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乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.15 片目の幻術


 数年前 黒龍動乱期〖神地 青龍 竜宮城〗


「何者のでござるか? もしや最近、各地で見かける放浪者か?」

「別大陸の方ですね? 何故、こんな動乱期の時期に本島などを迷っているのですか?」


「……蓬莱様、鵺様。だから言ったんですよ。ここには夜に来ましょうって。昼だと絶対にこういう神聖な場所には位の高い方々が来るって言ったじゃないですか」


「……いや。でもよう。コイツらって……なあ、鵺殿」

「……ああ、逆に会えて良かったんじゃないか?」


「いや、俺は〖青龍〗様に頼んで暗黒大陸への海路横断の許可が下りたら列島大陸(イザナギ)から去るつもりなんですけどね……そうもいかないのか」


「焔様。こやつ。もしや黒龍の手先では?」

「……成る程。〖神地 青龍〗を落とす為の刺客ですか。では覚悟して下さい。刺客さん」


「……誰が刺客だよ……それに俺に刃物を向けたな。それならやられても文句は言えないよな?」


 その頃の俺は全盛期の力だった為、建宮と焔を完膚なきまでに叩きのめした。


「がはぁ?……刺客がこれ程強いとは……」

「くっ!……私は〖神ノ使徒〗なのに」


「〖神ノ使徒〗……君が?……ちょっとあの空き部屋に一緒に来てもらうぞ」


「は?……ちょっと! 何をするのですか?」

「焔様!」


「君を色々と調べる。なーに、心配するな。色々と調べるだけで変な事にはならないさ。俺は少女趣味はない年上好きだからな」


「は、離しなさい! ちょ、ちょっと! 待ちなさい!……あ、ああ、ああ……ああああ!!」

「おい! あんまり動くなよ。〖印〗があるか探せないだろう」


「焔様ー! くっ! 中で何が行われているでござる!」




数時間後。


バチーンッ!


「貴方は最低です! 変態!……私の大事な場所にあんなものを貼るなんて、最低です!」

「焔様の着物があれ程に乱れて……(みだ)らな」

「コイツ。スケベだぜ。鵺殿」

「ああ、変態だな。この忍者」


バチーンッ!


「おー、痛……忍者の建宮さんに列島大陸(イザナギ)を治める焔将軍ねえ……西の地の最果てで暴れる〖黒龍〗を討伐ね。そうか頑張ってくれ。俺は魔法大陸(エウロペ)に帰る……」

チャキンッ!


「私の裸……見ましたよね? それに結局あんな事をしましたよね?……責任を取りなさい。そうですね。腕っぷしは確かなので、黒龍討伐に力を貸して下さい」

「……暴れるから棒で抑えただけだろう。それに俺は今から帰……」

チャキンッ……ツゥー……


「ヒィ! 首筋から血、血がたれた!……わ、分かったよ。手伝う。手伝ってやるよ。黒龍討伐ね。手伝うからその良く切れそうな刀を鞘に納めてくれよ!」




〖黒龍動乱期〗終了後


〖黒龍の巣〗朝日登り時


「……終わったな。まぁ、長い旅で色々とあったけど楽しかったよ。焔……君と一緒に旅が出来て良かった。ありがとう」


「刹那殿……(い、言わなくては……このままこの列島大陸(イザナギ)に残り、私を支え下さいと。そして、そのまま私と……)……あ、あの、私と共にこのまま……」


「じゃあ、俺は魔法大陸(エウロペ)に帰るはあっちでやらないといけないことも沢山あるし、元の世界に帰らないと行けないしさ。どうしてももう一度会いたい人が居るんだよ」


「一緒……に……え? 会いたい人ですか?」


「ああ、だから焔。悪いがここでお別れだな。建宮とか皆にはこの手紙を渡しておいてくれ、お礼の言葉と物が入ってるからさ」


「は、はい……分かりました……てっ! 刹那さんの身体が粒子になって消えていく?」


「転移の局地粒子だな。これで先ずは西側に行けるだけ行って、その後は連続の転移で西の最果て〖魔法大陸(エウロペ)〗を目指す……じゃあな。焔。君達との旅、楽しかったぜ」シュンッ!


「あっ! 待って下さい。まだ私、貴方に伝えてない……事が……行っちゃいました……か」


数ヵ月前の〖火之神城〗


「そんな? 建宮さんの意識と身体を奪ったですか? それに〖(アシヤ)〗さんが帝側の刺客?」


「短い間でしたかお世話になりましたぞ。将軍様!」


「ハハハ。バカな子だね。まさか側近が手玉に取られてる事も知らずに、本城を開けるなんて……偽の情報で君が黒龍の地に行っている間に〖都市 天照(あまてらす)〗は瓦礫の山にさせてもらったよ……では貰おうとしようかな。君が治めるこの西の地をさ」




 最高の出会いを経験して、その後に最低の経験をした。運命の人に出会えたと思った。そして、最低の経験で絶望し、私は敗走。命からがら曼陀羅寺の岩戸の扉の奥へと逃げ込んだ。


 追ってきたのは最低の経験を与えてくれた〖帝〗。そして、そんな絶望的な救ってくれたのは最高の出会いを経験させてくれた。〖刹那〗さんだった。彼は海を超えて再び、この列島大陸(イザナギ)の危機に駆けつけてくれたんだ。


 私はそれだけで嬉しかった。嬉しかったけど彼と力の差に再び見せつけられて動揺もしていた。同じ〖神ノ使徒〗なのに何か違う。強さも、心のあり方も、敵もそれを悟り私に言うのは〖最弱〗……刹那さんには〖最良〗……分かっている。この私では〖神ノ使徒〗などと言う決戦の武器と不足なのも、でもやるしかない。


 演じるしかない。演じて今、目の前の列島大陸(イザナギ)を動乱に陥れている。敵を倒し、列島大陸(イザナギ)に再び平和を取り戻さないといけない。刹那さんも見ている。あの奇怪な服を着た方からも癒してもらった。では今、やるべき事は目の前の敵(帝)を(ほふ)る事のみに全神経、全集中を注ぐ事です。


〖神帝区画 伊吹城周辺〗


「〖最弱の神ノ使徒〗が単騎で【皇帝】の相手かい。笑わせるないでくれるかい? 力も全盛期の寸前を出しているんだ。君に勝てる道理なんてないんだよ」


「……そんな挑発には乗りません。私は今、出来る力で貴方を追い詰め倒せれば良いんです。その為に今は全力で貴方と戦います! 不知火神術〖火焔山〗」


 地面が割れ、幾つもの火ノ山が出現し、帝に向け(おお)い被さっていく。


「……攻撃魔法に意志がある? この気配は……〖緋龍 灰神楽〗かい?」


(……答える義務がないね。焔君。遠距離攻撃に切り替えるんだ。そろそろ眼を使って来ると思うからね)


「(はい。緋龍様)……不知火神術〖遠火山〗」


「僕の質問には応えないのかい? 〖緋龍〗……むざむざ自身の〖神地〗を奪われて、何も思わないのかい? 漿神(すいじん)魔法〖白彗湖〗」


 地面の火ノ山がまた割れる。そして、その割れた中から噴水の様に大水が噴き出して来た。


「緋龍様の〖神秘〗と〖神気〗を帯びた火が消火されるなんて……〖火焔弾〗」


 数万を越える火球が一斉に帝に降り注ぐ。


「この魔力量……あの〖最弱の神ノ使徒〗が扱えるんだ……まさか魔力パスを繋いだのかい? 〖神ノ使徒〗同士で」


 気づくのが遅すぎです。私は刹那さんよりも魔力総量が劣る。それならば刹那さんとの魔力パスを開通させてしまい、刹那さんの魔力を私に流してもらえれば……


「高火力の攻撃も可能になるのです。まあ、それもこれも、あの刹那さんのお知り合いの〖九条〗と言う方の秘術のおかげですが……〖焔切り〗」


 私は帝の背中に〖緋龍 灰神楽〗様の刀身を振り下ろした。


ドスッ!


「ガアアアァァ!! これは……〖神気〗そのものを僕に直接、叩き込むのかい。真神! 白鶴!……くっ! 来ないか……あの〖玉藻の前〗め。余計な事ばかりしてくれるよ。(くそッ! 本来の作戦なら僕、鈴鹿、真神、白鶴、玉藻の前でこの二人を囲み。〖神眼〗でどちらかを操る予定だったんだ)……ん? 操る?……ハハハ。そうだよ。君を操り二体二にもっていけば、あの二人と一対一で殺り合えるじゃないか。支配させてもらうよ。君の身体。〖束縛眼〗」


「は?……貴方は何を?!……」ドサッ!



〖不知火 焔 精神世界〗


「ハハハ! これで君は僕の支配下だ。これで彼等と二体二で殺り合え……」


シャランッ……シャランッ……


「……鈴の音? いったいどこから?」


〖神帝区画 伊吹城周辺〗


「この時を待っていました。観勒(みろく)様の仇……」

(セイレイの身体を(もえあそ)んだ怨み)


「(ここで晴らぜず、どこで晴らす?……貰いましょう。貴方の両目の〖神眼〗の力。天上へと還す故)」

シャランッ!……シャランッ……!


シュンッ!


再び〖不知火 焔 精神世界〗


「……これはなんだい? 僕の目の視力が……目の力が低下していく?……いや見えなくなっていく?」


「帝殿。列島大陸(イザナギ)中から怨みを買いすぎましたね。そして、出ていって下さい! 私のこの真の心の中から。〖神気・炎〗……〖不知火〗」


スパンッ!!


「ゴガァ?!……精神世界で?……神気を使う?……まさかこれが列島大陸(イザナギ)の眷属の力なのかい?」シュンッ!


〖神帝区画 伊吹城中庭〗


ドサッ!

「はぁーはぁー……はぁー……両眼……良くは見えないが……辛うじ見え」


ドスッ! ドスッ!


「ガアアアァァ!! 片目が……眼、眼を刺された?」


「(仇は取らせて頂きました。そして、眼の力も……貴方が負ける事を心から呪詛として願います。偽物殿……それでは)」シュンッ!


「……くそッ! 誰だいったい。僕の〖神眼〗が失われた?……それだけじゃない。炎の神気で身体が内側から焼かれ始めている。あの〖最弱〗……良くも」


「ほう。ならば、先程の身体の乗っ取りはもう出来んのか。好都合だ。畳み掛けるぞ。神成! 妖狐術〖八尾の彗占〗」


「……了解です。天雷魔法〖雲雷(うんらい)〗」


 九条殿の手から透明な水が出たかと思うと、それは雷を帯びて帝殿へと降り注がれた。


「君達……まさか。真神と白鶴を倒したのか?……ギャアアアア!!」


「焔! 畳み掛けろ!」


「はいっ!刹那的さん……神代・回帰……〖日輪切り〗」


スパンッ!!


「があぁ?……そんな? 【皇帝】の僕がここまで殺られるのかい?……くそッ……」ドサッ!


 帝殿はそう告げると意識を失い、地面へと倒れたのでした。



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