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ヘファイストス神のお告げとジンの事


〖アラビア商業区・宝石店〗


「た、只今、父様」

「今帰りました。お父様」


「君達は…アラム君とディアスちゃんかい?……数ヶ月前に家出して音信不通だったのに……戻って来てくれたのかい? ママ! 子供達が帰って来てくれたよ!」

「何ですって?! アラム君! ディアスちゃん! お帰りなさい!!」


ガシッ!


「「オーイオイオイオイ!! オーイオイオイオイ!!」」


「これがこの国で感動した時に泣く声か。何か歌てるみたいだな」

「いや、感動の再会の場面で何、言ってんだ。雷様。アンタ以外に冷たい人なのかい?」


「いえ、鵺様。目の前の感動の場面で貰い泣きしそうですよ」


「……全く。そうには見えねえよ」


「〖担い手〗の兄貴! これで良いんだろう! 家族と和解して、小遣い貰って公正しろって話」

「他の舎弟達もそれぞれの家族のもとに帰らせたしね」


「ああ、家族は仲良くしないとダメだからな……それと店長。これは捜索願いで発見者にはお金が支払われるでしたよね?」


「はい?……おお、貴方は先程の御客様。貴方が私達の愛する子供達を探し出し、わざわざ連れてきてくれたのですか。ありがとうございます」

「え、ええ、ですので礼金下さい」


「は?……まさか俺達をここまで連れてきたのって……」

「捜索の礼金を手に入れる為? 私達はそれに利用されたって事?」


「ええ!! これが礼金と……こちらは個人としての御礼として〖月花の赤石〗です」


「やっと見つけた……ありがとうございます。店長、俺はこれを探してたんです。礼金はお返ししますよ。アラム、ディアス……元気でな。親は大事にしろよ……」


 俺はそう告げると宝石店から静かに立ち去ろうとしたが……


「は?……ちょっと。〖担い手〗の兄貴どこ行くんだよ」

「ボスはアラビア盗賊団の新しいボスなんだよ」


「ああ!! どこに行くんだい! アラム君! ディアスちゃん!」

「また、行ってしまうの?」


「ごめん。父様、お母様。お昼の昼食には戻りますから」

「少し出掛けて来る。すみません……必ず戻るから」




「後は……〖満月の欠片〗だな」

「なんだい。雷様よう。さっきから〖月〗に関係をした言葉ばっかり言って、何かあるのかい?」

「いや、これはオルビステラの復讐の保険です……」

「復讐の保険? なんだいそれは?」

「はい……これはこっちに転移している時にヘファイストス様のお告げがあって……がぁ?! 何だ?」


何処(どこ)に行くんだよ。ボス! 置いていくなよ」

「そうそう。アラビア盗賊団の新しいリーダー」


「君達……あれは必要な物の情報を集める為にやった琴だ。用事は終わった。解散して良いぞ。ていうか、君達、あの舎弟を含めて全員良い所の貴族や商人だったんだな。何であんなアホな盗賊ごっこなんてしてたんだ?」


「アホだって! 何、言ってんだよ。僕達は〖ジン〗をあの国から守る為に盗賊団を組んだんだぜ」

「そうそう。ジンさんは言ってた。アイツ等はすべての準備が終わったら、あの門を潜ってアラビアとヘファイストス地方にやって来るって言ってののに」


「ジン?……それって『ジンの蜃気楼の屋敷』の事か? 〖月〗はあそこから来ようとしているか?……オルビステラ! 居るんだろう。出てきてくれ」


「オルビ……」「ステラ?」


「そんな大声を出さなくても直ぐ後ろに居たわ……貴方。ちゃんと私の為に行動してくれてたのね。てっきり、観光でもしているかと思ったわ」


「〖神々の黄昏(ラグナログ)〗が絡んでいるんだ。そんな事、するわけないだろう」

「……貴方。少し会っていない間に変わった? かなり」

「ああ……色々あった。君が寝ている間にな。そういう君はかなり成長したな。背がかなり伸びてるし」


 俺はそう告げるとオルビステラの姿を改めて見た。ティアマト地方〖フレティア水門〗で出会った時よりも大人びて成長していた。エリスよりも少し年上といったところか。


「〖月〗に少しでも抵抗出来る様に体を成長させただけよ。No.はあっちの方が少し高いもの」


「そうか……そうだ。オルビステラ。〖イシスの国〗の女王のNo.は……」


「全然知らないわ。その女王が本当にNo.持ち、〖神々の黄昏(ラグナログ)〗かも下位No.のメンバーは知らないの。知っているのはNo.10までの人達だけだけど……貴方とカンナギとか言う娘でかなり倒しちゃったんでしょう?」


「ああ……後、四人だな。大アルカナ通りならな」


「……後、四人ね」


 俺とオルビステラがそんな会話をしているとアラムとディアスが話しかけてきた。


「お、おい! 担い手の兄貴。誰だよ。この可愛い姉ちゃんは?」

「浮気する気? ボス」


「……誰が浮気だ。ここは一目が多いか。アラム、ディアス。どこか密談出来る建物はないか? それか王宮に戻って話す……」


「あるある。あるぜ! 盗賊団のアジトがな」 

「行こう。行こう。解散させた舎弟達も呼ぶよ」


 ディアスはそう言って、ポケットから笛を取り出すと軽く吹いた!


ブビイイイイ!!


「は? 呼ぶ? つうか笛吹くの下手だな。ディアス」


〖商業区一等地 盗賊の屋敷〗


「「「「「御待ちしてました。新ボス、アラムのさん、ディアスさん」」」」」


「……何だここは?」それに裏路地でシメた時より、人が増えてるぞ

「大豪邸ね。召し使いも沢山入る」


「アラビアで一番の豪邸だぜ! 構成員が皆、ボンボンの集まりだから、小遣いで買ったんだぜ」

「それで無一文になってスリとかやってたんだけどね」


「盗賊団の事務長を務めます。ジーンです。どうぞ。新たなボス〖担い手〗様とお連れ様……こちらへ。お部屋をご用意しました」

「ありがとうございます。ジーンさん」

「ありがとう……」


 アラムとディアスは俺に自慢気に語るなかを無視し、俺とオルビステラはジーンさんの案内で盗賊の屋敷の中へと入って行った。

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