虹霓決戦・〖豊饒の女帝は真実と共に〗No.3 〖最果ての古城〗から外へ
〖イシスの宮殿 地下牢獄〗
「……やっと収まったか。しかし何だった? さっきの地震は? あんな地震で、もしもし〖女帝〗様に内緒で牢屋に閉じ込めている男共が解放なんてされたりしたら、我々、雌亜人種は追放されてしまう」
「フゴゴ……そんな心配はしなくても大丈夫。あんな弱い雄。何もできない……」
「……まあ、確かに餌も与えていなかった脱走なんて出来るわけ……」
キイィ……ガタンッ……
「フゴ……牢屋の鍵が壊されてる?」
「それだけじゃないよ……鎖も粉々に壊されてるじゃないか! アイツらどこに行った? こんな事、〖女帝〗様にでも伝われば、あたい等、殺されるよ!!」
「フゴゴ!! 直ぐに探さないといけない!」
〖最果ての古城(エリスの指輪の中) 食事場〗
「どんどん作って持って来て! 沢山食べる方々だわ。早く!」
〖聖女エリスの付き人 ルーナ〗
「はいはい。分かってますよ。メイド長」
〖聖女エリスの専属料理夢魔 バルク〗
「ガハハハ!! 数百年振りの《食》であるな。それにしてもなんとも美味であるか」
「……ええ、とても美味しいですね」
「ニャー、オニャエラ。滅茶苦茶食うのニャア。それに身体もだんだんふっくらしてきたニャア」
「……お二人の傷はかなり深いです。癒してあげて下さい。エリクス」
「はい……聖女様」
〖最果ての古城 支配人 エリクス〗
「……しかし、ここは〖最果て〗の一欠片か。女よ」
「ええ、勇者様の聖剣〖エクスカリバー〗が保存されていた場所です。盗賊王さん」
「……エリスさん。今、なんと言われました? ここに聖剣が? 〖エクスカリバー〗があったのですか? それは今、ここにあるんですか?」
アーサーさんが少し驚いた顔で私に質問をしてきました。
「今はありません。勇者様が所持していましたが……ヘスティア地方での目撃時には剣ではなく、槍を持っていたらしいので。現在は聖剣と離れたと推測します」
「……聖剣が離れた? ああ、成る程、保有者としての条件を満たせなくなったんですね。あの娘は確かに気まぐれですからね……ハハハ……そうですか。また探してあげないといけないのか。あの娘は……」
「聖剣をお探しなのですか? アーサーさんは」
「ええ……そうですね。昔、お世話になったんですよ。凄くね」
「……また道具として扱う為にですか?」
「いえ、昔の謝罪とお礼を……その為に旅を続けて来たんです」
「そうですか。それでは勇者様とお会いしたら、聖剣が何処に消えたのか聞いてみてはいかがでしょうか」
「勇者君に……ですか?」
「ええ、勇者様は現代の聖剣〖エクスカリバー〗の使い手でしたので、最後にどこに行ったの知っているかもしれません」
「!……ああ、そういう事ですか。成る程……現代の聖剣使いだった方に聞けば、あの娘の行き先が分かるという事ですか」
「そういう事です」
「……では、この〖異界〗から早く脱出しなければいけませんね。盗賊さん……いえ。アリババ王。準備は出来ましたか?」
「ゴホッ! 何? もう行くのか?……まあ、牢獄から解放された故、上にさえ上がれば、栄養などそこらじゅうから奪えばよいか。女。馳走になった。褒美はこれをやる。アーサーが言っていた。〖方針の探し人〗と宝だ。受け取れ」
アリババ王はそう告げると、私に七色に光る箱と宝石が入った宝箱を渡して来ました。
「どこから出したんですか? いきなりこんな箱と宝箱……」
「ワシしか入れん〖亜空の部屋〗から取り出した……まあ、それよりも。上に向かうのであろう? こんな異界の底で出会った友が行きたいのなら。手伝ってやるのが親友というもの。女、早急に上に向かうぞ。これは王命と思え」
「……そうですね。そんな事を今、気にしている場合ではありませんでした。向かって来る敵は全て薙ぎ倒せば良いだけでした」
「ガハハハ! なかなか話が分かる女よな。ますます気に入ったわ」
「……ニャー、エリスとアリババって奴、同類の匂いがプンプンするニャア」
セシリアが何か言っていますが、放って起きましょう。今は勇者様を探す為にここから早く脱出しなくては。
「〖最果ての古城〗から出ましょう……上へ向かいましょう」
〖地下牢獄〗
「フゴゴ! 見つからない」
「分かっている! 仕方ない……仲間を呼んでもっと広範囲を捜索する……」
「聖槍……〖ロンゴミニアド〗」
聖槍から放たれた黄金の輝きの攻撃は、地下牢獄から地上へと打ち上がった。これにより〖異界 イシス〗は崩壊への向かって行く事になるのだった。




