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〖不死騎士〗アルデバラン・アルカ


数分前『ヘラ地方 影の国』


【ほう。そちらの殲滅契約が先に現れるか。ギアートル殿。予定を変更する……貴殿の一番の障害を消しに向かう】



数分前『ヘラ地方 リリスの隠れ家』


「……ヒスイ。奴が動き出したぞ。居場所を特定出来た」


「ハハハ! ようやく動いたか骨野郎! そんじゃあ行って来るぜ! レイサイト師匠」


「ああ、この地での修行の成果。アルデバランに見せつけてこい」


「オウヨ! いい加減にアイツを倒して領地を取り返して来るぜ!」



『ヘラ地方 不死騎士領地………魔王領旧レイド家領』


【……夜霧のヒスイ。ようやく現れたか】


「一ヶ月振りだな。骨野郎! ぶっ飛ばしに来てやったぜ」


【了解した。ギアートル殿。優先契約に従い。宿敵夜霧のヒスイの排除を先行する。死剣術【奈落の魔剣】】


「ハハハ! やれるもんならヤってみな! アンタの骨、バキバキにしてやるからよう! 夜暁術〖骸割〗」


「……ヒスイの奴。助けに来てくれたのか?」


「いや、そうではなかろう……先程の不死騎士との会話。何か因縁でもある感じに見えた。恐らくはヒスイがこの死の大地……ヘラ地方に来てからずっと戦っていた相手なのだろう」


「ニャ~、ニャンかヒスイの奴、最後にあった時よりもでっかくなったかニャア?」


「だな……この過酷な死の大地で鍛えられたんだろう。多分だが」


 俺はそう告げて、ヒスイと髑髏騎士の戦いを静かに見守る事にした。




 不死騎士が所有するギアートル・ホーエンハイムから与えられし、黒き大剣〖アルデバラン〗が肥大化していく。


 巨大に、巨大にと体積を肥大化させ、ヒスイの真上へと音速で振り落とされた。


「……あらゆる空間の干渉を遮断する権能〖不死〗かよ。相変わらずデタラメな事をしやがるな。骨野郎! だがな。デタラメなのはてめえの専売特許だと思うなよ。呑み込め。骸……〖蟒蛇うわばみ〗」


「オオオオオ!!!」


 死の大地の大地が割れ、底から黒き蛇が現れた。そして、その蛇は髑髏騎士の大剣を受け止め、蛇自らの黒い影に沈めていく。


【レイドの影か……貴様。まさかこんな数ヶ月の間で権能を使える様になったというのか?】


「あん? 何をいってやがる! 俺が得たのは権能じゃねえ……黒騎士とかいう〖資格〗だ!」


ズズズ……


【レイサイトの仕業か? あの老いぼれめ。それ程までに自身の孫にレイドの領地を取り戻させたいのか?】


「何を訳の分からねえ事を抜かしてやがる。骨野郎! だがレイドの地は確かに返してもらわねえと困るんだよな……なあ? カシア様……決めたぜ。此で決めさせてもらう。骨野郎」


【?……夜霧のヒスイ。何を訳の分からない事を言っている? 貴様が我に勝てる事などあるわけがなかろ……】


「黙りな。それはこの地に残ってやがる怨念共が決める事だぜ!……応えやがれ! レイドの元民共よ。このまま〖不死騎士〗アルデバラン・アルカを主人にするか?……それともレイド家が正しき後継の俺に付くか? どっちだ?」


【……戦いも始まったばかりだというのに何を言っている? 夜霧のヒスイ。我と久しく対峙し、余りの恐怖に可笑しくなったか?】


 夜霧のヒスイの問いに、かつてこの旧レイド家領地に住んで居た魔王領の民の怨霊達が応える。


(我々を皆殺しにし、家族を、住む土地を、宝を奪った不死騎士に復讐を……)


「オウヨ! なら俺に力を貸せ……一瞬で不死騎士を消し去ってやる。真・夜暁術〖囲月影かこげつえい〗」


【何だ? その様なただの斬撃では、この我に傷など付けられ……】


 ここで不死騎士アルデバランは自身の変化に気づいた。自身の内側に内包されている神核に亀裂が入っていく事に。


 夜霧のヒスイが放った一振の斬撃は外側を攻撃する為の攻撃ではなく、不死騎士の内側……精神を攻撃する攻撃だったと。


「てめえは強ええ。この半年以上、戦い続けて身に染みる程に学習したからな。故にだ」


【……列島大陸イザナギの心居合術を取得し、一瞬で我との勝負を決めに来たと?】


「オウヨ! それが最適だとよう! このレイド魔眼が観測したんだよ」


【赤目……まさか開眼したというのか? 予知眼を……己……かくなるうえはソロモンの……ギアートル殿の元へ……と……この肉体はす……】パキンッ!


 不死騎士の胸辺りから何かが割れる音が響いたと同時に、不死騎士は灰はと化していく。


 夜霧のヒスイ……ヒスイ・ヴァンレイドの一瞬での勝利であった。


「チッ! 肉体は捨て精神はどっか行きやがったか……まあ、良い。どのみちこのままソロモン山脈に向かうんだ。その時に確実に仕止めてやるぜ! 骨野郎!」


 夜霧のヒスイは北の方角へと向けて叫んだのだった。




 達人同士の居合いの試合などは一瞬で決まると聴いた事があるが、今のがまさにそうなのだろう。


 瞬く間に大技同士がぶつかり合い、不死騎士が敗北した。だが不死騎士の魔力残滓が北側に移動してるのが感知できる為、逃亡しただけみたいだ。


「……ヒスイ。久しぶりだな? 魔王領で別れて会うのは一年振り以上か?」


「あん? 何、馬鹿な事言ってやがる。神成、最後に別れてからまだ半年位しか経ってねえだろう! ボケてんのか?」


「半年?……ああ、そうか異界やら逆転の部屋に居たりしたから時間の感覚が可笑しくなってるんだな。俺……」


「そんな事よりよう! 早く骨野郎を追いかけようぜ! ソロモン山脈……七聖教会の総本山によう」


 ヒスイはそう告げてヘラ地方の北の山脈を指差したて。

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