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昇月決戦・〖世界は月影を赦し降ろす〗No.11 行き戻り周り、朔望月へと還る


〖異界 イシス〗


ギィィー……ガコンッ……


 ああ、戻って来れたわ。


「……どうしてこんな事になったのかしら……?! 何で外界門の扉が開いて……」


 そして、目の前に私がお慕いしている〖女帝 イシス〗様が居てくれた。


「イシス様……」


「ヘカテ?……どうしてここに? 貴女、その怪我……死にかけじゃない」


「……はい。やられてしまいました。すみません……イシス様……イシス様のご命令。叶えられませんでした」


「そんな事は今、どうでも良いの。早く治療しないとこのままじゃあ、貴女、死んじゃうじゃない。直ぐに〖ハピ〗を呼んで治療を」


「いえ……もう良いんです……私は最後にイシス様に会えたから」


「……何を言っているの? 貴女は私のモノなの。ちゃんと生きないと駄目……生きて一緒にこの歪んだ世界を正すのよ」


「そうですね……それでこの世界を一緒に旅をして……色々な場所で思い出を作って……誰にも邪魔されず、感情を偽る事がない世界を貴女と過ごしたかったです……」


「ヘカテ?……ちょっと……貴女……駄目よ。死んじゃ駄目。私は貴女が居てくれたから〖イシス〗を続けられていられるのよ」


「……ええ……そう言って頂けると嬉しです……イシス様……歪な私を救ってくれたイシス様……大好きなイシス様……貴女に会えて良かったです……こんな私を受け入れて、助けてくれて、側において頂き、私は幸せでした……感謝しています。私の救世主 イシス様……」


「……ヘカテ?……ちょっと……返事をしなさい! 私の大切なヘカテ!………そんな………」



 ああ、そんな悲しいお顔をしないで下さい、イシス様。せっかくの愛らしいお顔が台無しです。


 ……でも最後に貴女に一目お会いできて良かった。


 この歪んだ世界の中で貴女に出会えて本当に良かったです。


 私はもう消滅します……ですが、イシス様はどうにか生き延びて……月明けの先を……魔法世界アリーナの未来にお進み下さい。


 ……オルビステラには悪い事をしたわ。でも最後にあの人に真実は伝えた……これで少しは未来を変えられたかしら?


 最悪の未来を……イシス様が生きやすい新たな未来を……


 どうかそんな未来が来ますように………




世界は月影を赦し降ろす


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