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帝都動乱 終


〖帝都 郊外〗


「ゴホッ!!……まさか……帝様が倒されるなど……あり得ぬ。このワシを負かしたあのお方が」


………

……


(やあ、君が陸の怪異の王。〖大天狗〗君かい? 今日は折り入って君に話があってね)

(……貴殿はもしや。神話の時、西国を平定したオグナ殿か?)


「帝殿……いや、ヤマトタケル殿。ワシは……」


ドスッ!


「フフフ……そうね。貴方も後を追わないといけないわね。主の元へ。フフフ……」


ドスッ!

「……貴様もな。奇怪な女、貴様だけは倒しておかねば。今後の列島大陸(イザナギ)が荒れる原因になるのでな。共に来い」


「あら?……油断したわ。まさか私と相討ちにするなんて、貴方。案外凄いのね………ゴホッ……」


ドゴオオオオンン!!



〖下級区画 中級区画一帯〗


「〖七原龍〗様方の勝利だ!」「ギャオオオ!!」「ギシャアアア」「ルオオオオ!!」


「竜族は直ぐに人化し、帝都の瓦礫を片付け、復旧作業に移れ」

「郊外に隠れ住む生き残っている人族に伝令をかけろ。悪しき帝は死んだ。復旧作業に加わるべしと」



〖上級区画 上空〗


「………ガギグラベ?……そんな帝様からの魔力が途絶えた?……おでの身体……途絶えたら保てない……」


「なら、消えろ! 蓬莱術〖雷霆蓬莱〗」

「……勝ちましたでござるか。焔様。神成殿……風遁術〖風激走破〗」


スバンッ!!


「帝様……何でマゲタ?」ドゴオオトンン!!



〖神帝区画 大扉〗入口


「……勝負に勝って試合に負けた感じね」

「まさか私達二人の攻撃にずっと耐えれるなんて思いませんでした……天邪鬼さん。どうしてそこまで」


「恩義の為だった……だかそれもここまでの様だな。じゃあな。俺はこれ以上、俗世なんぞと関わりたくねえんだ。閻魔様の元へと帰らせてもらうぞ。あばよ……(たく。帝様は結局負けたのか。一人でよくあんだけの人数相手にしたもんだぜ。アンタ、お疲れさん)」ズズズ………


「……清々しい顔で消えていくのね」

「凄い粘り強い方でした」



〖神帝区画 帝守閣〗


「私の方が活躍したわ」


「いいえ。私です」


「何を言っているのかしら? 私よ。脳筋の戦乙女さん」


「貴女こそ何を言っているのですか? 堕天使さん。頭以外に輪っかのリングまで可笑しくなっているのでは?」


「は?」

「はい?」


 ……ルシファーとブリュンヒルデの天使二人。ヤマトタケルを看取った後、いきなり出てきてケンカをし始めた。ケンカする程仲が良いというが、本当に仲が良いんだな。


「それ」カチャ!

「え?」

「ほれ」カチャ!

「な、何を?!」


ボンッ!

「何ちゅるの?」

「こりぇは何でしゅ?」


 俺は彼女達にある特殊な腕輪の魔道具を二人に取り付けた。そして、ルシファーとブリュンヒルデは幼女化した。


「〖弱気の腕輪〗だ。それは天使族や悪魔族を強制的に弱体化させる神代の魔道具だよ。本来の姿でケンカされると厄介だからな。だから、その姿で普段は過ごしていてくれ。ほら、やるならあっちの隅っこに行った行った……エスフィール。来てくれたか、幼女大好きだろう。世話を頼む」


「放ちなちゃい!」

「何でしゅか? このしゅがたは?」


「む? 何じゃ? 急いで来てやったと言うのに?………な、何じゃ? その幼女の天使達は……任せよ。幼女は大好きじゃ」


ガシッ!

「放ちなしゃい」「ち、チカリャガ強いでしゅ!」


 突然、現れたエスフィールに丸投げしてしまったが……あの様子なら何の問題もなさそうだな。


「刹那さん……帝殿は……」

「ああ、鵺様に看取られて逝ったよ……それと彼女とな」


シャランッ!


「この鈴音は…(りん)か?」

(うん……最後にタケル様の暴走を止めたかったから、鵺。タケル様を止めてくれて……これで私も追いかけられるから。ありがとう……バイバイ)


シャランッ!……トスッ!


「おっと! 何で曼陀羅寺で別れた筈の(スズ)がここに?」


 俺は突然、現れた鈴を咄嗟に受け止めた。危うく床に倒れそうだったからだ。


「……そうかい。最後にタケルの見送りをか……何だよ。結局、お前は孤高の存在じゃねえじゃねえかよ。ちゃんと俺と鈴って言う臣下がいたんだぜ。タケルよう……」


 ……鵺様はそう告げると、再び、大粒の涙を流した。


「……刹那殿。鵺殿は……それに九条殿は何処へ? まさか倒されてしまったのですか、」

「今はそっとしておいてあげよう。九条先生は……彼方(あちら)側に帰ったよ。今後の事を俺達に託してな」

「帰ったですか……そうですか……最後にお礼を言いたかったのですが」


 焔はそう告げると伊吹城の大空を静かに見上げていた。



〖帝都 天空〗


「どうやら全て終わった様だね」


「シュラララ! だな……」


「大蛇……自分は……こっちに」


「残るのか? 十数年間もの間。守り続けた存在たる、新しき我の主を残して。〖灰神楽〗」


「………うん。あの子はもう。過保護に護ってあげる必要がないくらい、強くなったからね……だから自分は〖神地 緋龍〗と焔将軍を支える為に魔法世界(アリーナ)に残るよ。だから、今後が君が彼を……」


「ああ……護り、支えよう。貴様がやってきた分までな」


「……うん。感謝するよ。親友の八岐大蛇殿」


「シュラララ! うむ」



「なんだい? また、二人仲良く。語り合ってあるのかい?」


「嫉妬ですか? 樹龍……昔から仲が良いですからね。それよりも私は北の雪国に戻り、荒らされた地を再生していきます」


「そうなら、僕は樹海を……」


「……私は海流を」


「そうか。ならばその間の建物等の復旧は我がやっておこう。〖火之神城下〗〖曼陀羅寺〗〖黒龍の巣〗〖神地 鳴神〗〖伊吹の都〗修復する地はかなりあるからな」


「「「感謝を!!!」」」シュンッ!


「〖樹龍〗〖月詠〗〖青龍〗は列島大陸(イザナギ)の〖ナラシ〗へ向かったが、〖天照(あまてらす)〗はどうする? 少し身体を休めるか? 部下に部屋を用意させよう」


「はい……その後は火之神城へと向かいたいと思います……鳴神様」


「ん? 何だ?」


「私、彼等。〖神ノ使徒〗が本当に勝てるとは思いませんでしたの……全滅するだろうと思っておりました」


「……そうか。だが我と契約した神成は勝利してくれた。この列島大陸(イザナギ)の動乱を聞きつけ駆けつけてくれた。それが今回の勝敗の明暗になったのだろう。兎に角もだ……我々は勝利し生き延びた。今はそれを喜び、明るい未来を考えようぞ」


「……鳴神様……ええ、そう致します。動乱は終わったのですものね……焔さんと合流しましょう」

「ああ……下へ向かうとしよう」


 黄龍と虹龍は朝日昇る中、そう語らい合い。伊吹城へと降りて行った。

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