『キャメロット城』
『妖精国』中央地帯北部『地下大空洞・キャメロット城』
まるでそこは、騎士達の理想郷。
銀と金が織り成す。鎧。
城壁には、十三の旗が羽ばたき。
その国の強さを体現する。
その城の名は、理想の城『キャメロット』
著『冒険家・ラインバッハ・エゴル』
俺はエウロペ大陸観光ガイド(裏)を見ている。
西洋の映画の用な立派な白亜の城に圧倒されていた。
「凄いお城だね。セツナ君。地上の首都『オーディン』のお城よりもなんて言うんだろう?‥‥‥うーんと」
アルディスが可愛らしく。顎に人差し指を付けて小首を傾げた。
「堅牢って言いたいのか?」
「あっ!うん。そうそう堅牢、堅牢だね。フフフ…立派なお城だね。セツナ君」
この娘は本当に無邪気に笑う娘だ。
「そうだな。立派なお城だな…」
俺とアルディスはそんな会話をしながら。『キャメロット城』へと近づく。
「おーい! 2人共。私から離れないでおくれ。城の下の城下町は1度迷うとなかなかに面倒だからね。ちゃんと着いてきて」
「はいよー! ガラ先生」
「はーい!って?何で、先生?」
「あぁ、ガラ先生だ。俺の魔法の先生のガラ先生」
「はい? どういう事? ここ、地下だよ!『妖精国』なんですけど?」
アルディスはそう言いながら頭に疑問符を浮かべた。そして、城の中へと案内された。
『円卓の玉座・ペンドラゴン』
その玉座には、1人の美しい女性が鎮座していた。
金色の瞳に端正整った顔立ちをしている。‥‥‥‥なんだろう?最近良く見るような!親近感が沸くお顔ダチで‥‥‥
「あっ!モルガンおば‥‥‥‥」
「アルディス?!‥‥‥ニッコリ」
その女性はアルディスに物凄い良い笑顔でアルディスの名前を呼んだ。
「モルガンお姉ちゃん」
「はい!良くできました。流石は私の姉妹の子ですね。ニッコリ!」
「は、はい!お久し振りです。モルガンお姉ちゃん」
あぁ、そうか。セルビアの女王セルフィーユ様の姉妹だったんだっけ?『妖精国』の女王様は。
「そして、貴女が先代、『エクスカリバー』の持ち主にして、あの憎き。魔竜『ジャバウォック』や『ヴォーディガン』を討伐せし。救国の英雄様ですね?」
「ううん。違うよ、モルガンお姉ちゃん。彼は僕の‥‥‥モガア!?!」
俺はアルディスの口元に急いで両手。回し黙らせる。
「少し静かにしろ。アルディス!後で話がある」
「モガア?! ふんふん」
興奮気味にアルディスは首を縦に振るう。数刻前まであれだけ色々あったのに。もう平常運転に戻っている。女の子とは本当に不思議で素敵な生き物だと思う。
「何ですか? アルディス王子?」
モルガン女王は訝しそうに俺達のやり取りを見ていた。
「いえ、何でもありません。モルガン女王!
なぁ、アルディス王子!」
「ふんふん! ふんふん!」
「‥‥‥‥‥そうですか。それなら良かったです。、それから私の目の前で余りイチャイチャしないで下さい。羨ましくなりますので」
「はい。ん? 羨ましく?」
「はぁー、早くアーサー君とイチャイチャしたい」
「オッホン! モルガン様。お話を先に」
金髪の美男子が間に入り、そう言い放つ。それから、その金髪の美男子の隣には‥‥‥これまた、美男子!茶髪の何処かで見たことあるような顔。‥‥‥‥絶対あれ、トリスタン一族の分家だよな。地上に入る。トリスの奴に瓜二つだ。
「あら、ごめんなさい。ガウェイン卿。それから、眠そうですね。トリスタン卿?」
「あっ!いえ!すみません。モルガン様!」
「いいえ。貴女も『キャメロット城』の結界の維持で心労が貯まっているのでしょうね。すみません。私の力不足のせいで‥‥‥」
「いいえ!」
「そんな!」
「事は!」
「全く!」
「ありません!」
「「「モルガン様! 全ては!」」」
「あの!」
「バカ王が」
「飛び出して行ったのが」
「「「行けないのです!」」」
「そうですね。そうなんですが、そこも、アーサー君の魅力の1つで‥‥‥それでですね。アーサー君とはですね‥‥‥‥」
「おい。誰か止めろ。また、いつものポエム時間が始まってしまう」
「‥‥‥了解です。モルガン様。今はご客人が!」
「あっそうでした。ごめんなさい。私ときたらつい!でも、アーサー君はカッコ良くてですね。アヴァロンにいる時も」
あれか? モルガン様を初めとした円卓の騎士達は、芸人集団かなんかなのか?
「では私が話の続きを説明するね。セツナ、アルディス王子、契約者様達」
「お願いします」「モンガ!モンガ!」
「三日後の昼時、我々、『キャメロット』軍は軍を3つに分けます」
「三つですか?それはどういう?」
「我々、『キャメロット』に入る。円卓の騎士3名をその3つの軍の将に据え。敵の本拠地。『世界樹の迷宮』を攻略する」
「三日後に三軍に分けて。敵の本拠地を攻略か!」
「あぁ、君達の活躍もあって。相手の軍はランスロット‥卿、モードレッド卿、ペレノア卿の3軍を残すのみとなった。これも全て、フローレンス卿と君達の仲間のお陰だ」
ガラ先生‥‥いや、ギャラハット卿はそう言いながら。誇らしげに俺を見つめた。
「ありがとうございます。それで? 相手の各軍には誰をぶつけるのか決まっているんですか?」
「あぁ、勿論。ランスロット卿には私、ギャラハットが。モードレッド卿にはガウェイン卿が。ペレノア卿にはトリスタン卿が相手取る」
「それで?三人の円卓の騎士が出ばらった後、モルガンお姉ちゃんは誰が守るの?」
アルディスが当然の疑問をギャラハット卿に問いただした。
「それは‥‥‥」
ギャラハット卿が何かを言おうとした瞬間。
(それは、私にお任せ下さい。皆さん)
俺の腰に巻いていた。魔法の袋が光。中からアグラヴェイン卿が姿を現した。
「ア、アグラヴェイン卿?何故、そんな所から?いや、行方不明だと聞いていたから無事で良かったが」
成る程。イフリート様はアグラヴェイン卿の事は、行方不明と『キャメロット』側には報告したのか。
「アグラヴェイン‥‥‥」
モルガン様がアグラヴェイン卿を見つめる。
「モルガン様。我が、命を第一に考えてしまい。この度の南側の大反乱に荷担してしまいもう分けあり‥‥‥」
「いいえ、良いのよ。アグラヴェイン。だって相手は神代の魔女ですもの。貴女達でどうにかなる。呪いや相手ではないわ。そんな事より私の護衛役。よろしくお願いしますね。アグラヴェイン」
「は、はい、モルガン様。このアグラヴェイン。なんとしてでもモルガン様をお守り致します」
アグラヴェイン卿はそう言うとモルガン様に平伏した。
「‥‥‥では、モルガン様の護衛はアグラヴェイン卿にお任せして。現在、北部の兵を纏めている。フローレンス卿、サグラモール卿、パーシヴァル卿は決戦のおりに。我々と合流して敵の本拠地を叩く予定です」
成る程。結構しっかりしている作戦だ。これなら、表向き決戦は勝てるだろう。
「では俺達は何処の軍に参加すれば?」
「君達は、トリスタン卿と共にペレノア卿と対峙してほしい。ペレノア卿はその‥‥‥あの、アーサー様と同格の強さがある強敵なんだ。セツナとアルディス王子、トリスタン卿の3人で相手どれば何とか倒せる強さなんだ」
「アーサー王と同じ位の強さですか‥‥‥‥それは強敵ですね」
アルディスは少し不安げな顔をした。
「まぁ、何とかなるさ。とりあえず、俺は頑張るよ。君の為にね。アルディス」
「セツナ‥君!‥‥‥うん!頑張ろう!僕も君の為に」
「うんうん。男の子同士の友情って良いわね。アグラヴェイン」
「えっ? あれ? モルガン様? えーっと。そ、そうですね。モルガン様~」
「「「‥‥‥そうですね」」」
モルガン様を見つめる。円卓の騎士達の目はとても冷たかった。
‥‥‥そして、三日後。『妖精国』の最後の戦いが始まろうとしていた。




