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次の日・トリスタン卿



『キャメロット城』客の間


 僕はアルディス・セルビア。この地下空洞の上。『セルビア』国の王子‥‥‥‥ううん、王女です。


 昨日は、初めてキャメロット城に来たけど。地上のセルビア城とは、全然違う建築要式でとても驚いたんだ。


 そして、モルガンおば‥‥‥‥モルガンお姉ちゃんの所へ案内されて。『妖精国』の中央地帯『カムラン平原』で三日後に行われる最後の戦いについて説明を受けた。


 その説明の後、僕とセツナは何故か同じ来賓用の客間に案内された。現在、セツナは同じベッドで気持ち良さそうに寝息を立ている。


そんな、可愛いセツナの寝顔を見ながら。僕は自身の唇を触った。


「‥‥‥‥まだ感触が脳裏に浮かぶよ‥‥‥」


魔力暴走はその時の状況によっては不治の病とも言われる位危ない状態だ。


 魔力暴走を起こした人の魔力総力が大きければ大きい程。その進行は早く。対処は難しい。

対処が少しでも遅れたり。間違えてしまえば、魔力暴走を起こした人は死んでしまう。


 その対処方法は色々ある。魔道具に自身の魔力を移したり。自身の意識があれば神代・回帰や奥義技を放ち。魔力を発散させたり。(ある)いは魔道具も自身の意識の無い場合は。誰かと繋がり。その誰かに魔力を発散させてもらうなどである。


「‥‥‥‥責任取るとか言っちゃてさぁ。君にはユナちゃんがいるんだよ?!全く。フフフ、ありがとう」


 僕は寝ているセツナの頭を優しく撫でる。


「責任か~、セツナの居た。世界、地球では、生涯の伴侶は1人だけだってユナちゃんが行ってたな~!‥‥‥‥でも、ここは魔法世界アリーナだよ。セツナ君。それに僕がやったあの事だって。ある種の魔力病の治療法の1つなんだからね?」


「う~ん」


 セツナは寝返りをうった。


「‥‥‥だから。余り気に病まないで。ねぇ?ユナちゃんを優先してくれて僕は平気だからね!‥‥‥‥セツナ」


 そして、僕はまたセツナの頭を撫でる。


「ん? んぁ? 朝か? 地下だから朝かも分かんないか‥‥‥」


「おはよう。セツナ君。体調大丈夫そう?」


「ん? アルディス?‥‥‥‥あぁ、そうか、昨日は何故か、モルガン様に同じ部屋で寝泊まりするように言われたんだったな‥‥‥‥興奮気味に。鼻息荒くしてたしな」


「昔から凄く変わってるんだ。モルガンお姉ちゃんは!変人だけど悪い人じゃないよ。変人だけどね」


「一国の妃に対してなんて言いようだよ」


「だって僕の小さい時からずっとアーサー王との馴れ初めやら。『妖精国』の自慢話しかしない人だったんだよ。変人だよ。変人」


「‥‥‥こっちのモルガン様はアヴァロン‥‥最果ての妖精のモルガン様。何だっけ? 昨日の戦争説明の後は、ずっとアーサー王との出会いのきっかけを話してたもんな」


「そうそう。モルガンお姉ちゃんはね。歴代のモーガン・ル・フェの『モルガン』の名と記憶を受け継いだ妖精とエルフのハーフなの」


「ん?歴代のモーガン・ル・フェ?『モルガン』の名と記憶を受け継ぐ?」


「『神明魔法』の一種なんだって。ほらオーディン様も使ってたんでしょう?」


「あぁ、そうか、モルガン様はオーディン様の血を受け継ぐ子孫か‥‥‥『神明魔法』も使えるのか?」


「僕もそんなに詳しく無いけど。そもそも『神明魔法』って何なのかな?セツナ君。知ってる?」


「まぁ、一応」


「じゃあ!教えて」


「『神明魔法』は地球やアリーナの世界に伝わる。その人物の伝承、逸話。自身に付けられた名称。発祥の地を技や武器に変えて扱う魔法なんだ」


「そうなんだ‥‥‥」


「あぁ、以前のオーディン様の『神明魔法』は地球のオーディン様の伝承や逸話を具現化した力を行使していたんだ。モルガン様も地球やアリーナでは相当名を馳せた人物なら『神明魔法』を使えるのも納得だな!」


「成る程。そうなんだね。勉強になるなぁ~」


僕は朝からセツナから神明魔法について教わった。



『キャメロット』修練場


「ここが、修練場になります御二人共」


「あ、ありがとうございます。トリスタン卿」


 俺達はあの後、身支度を整えた。そして、何故か扉を開けるとトリス‥‥‥の遠い親戚。トリスタン卿が待ち構えて居た。


(おはようございます。アルディス王子。ナルカミさん。よろしければ!『キャメロット』城内をお二人に案内したいのですがお時間ありますか?)


 などとあのイケメンボイスで言われた。決戦までの仕込みはタマキと蓬莱様がほぼ終わらせてくれたので暇である。断る理由もないので。


(よろしくお願いします。トリスタン卿)


(僕も)


(はい。喜んで! では、参りましょう!)


 何故かすごい嬉しそうだった。こっちのトリスタンはあっちのトリスよりも大分、まともの様だ。


「‥‥‥トリスタン卿。なんだか、人が余り居ないような?」


「‥‥‥おや、早速、お気づきになりましたか。‥‥‥‥『キャメロット』城内の近衛兵達は数ヶ月前の現地調査に行ったきり行方不明になってしまい‥‥」


「あぁ、ペレノア領で呪いを受けた人達って?」


「ええ、我が『キャメロット』が誇る精鋭部隊です。今、思えば。敵の侵略もその時から始まっていたのですね‥‥‥‥それを見抜けぬとは、自分は情けない」


落ち込む。トリスタン卿


「もしかして、今回の決戦って、その精鋭部隊抜きで戦いの?トリスタン卿」


「‥‥‥そうなります。南側の勢力の半分は瓦解したといっても。その残党兵を吸収し。『女王側』の戦力は現在60000人にまで膨れ上がっています。対する我々、『キャメロット』軍は80000人。城の警備には最低でも20000人は欲しいので。実質的に動かせる兵力はあちらと同じ60000人です」


「北側のフローレンス卿とサグラモール卿、パーシヴァル卿の兵力はどのくらい集まりそうなの?」


「はい。北側‥‥‥北東側の勢力は現在、編成中とのことで。早急に動かせる兵力は30000人位が限界だと。先ほど連絡がありました」


「もしかして、俺達が中央の戦力と戦っている間に?」


「はい。昨日もお伝えしましたが。その、30000人の兵力で敵の本拠地。『世界樹の迷宮』を攻略し。諸悪の根元である。『女王』を打ち倒します」


「30000人の兵力であのギネヴィア妃を討つ?‥‥‥そうですか。教えて頂ありがとうございました。トリスタン卿」


「セツナ君?」


「いえいえ。今日は少し時間もありますし。自分の弓の妙技お見せしましょう」


「ほ、本当ですか?あのトリスタン卿の弓を腕を直で見れる!!是非是非、お願いします!」


 俺はアーサー王物語でトリスタン卿の弓の逸話を何度か読んだが。どれもとんでもない弓の逸話だった。それを生で見れるとは!なんという僥倖である。


「では、行きます!お二人共!」


 そうしてその日1日はトリスタン卿の弓の腕の披露から始まり。解説。果てはトリスタン卿の今までの家系の歴史まで。場内が暗くなるまで続いていくのであった。


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