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乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.14 妖狐と真神と白鶴と


〖神帝区画・摩天楼 廃墟地〗


光和天(わこうてん)流〖流転一艘〗」

「不知火神術〖火転一閃〗」


「おいおい! アイツら。いきなり戦闘を再開しだしたぞ」

「あの炎の娘からもう大丈夫だ。それよりも貴様はあの白鳥の方を早く排除しろ。私は神犬をやる」


「九条先生。アンタは、アンタで、何でスーツなんだよ。魔法世界(アリーナ)とミスマッチ過ぎだろう」


「場所はここの近くに移動させてやる。勝ってこい。そして、合流後、あれの討伐を始めるぞ。妲己傾術〖都落〗」


「うお?! これは簡易転移か?」シュンッ!


「ああ……太古のな」シュンッ!



〖神帝区画 天体棟〗


「ルオオオオ! 貴様、〖玉藻の前〗。ここで裏切るとは思わなんだ」


「知るか。私は教え子を守る為に戦うだけだ。しかし、主人から離した瞬間、話し出すとは……随分とあの偽物が怖いようだな。神犬」


「……黙れ! この裏切りの妖狐が。噛み砕いてやるわ。真神神術〖神速〗」


 真神は私に向かって真っ直ぐに走り出して来た。何の工夫もなき動きに欠伸(あくび)が出るな。〖玉藻の前〗か……そんな時代よりも遥かに悠久を生きているんだがな。


「貴様と私では格がそもそも違うんだがな。スゥー……妖狐術〖四尾の砕き〗」


ドスッ!……ドスッドスッドスッドスッ!


「ガアアアァァ!! 何だ? 身体に黒き刃物が幾重にも刺さっている? 我は神速で走っていたのだぞ。なのに何故、刃物に捕らえられる」


「傾国時代の力でな。あの時は今と違い、金も時間もあり、道術等を取得してな。たまに日銭を稼ぐ時に使っているんだ。勿論、日本や魔法世界(アリーナ)にはない技術でな。貴様の様な浅い歴史の奴、相手にはとても有効な技なんだよ……スゥー……ハァー」


 私はスーツのポケットに入れていた電子煙草を吸いながら、一服にふける事にした。


「〖玉藻の前〗……貴様。この我との戦いで幻術を使うとは、卑怯者が。真神神術〖神噛〗」


「あ?!……卑怯者は貴様等。魔法世界(アリーナ)側だろう。別世界のあんな幼い子供を拉致し、異世界で戦わせるなど。それも私の教え子にそれを強制するとはな! 妖狐術〖五尾の血醒〗」


「か、身体が熱い? ま、真神神術〖神爪〗」


「どうした? 身体に病が周り初めて焦り始めたか? 妖狐術〖六尾の鮮血〗」


 五尾で病にいたらせ、六尾で体の全身から血を噴き出させる。


「ガアアアァァ?!!……こんな……我はヤマトタケル様の神獣なのだぞ」


「……何度も言わせるな。わたしと貴様では年季が違うんだ……そろそろ眠れ。真神……妖狐術〖七尾の心血〗」


 そして、七尾は心の血を噴き出させる。


ザスンッ………シュウウウ!!


「……み、帝様……こやつは〖玉藻の前〗ではありません。こやつは……妲……」スパンッ!


「黙れ……それよりも古いわ。馬鹿者……〖神々の黄昏(ラグナログ)〗を相手にしているか。それにしても、この世界の奴等も馬鹿ばかりだな。私の教え子の中でもデキの良い神成なんぞ。異世界に呼び寄せるとは……最初は苦労したようだが。今ではこの世界の脅威になる存在か……フフフ。そのまま全てを組伏せ、頂点に立てみろ。神成」シュンッ!



〖神帝区画 水霊棟〗


「ピュルルル! こんな狭い場所に私を飛ばすなんて」


「お前、喋れるのかよ……それと周りは貯水池か……九条先生もなかなか頭がキレるんだよな。天雷魔法〖雨雷〗」


 ここいら一帯を巻き込む程の雷撃が、縦横無尽に走り回った。


「ピュルルル!! つっ! 白鳥神術〖白天〗」


 雷撃が舞う中を白鳥の奴は上手く避けている。


「……流石、神級の存在に使える神獣といったところか……なら……神気・雷〖十段雷号〗」


 聖打(セイント) 旋棍(トンファー)に神気・雷の力を加え、白鳥に一瞬で近付き、強烈な十撃を一斉に放った。


「焦げろ。白鳥……天雷魔法〖雷霆襲来〗」


「ビギガ……ビギャラララララ!!」


 ズドオオオンン!!!


 強力な天の雷撃が白鳥に直撃した。そして、その一撃によって白鳥は召天していった。


「……案外呆気なかった。いや、九条先生があの白鳥を転移させた時に呪いでもかけていたんだな……」シュンッ!


 俺はそう告げてその場を後にし、焔の元へと転移した。


カツン……カツン……カツン……


「凄い力……いや凄い呪いと言ったところかな。神獣を一撃葬(ほうむ)るかい。……【皇帝】君の神獣が相手にもならないとはね。隙があるなら暗殺しようとも考えていたんだけどね。このタイミングで【妲己】が現れるとは思わないじゃないか」


「どうしますか? やはり外の〖七原龍〗を殺して、この列島大陸(イザナギ)を【皇帝】と共に落としますか?」


「いやいや、そんなの無理でしょう。〖博士〗君。今、ここには〖七原龍〗の七神全てが揃って居るんだよ。殺されちゃうだけだよ……」


「では今回は何も暗躍はしないと」


「しないというよりも。もう出来ないでしょう。【皇帝】君にでもバレたら、僕らが殺されかねないしね……今回は大人しく帰るしかないでしょう。〖死の大地〗にさ。〖●●〗の彼もあの大戦のどさくさ紛れて戻れたみたいだしね……色々準備を始めようか最後の戦いのさ」ズズズ………


「ええ、早急に取りかかります。ロキ様」ズズズ………


 二つの凶悪の影が静かに列島大陸(イザナギ)を後にし、〖死の大地〗へと静かに帰って行くのだった……

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