディス王子は遠くで見ていて下さいね。危ないので」
「はい! 分かりました!」
そして、その日の俺は2人の円卓の騎士に剣術の拷問‥‥‥‥指導をみっちり受けたのだった。
それから後で聞いた話だが、相手の反乱軍側に内通者が何人か入るらしく。その内通者を通して敵側の情報が伝わってくるらしく。
そのお陰で相手側が決めた決戦の日時も分かったらしい。
‥‥‥‥
「おお、なんという素晴らしい剣術。流石はギャラハット卿の生徒殿。本当に貴殿は魔法使いなので?」
「君、結構サボってたね? 昔より動き遅いよ。ほらほら」
「うごお! いてぇ! つうか、何でこの空間だと上手く魔力が寝れないんだよ!ガラ先生!」
「なんと! 昔の方が強かったと?」
「ええ、この私とマーリン殿が直々に剣術を教え込みましたから。‥‥‥‥しょうがない。セツナ。君の『臨界突破』を一度だけ解けるようにしといてあげるから。危なくなったら上手く使うんだよ。‥‥‥って?聞いてる?」
「‥‥‥‥」
「寝てしまいましたね。少しスパルタ過ぎましたかな?」
「まぁ、半日以上。魔力無しで我々と対峙してましたから。‥‥‥‥まぁ、これで明日の戦いは何とか乗り越えられるでしょう」
「明日の戦いはですか? ギャラハット卿?」
「‥‥‥‥ええ、明日はね。そうすれば、このユグドラシル地方の戦いは終わりを迎えられるでしょ」
俺は二人の会話を薄れ行く意識の中で途切れ途切れに聞いていた。‥‥‥‥




