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北欧の義兄弟 No.1 悪戯好きの神


 〖異界イシス〗崩壊前


「本当にここは崩壊するのか?」


「ええ確実にするわ。臨海突破者が三人も集まって、あれだけ暴れてるんですもの。外界から断絶された仮そめの世界は終わる。そして、これが終末の引き金になってしまう。ロキが本格的に終わらせようと動き出すの」


「……だからこの〖蒼の宝眼〗を仕掛として残しておくのか?」


「そう……それでロキを止めてもらうわ。貴方がそれを持っていて良かったわ。かつてロキと義兄弟の契りを交わしたエルフの国〖セルビア〗の王を呼び出す為の切っ掛けを……そして、私もその時が来たら。覚悟を決める。ロキと敵対する覚悟を……」


「そうか……もう一つ仕掛をさせてくれないか」


「もう一つの仕掛け? いったい何をする気?」


「ヘカテや君が話してくれた終末の話が本当なら、後、数日もしないうちに奴等が現れるんだろう」


「多分……いえ、確実に現れるわ」


「なら、この仕掛は狼煙になる」


「? いったいどんな狼煙かしら?」


「ああ、それはな……」



ヘファイストス地方『異界イシス跡の砂漠』


 バリバリバリバリ!!


「……オーディン!」


「ハハハ! 久しぶりじゃな。ロキ、聴いたぞ。この世界をだいぶ荒らし回ってる様じゃな。ワシが建国したセルビアでも……遥か昔から全く変わっておらんのう。お主は」


「……悪いけど。君なんかを相手にしている暇は、僕には無いんだ。だから、ここで君とはお別れさせてもら……周りに結界が張られて外に出れない?」


「おお、異界イシスの崩壊のエネルギーを利用した。牢獄だそうだぞ。ロキよ。ずる賢い貴様を逃がさない為の罠だと言っていたのう」


「誰が言っていたんだい?」


「……この世界の希望じゃな」


「この世界の希望?……終末が訪れようとしている、こんな終わりを向かえようしている世界に何の希望があるというだい? 老いぼれのオーディン」


「……あるじゃろう。神々から選ばれた者達。神ノ使徒達が新たに創る新時代が。じゃからのう。古くから居座る我々はそろそろ消えねばならんのだ。神明魔法〖万物のアルフォズル〗」


 北欧神話の中で万物の神と称えられるオーディンがまず始めに行った魔法は自身の肉体と魔力を強化する技〖万物のアルフォズル〗。


 この技を纏ったオーディンの速さは音速を軽く越え……


「年寄りが何をやる気になって…」

「遅いぞ! 悪神ロキ! 〖ベオーク〗」


 ロキの顔面を容赦なく蹴りつける豪脚と化す。


「ゴガァ?!……」ドゴオオンン!!


「見た目が老いぼれと侮るな。ロキよ。ワシはこの日の為に色々と準備を整えてこの場に立っておる。そして、遥か昔、お主はワシの息子バルドルを殺した事を忘れたとは言わせぬ」


「……ああ、だからこんなに気合いが入った一撃を義兄弟に浴びせるのかい。オーディン。お陰で顔面が粉々じゃないか。お陰で新しい顔に変えなくちゃいけないじゃないか……神明魔法〖女巨人 セック〗」


 ロキの体が肥大化し女性型の体型に変わっていく。


「僕の神明魔法はあらゆる人物に姿を変え、そいつの力を使う〖トリックスター〗……さあ、オーディン。どう対処する。ボクのこの変幻自在な攻撃と変化にさ?」


「……神が掲げる教示を棄てたか。ロキ……こちらの世界に来てすっかり毒されおって。そんな他人だよりの力に何の意味がある? 神明魔法〖灰のハールバルズ〗」


「ハハハ。ボクと違って地球リアースやこっちの世界でも栄華、力、名声、仲間、家族、魔法、ルーンまで全てを掴んで万能の神にまで上り詰めた奴に言われたくないね。君はね。恵まれ過ぎているんだよ! 北欧のどんな神よりもね、だから足元の妬みを持つ者の存在に全然気づかい……イライラする存在なのさ。神明魔法〖残酷に打つ《ファールバウティ》〗」


『ギャハハハハハ!!!』


 咆哮の様な高笑いをあげなから数十メートルはある傀儡人形が砂漠の中から現れた。


「ファールバウティ……何足る姿を貴様! 自身の父を人形に変えたのか?」


「……これはボクの父ではないさ。ただの道具オヤだよ。こうして使ってあげた方が父も喜ぶと思ってね。ねえ? トウサン」


「ギャハ……ギャハハハハハ!」


「そうかい。そうかい。そんなに嬉しいんだね。じゃあ、目の前の老いぼれを一緒に倒そうか。木偶のぼう」


「……ファールバウティ。今、解放する。その狂った狡知の神の魔の手からのう」


「ハハハ……本当にムカつく言い方をするね。義兄弟!」


 こうしてオーディンとロキの本格的な闘いが幕を開けた。

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