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昇月決戦・〖世界は月影を赦し降ろす〗No.3 悪い劣化品


「黒い魔法……昔、使っていた何とかエンキとか言う魔法はもう使わないの? オルビステラ。あのダサい髪や泥を使った汚い魔法は?」


「私の〖エンキ〗が汚い……」


 オルビステラはヘカテの挑発としか思えない口調に苛立った表情を浮かべた。


「ただの挑発だ。堪えろよ。オルビステラ」


「分かってるわ……使わないわよ。ヘカテ。だって貴女、私を含んだ大アルカナNo.11から下位の人達を引きずり下ろしたり、苛める為に色々な対策をしているんでしょう?」


「……アンタ。何でそんな事を知っているのよ? ティアマト地方の引きこもりの分際で」


「運命の(フォルトゥナ)さんが貴女の行動を監視して、私に教えてくれていたの。そして、これは貴女がこれまで〖神々の黄昏(ラグナログ)〗の人達を(おとし)めようとしていた事が書かれた紙の複製」


ズズズ……


 魔法陣が展開されその中から分厚い魔法紙に束が出現した。

 

「運命の(フォルトゥナ)……私の前では中立ぶってたくせに……監視は怠らなかったわけ。喰えない男女……月光(げっこう)魔法〖松明の弓矢〗」


「因みに、フォルトゥナさんも貴女(ヘカテ)の事を凄く嫌いって私に良く愚痴っていたわ」


 ヘカテが放った赤い火弓が魔法紙に刺さり燃え始めた。


「な?! 貴重な魔法紙に火を放った? 何、考えてるんだ? アイツ。魔法紙なんて消せば幾らでも新しく書けるし、神代時代が残した貴重な聖遺物なんだぞ」


「ヘカテにとってそんな事は関係ないわ。だってこの人は、地球(リアース)の女神ヘカテと違って、自身が一番尊くて、自身が大切な女神なんですもの」


「何、アンタ。さっきの私の挑発の仕返しなわけ? 大アルカナで私よりも順位が低いから、そんな事でしかやり返せないわけ? 頭、可笑しいんじゃないの?」


「……アイツ。本当に女神なのか? 今まで出会ってきた女神の中で一番歪んでぶっ飛んでないか?」


「黙りなさいよ。オルビステラの愛玩具(あいがんぐ)。殺すわよ」


「……それに口も悪いときてる。そりゃあ。あの変態(フォルトゥナ)も嫌いになるわけだな」


「フォルトゥナ?……オルビステラの愛玩具。アンタ。フォルトゥナの事をしってるの。どういう関係なのかしら?」


「ああ、あいつは俺とアイツに復讐したいと思う、罪人の皆と倒した」


「フォルトゥナを倒した? 大アルカナNo.10……主格を倒した? 愛玩具のアンタが?」


「それだけじゃないわよ。彼は一週間前、【皇帝】を倒したわ。大アルカナNo.4を……そして、次は貴方の番。覚悟してほしいわ。ヘカテ」


「【皇帝】を倒した?……列島大陸の? それが本当の話でも可笑しいわ……あんな極東の列島大陸から極西の魔法大陸に着くまで普通【女帝】様の様に〖無闇〗を使ったとしても一月以上かかる筈よ。それを一週間足らずでフレイヤ地方に現れる? そんな芸当。どんな魔法を使ったて無理よ。見栄張って嘘ついてんじゃないわよ。愛玩具!!」


 凄い表情だった。歪んでせっかくの美人な顔にはシワが入り、目は血走しっていた為、かつて魔力暴行で身体が歪んだ魔女を彷彿(ほうふつ)とさせた。


「本当に終わっている性格。だからフレイや私にも嫌われるの。漆黒魔法〖闇髪〗」


 オルビステラの新魔法からは現代魔法の気配を感じられる。彼女はおそらく〖黄金の宝物庫〗の中でずっと特訓をしていたのだろう。そうでなければ、こんな短時間の間に一から闇魔法を取得し、〖覚醒〗まで至った。そこまで血の滲む様な努力の原動力は……(ヘカテ)に向けられる憎悪と復讐心なんだろう。


 そして、ヘカテへの復讐の準備が全ての整ったから、今、ここでヘカテと対峙しているんだろう。


「……じゃないとこんな威力が高くて強い魔法が制御出来るわけないよな。天雷魔法〖霧雷〗」


「アハハ!! オルビステラ。アンタの攻撃なんて私に効くわけないでしょう。そんな無駄な攻撃が。月光(げっこう)魔法〖十字路の月……ガアァァア?!! 愛玩具!! アンタ。何、私に攻撃してるのよ! これは私がオルビステラを虐める為の戦……ギャアアア!!」


「違う……これは私と〖担い手〗さんの復讐の戦い。〖神々の黄昏(ラグナログ)〗崩壊の為の」


 



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