〖大魔女〗マギア・アル・マロ No.1 ワルプルギスの魔女
ヘファイストス地方〖都市 オアシス〗の都市機能は死んだ。それもその筈、この巨大都市に住むほぼ全てと言って住民が深い眠りつかされたのだからな。
そんな俺、ラインバッハ・エゴルも無色の大魔女様。マギア・アル・マロにより、意識を刈り取られようとしていた。
〖オアシス〗
【アハハハハハハハハ!!】
オアシスの空には奇怪で巨大なドレス姿の化物が催眠魔法を地上の人々にかけ続けている。
「……終末を知らせる〖ワルプルギス〗……マギア様。貴女は本当にこの魔法世界を破壊する気なのですか?」
【ええ、ええ、そうよ。元弟子のエゴル。終わりが来たの。全てが終わる終末の時が来たのよ】
「このオアシスには何にか目的が?」
「私のギアートルは言ったわ。終末を邪魔する神の眷属達の足止めを各々頼むと。あの何でもしょい込むギアートルが私達〖七死霊〗にお願いしたのよ? 分かる? これはとてもとても凄い事なの。だから私達はギアートルの目的達成の為に各地に散ったわ。ラインバッハ、貴女の様に動かれたら不味いの達の所へと」
「それであの休眠のワルプルギスを使うとは……マギア様。このままでは数十万単位の死者が出ます。ですので今すぐに、あのワルプルギスを消して下さい」
【いいえ、いいえ、それは無理よ。エゴル。それを解けば貴女達は軍を編成して死の大地に……ソロモン山脈に向かってギアートルを止めるのでしょう? それは、それは大変にやらせてあげられない事なのだわ】
「……相変わらず。傲慢で自分勝手なマギア様ですね……くっ……このままでは意識が……落ち……」
俺はゆっくりとまぶたを閉じようといた時、奴は現れた。
「確りするんだ。ラインバッハ! マギアのワルプルギスで一度でも寝てしまえば悪夢の中で囚われて起きれなくなるんだから! 《白の揺り篭》」
白銀の花弁が俺を包む、すると身体が軽くなり眠気も覚めていく。
「……この力は……マーリンか?」
「そうそう。私だよ。黄金の魔女ラインバッハ。間に合って良かった。助けに来たよ」
「そうか。しばらく東に行くとか言ったきり戻って来ないから、魔術院へと戻ったと勝手に思っていたぞ」
「訳あってね。幻獣の楽園に捕まってたんだよ」
「幻獣の楽園?……ユグドラシル地方か? 何でそんな遠い東の地方何かに?」
「―女神―ヘラの眷属のせいさ。まあ、その捕まっていたお陰で強力な援軍を連れて来られたけどね。一斉に襲いかかってあげな。幻獣の子供達」
「「「「「ルオオオオオ!!」」」」」
マーリンが叫ぶと同時に数万匹の幻獣が突然、現れ空に浮かぶワルプルギスへと一斉に襲いかかる。
【アハハハハハ……アアアアアアア??】
【あら? あら? あら?……貴女は《白》のマーリンかしら? 何故? 何故こんな場所に貴女が現れるの? 私の教え子のマーリン】
「マギア……魔術院初代理事長……ワルプルギスの第一期《透明》の魔女にして創設者……そして、魔法に狂い、七聖教会とロマ・テレシアを分離させた異教……反逆と失墜で狂ってしまった私の先生。久しぶりです」
【あらあら? あらあら? 私が可笑しくなった事に気づいてたのね? マーリンは流石、優秀。私が最も魔法を教えるのに情熱を注いだ娘。そうね。そうね。貴女が優秀だったおかげで私は貴女に魔術院も魔女の夜会を任せて自由になれた……ギアートルの為に動ける様になったのよ】
「ええ…マギア……先生。マギア先生は私に後の全てを任せると言って、突然、居なくなりましたね。世界の真実を知らされて可笑しくなったと手紙に残して……」
【ええ、ええ! あれを知れば貴女もエゴルも私の様に可笑しくなるわ。だから私は貴女達の前から消えたの。可笑しくなった私を見せない為に……でも、でも、もういいの。いいのよ。もう終末は始まったんですもの。だから、世界を白へと変えましょう。マーリン。貴女と同じ白の世界へと】
「その白の世界に未来はありませんよ。マギア先生……済みませんが止めさせて頂きます。神明召喚‥‥‥‥〖白銀の大猫〗」
白い花弁が空を舞い、その中きら現れたのは、巨大な白銀の獣。マーリンの僕キャス・パリューグだった。
「グルルルル‥‥‥‥ウオォォォ!!!」




