出れぬ孤島の中で
〖神成邸宅 リビング〗
「ウニャニャ~ こっちのキャットフードとか言う飯は美味かっのニャア~」
マジがコイツ。急遽、近くのスーパーから買ってきたキャットフードを全て平らげやがった。
「しかし……あんだけあった俺の魔力を枯渇させる程の次元転移を無理矢理発動させたアイツは本当に何者なんだろうな」
「そんな事を今、考えるよりも。今はあっちに帰る間に出来る事や準備を進めておく方が有意義じゃろう、〖匣〗とやらと〖マキナ〗も戻ったら使用するのであろう? 予備の空間魔道具の中で練習しといたらどうじゃ?」
「まぁ、そうだよな……ヘファイストス地方に仕掛けた罠もそろそろ発動しそうだし。捕まえるか、倒せると良いんだけどな」
「む? 捕まえる? 何をじゃ?」
「……悪童」
〖最果ての孤島〗内
「んー! んー!」
「どうでしゅか? ルシファー、外には出れましゅか?」
「……ムリムリ出れないわ。主君とのマリュクパスが切れてるカリャ」
「……マリョクギレでしゅかね?」
「分かりゃないわ。でも一つだけ分かるのは、このままだとアタチタチはずっとこのヨウジョの姿のままだってことヨ」
「ショ、ションナー!」
「御二人ともお食事の時間です。良い子ですから一緒に食べましょうね」
「なっ! 私を子供扱いしないで」
「そ、そうでしゅ! こんなルシファーと一緒にされるなんて最悪でしゅ」
「……何ですって?」
「……何でしゅか?」
「ハイハイ。ご飯が冷めないうちに食べましょう。ルーちゃんにヒルデちゃん」
「「だから、子供アチュカイしないでぇぇ!」」
「何で、上位天使が二人を和国の将軍があやしているの」
「……いえ、それはこっちの台詞何です。何故、敵対していたここに貴女が居るんですか? 女帝」
「オルビステラだってあの人と敵対していたじゃない。でも今は此処に普通に入る」
「私はそういう事を聞いているのではありません。貴女は確か、異界と共に消滅した筈です。なのに魔法世界から地球に来た途端、姿を現す何て……」
「仕方ないじゃない。あの人との取引なんだから」
「取引? 誰とですか?」
「救国の担い手よ。魔法世界の秘密を教える代わりに、私に隠れらる場所を提供してくれたの。地下施設もまるごと収納魔道具にしまって持ってこれる何てあの人デタラメなのね。オルビステラ」
「はい? 魔法世界の秘密?……では異界と共に姿を消したというのは……」
「嘘……アイツを誘き寄せる為に私と救国の担い手が仕組んだ罠なの。今頃、アイツは異界があったヘファイストス地方に一人で乗り込んで、私の国が滅んだ事を嬉しそうに笑っているかもしれないけど……そうはさせない」
「罠にはめる?……まさかその罠にはめたって人は……」
「そう。ロキよ。遥か昔から魔法世界の裏で動いて悲劇を撒き散らしていた。神様……あの人をまずはどうにかしないと終末を防げないから。私と担い手は彼を罠にはめる事にしたの。ロキと因縁がある神様を呼んで」
「因縁ですか……」
◇
『ヘファイストス地方 蜃気楼の砂漠』
かつての蜃気楼で覆われたイシスの国があった地も女帝が去った事により、外界と繋がり。全てが消え砂漠と化していた。
「……剣聖の邪魔が入ったせいで、間に合わなかった。まさか僕よりも列島大陸から帰還して、そのまま異界に乗り込んで来るなんて」
異界の消滅により空は不安定になり、雷なりあちらこちらに雷が落ち続ける。
「しかし、凄い雷だね。まるでアイツが居るみたいだ……ん? 異界があった場所に青い玉?」
(まさか。お前がこの世界を荒らし回っていたとはな。ロキよ……ならばお前はワシが止めねばならん)
「?! その声は……まさか?」
ドガアアン!……バリバリ!!
悪戯の神〖ロキ〗の前に雷撃が落雷しそこから北欧最高神が現れる。
「終わりの時じゃ、ロキ……貴様をヴァルハラへと還す」
「オーディン。何で君がこんな場所に……」