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昇月決戦・〖世界は月影を赦し降ろす〗No.4 三日月は盈ち虧け


数年前〖現代 無闇の部屋〗


「何が零世代よ。第二世代の私よりも性能は劣っている筈なのに……主格には【皇帝】【運命の輪】選ばれて腹が立つ。そして、あの実験で産まれた第一世代の【太陽(フレイ)】と【世界(オルビステラ)】……アンタ達が何で終末機構の〖神々の黄昏(ラグナログ)〗に入ってんのよ? フレイ!!」


「が……うぅぅ……いきなり現れたと思ったら、殴って来て罵倒って……何なのよ。アンタは……ヘカテ。貴女の言っていること意味分かんな過ぎよ。そんな事、御父様に聞きなさいよ」


「何?……アンタ達。〖代理人〗に何も教えられてないわけ?……可哀想」


「可哀想?……本当に意味分からない……」


「まあ、私も【女帝】様に聞かなかったら利用されるだけだったけど……何が、神造神(じんぞうこうじん)計画よ……絶対に(あらが)って、私は自由になる。その為に私に利用されなさい。〖太陽(フレイ〗情報を集めなさい。〖代理人〗と〖愚者〗に近づいて、(こび)をうって……『終末の日』の事を聞き出すのよ」


「……『終末の日』を……聞き出す……」


「そうよ。そして、私が今、アンタを(いじ)めた事は忘れなさい。アンタは私の人形……虐められた事さえ忘れて、時間と共に人格が壊れていく、第二世代の失敗作よ……〖太陽(フレイ)〗」


「……私は……失敗作……」ガクッ……




「ガアァァア?!……二体一なんて卑怯だと思わないわけ?」


「全然、思わないわ? それに貴女だって扉の向こう側からあんなに味方を連れて来ているじゃない」


「つっ!……ちょっと! 無能共。私に加勢しなさい。囲んでコイツ等を潰すのよ!」


「ゴギィ!!」

「グルル!!」


 何だあれは? 扉の向こう側から新たにオークやロートルの雌が出て来た? 何で魔獣が従ってるんだ。


「ハッ! ヘカテ様に加勢せよ」


「ですが……扉の防備を確保しなければ、あの魔神の様な男に防衛を破られ。修繕されます。それに……ヘカテ様は」


「馬鹿者。従わなかったら私達がヘカテ様に殺されるんだぞ」


「ぐっ……畏まりました……」



「フッ……貴女、部下にまで嫌われているのね。可哀想」


「そういうアンタはあの気持ち悪い兄弟達はどうしたのよ? 誰かに殺されちゃったわけ? あの傲慢な〖正義(アプス)〗が起こそうとした〖次元繋界(ディーバホール)〗を起こした時に……」


「そう……〖異界〗に居たくせに影では他の大アルカナを探っていたのね。(ヘカテ)


「ええ、あのティアマト地方の件を聴いた時は腹が(ねじ)れる程、笑わしてもらったわよ。何せ、アンタは行方不明になって、他の化物共は皆。全滅したんでしょう? いやー、あの時は〖女帝〗様と一緒に笑ったわよ。アハハハハハ」


 ヘカテの甲高い声が〖蜃気楼の屋敷〗に響き渡る。


「全部知ってて、オルビステラの兄弟の事を聞いたのか? お前……」


「落ち着いて〖担い手〗さん。ヘカテはああやって人の心を動揺させて、自分の玩具として(もてあそ)ぶんだから」


「そうよ。あのフレイやお馬鹿なバフォメットの様にね……語り合いは終わり。来なさい! 私の侍女

。闇・召喚魔法〖エリーニュス〗」


ズズズ……

「はい………ヘカテ様」


 ツギハギだらけの一人の女性が現れた。その女性は身体中が傷だらけで生気が全くない。


「女神ヘカテの従者か。随分、傷があるんだな。大丈夫か」


「……ええ。ヘカテ様は虐待が趣味ですから。そして、私達はヘカテ様と同じ第二世代の失敗作……」


「ケケケケケ!!」

「グルルルル!!」

「ギャシャシャ!!」


 更に三人の傷だらけの女性が現れる。一人一人、自我がなく、雄叫びや寄声をあげて踊り出し始めた。


「あの3人。理性が崩壊しているのか?」


「……そう。全てはヘカテ様のお遊びの結果。あの人は同じ第二世代の私達を虐めて、従わせて、弄んだのだから私達の身体はこんなにボロボロ……」


「ボロボロって……君の手なんて……傷の縫い目ばかりじゃないか」


「……それが失敗作、第一世代の〖アルファ〗がヘカテに強制されられた。神殺し……〖深水〗」


 エリーニュスと呼ばれたその女性は突然、目から涙を流して魔法を発動させた。

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