素早く際西の大陸へ
〖帝都 伊吹城〗での戦いから数日たった。崩壊した帝都瓦礫撤去や他地方の復旧作業がある中、俺と焔は帝に、幽閉されていた列島大陸の各国の姫達をそれぞれの国に帰してあげようと転移魔法で巡っていた。
〖列島大陸 雪国〗
「ありがとうございます! ありがとうございます! まさか焔将軍様自ら、我が娘を救って頂けるとは、本当にありがとうございます」
「では、白姫さんは無事、無傷で送らせて頂きましたので……私達はこれで」
「という事なんで、白姫さん。俺達はこれで」
「セ、セツナ様。今宵。雪国に上げての感謝の儀を行います……そして、その夜、私と……」
「なっ! そんな事。この私が許しませんよ。白姫さん」
「……だめだ。逃げよう。焔……転移魔法〖隣国 凛の国〗」シュンッ!
「ああ! セツナ様!! お待ちになって!」
〖凛の国〗
ガバッ!
「がは?! 力強よ!」
「私を救ってくれたんだ! 嫁ぎに来てくれるよな? セツナ殿」
「将軍様。今回は本当にありがとうます」
「……いえ、私は何も」
「そんじゃあ今から婚姻の儀式をやろうぜ! セツナ殿」
「……転移魔法〖水の国 蒼〗」シュンッ!
「……判断が早くなってますね」シュンッ!
〖水の国 蒼〗
「将軍様! この度は真にありがとうございます!」
「……セツナさん。私の運命の人」
「……転移魔法〖酒の国〗」シュンッ!
「……もうですか?」シュンッ!
〖縄の国〗
「おおおお!! 我が娘〖朱姫〗を助けて頂きありがとうございます。焔様」
「い、いえ!」
ガシッ!
「……中で見ていた。逃がさないから、私と付き合いなさい」
「……離せ。朱」
「やだ……」
「これ以上。フラグはエスフィールに殺されるんだよ。転移魔法〖帝都 伊吹〗」シュンッ!
「……魅了し過ぎだからですよ」シュンッ!
「……あっ! 逃げた!」
〖帝都 伊吹城跡〗
「ブリュンヒルデのシェイでこんなにシュガタになったのよ」
「ルシチャーシャンのせいでこうなったでしゅよ」
「おお~ ルシとヒルデは本当に中が良いのう。ヨシヨシ~」
「「仲良くにゃい! それと子供あちゃかいしないで~!」」
シュンッ!
「あー、疲れた……エスフィールと天使ッ子二人は仲良くやってるんだな」
シュンッ!
「……大移動でしたからね。それよりもどうするんですか? あんなに大勢に言い寄られて……刹那殿はこの列島大陸を再び、暗黒の動乱へと変える気なんですか? 浮気者」
「何で怒ってるんだよ……それに、そんな心配しなくても大丈夫だって。この列島大陸の〖神々の黄昏〗は倒したし。明日か明後日にはには魔法大陸に帰る予定だしな。あの猪突猛進の姫達が帝都に来た時には、俺は別の大陸の上さ……なあ、サーシャ」
「……ング?……何か呼んだ? 兄弟子?」
……サーシャの奴。支給された食事をリスの様に頬張ってるな。
「……いや、何でもない……それよりも焔。本当に俺達に付いて来るのか?……魔法大陸にさ」
「勿論です……そして、ユナさんが言っていた。『魔道船 ユピテル』に行き、刹那さんが造った〖転移魔法陣〗をこの列島大陸と魔法大陸まで繋げます」
「それで行き来できるのは、列島大陸の〖神ノ使徒〗が認めた者だけか」
「そうですね。むやみに魔法大陸に渡れる方々を増やすのも〖青龍〗様の逆鱗に触れると思いますので」
「……だな。今は〖ナラシ〗とやらで〖七原龍〗の人達も忙しく列島大陸を動き回っているが、あの気難しい〖青龍〗様の事だ。突然、海路の渡航を禁止するかもしれないしな……とういうわけでホレ。これを渡しとくよ」
俺はそう言って焔に特殊魔道具『写しみの虚像』を渡した。
「刹那さん。これは……」
「自身の瓜二つの姿を造り出せる。西方の魔法騎士が造った物だよ。俺達と魔法大陸に向かう前に、それでこっちに残しておく、焔のコピーを呼んでおいてくれ。俺はちょっと伊吹城の周りを見て回るからな」シュンッ!
「……自分のコピー?」
俺は彼女にそう伝えると、とある部屋へと転移した。
〖伊吹城 隠し部屋 宝物殿〗
シュンッ!
「……手ぶらで帰る程、俺は甘くないのだよ。列島大陸の諸君……さて、今回の報酬。報酬とっ!」
「……神成。お前……勝利後はいつもそんな事をしていたのか?」
「シュラララ! それが我が新しき主よ。鳴神、我に似て強欲なのだよ」
「……鳴神様に……大蛇? 何でここに?」
神人化状態の大蛇と鳴神様が宝物殿の扉の前に立っていた。
「シュラララ! 何でなどと。我の今の住みかはその〖宝物庫〗の酒蔵よ……ではな。鳴神。
全てが終わったら列島大陸へは戻るのでな……〖灰神楽〗にも。また、来ると伝えよ」
「ああ、此度の参戦感謝する。大蛇」
「シュラララ!! うむ。ではな。全てが終わった時、我が造りし神酒で祝おうぞ。戦友よ」シュンッ!
「ああ、友よ……そして、お前はこの会話の間に帝の宝を根こそぎ持っていくきなのか?」
「へ? いや、これは……帝都や火之神城の復興の金銭には触れてませんよ。帝や高位怪異達が持っていた魔道具を根こそぎ貰っていくだけですよ」
「……ハァー……それなら良い。それとな……」
ガチャガチャ……ドガンッ!
「あっ! ヤベ、変な鎧、倒しちまった。仕方ない場所は取るがこれも持って帰るか、後、昨日、回収した〖三明の剣〗も持ってかいらないとな」
「……それとな! 神成」
俺は目の前の宝の山に夢中で鳴神様の言葉が入って来ない。
「……はい? なんですか? 鳴神さ……ま」
俺が後ろを向いた瞬間。鳴神様は床に手を付き、土下座をしていた。
「真に此度の動乱では世話になった。列島大陸を代表して御礼を申す。貴殿が我が契約の御方で誠に良かった……感謝致す。我が友、神成殿」
「……鳴神様……そんな。神がそんな事、しないで下さい……貴方には昔からお世話になっているんですから、黒龍動乱期やエキドナ戦の時の様に……だから、おあいこなんですよ。鳴神様」
「おあいこ……か」
「ええ、だから。俺がまたピンチの時には助けて下さいよ。鳴神様……俺の大恩人にして、神気の師匠の鳴神様」
「……ハハハ……おあいこか。そうか。久しぶりにあったが、神成は本当に変わらんな。優しいまだだな……感謝する……」
「はい!」
「今宵は列島大陸全土で此度の動乱鎮圧の祝勝祭だ。楽しんでくれ、貴殿の為に開くようなものなのだからな。英雄殿 ハハハハハハ!!」
鳴神様はそう告げると大声を上げで笑っていた。




