乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.13 向かうは滅びか生存か
〖帝都郊外〗
「フフフ……楽しいわ。楽しい殺し合いだわ。アイリスの子もなんて素敵な相手を用意してくれたのかしらね。神代魔法(紫)〖闇払〗」
ドドドドドドドドッ!
「グウゥ……右手がイカれたわ……世界にはこんな化物が居るのか……相性の問題もあるが……(これはそもそも生き物という概念なのか?……あの小娘はいったい何を呼び寄せたのだ?……確かあの小娘が目の前のあれに話しかけた時)」
《死の大地とユグドラシル地方を彷徨う《闇精霊 リリス》……》
「死の大地……帝様が確か遥かに昔に言っていた始まりにして終わりを迎える地か。そして、あれはその地に住まう化物という事かーーーならば確実に屠らねばならん。残してもならん。目の前の厄災をこの列島大陸に。怪異奇術〖樹海厄祓〗……この和国樹海の主が貴様を殺す!」
「フフフ……やれるものならやってみなさい。天狗さん」
〖帝都 下級区画〗
「〖黒龍〗は中級区画で暴れているのか。〖月詠〗」
「〖緋龍〗なんて帝都の際の奥、摩天楼まで入って行ったわ。〖樹龍〗」
「僕らはどうしろと?」
「津々共に弱っている〖青龍〗〖鳴神〗〖天照〗は外法の準備、私達は内法の準備をする様にと〖緋龍〗から念話で指示が来たわね」
「外から三・二・二かい。敵の大将の帝……〖神々の黄昏〗の対象は?」
「魔法大陸と列島大陸の〖神ノ使徒〗が相手しているわ。私達では止めをさせないもの」
「……だね。君のお陰でだいたいの状況は把握できた。感謝しよう。では準備に取りかかろうか〖七原再輪〗を……」
「ええ、列島大陸の邪の浄化をね」
〖帝都 中級区画〗
「ギシャアア!」「シャアアア!」「シュルルル!」「キシャアア!」「シュララララ!」
「殺せ! 殺せ!」「竜共を!」「帝都を守れ!」「俺達、怪異の楽園を」「侵略者を追い出せ」
「……大蛇様。奴等、やっと化けの皮が剥がれてきました」
「溶け初めて本来の姿に戻りつつあります」
「「「「「「「「……笑えぬな。帝都〖伊吹〗は本来、東の地最大の人族の人口数十万を越える大都市であった。それがだ。逃げ惑う人族は余りにも少なすぎる。郊外に逃げ隠れしている者達を足しても数が、人の数が足りなすぎる。あの帝とか言う武神……この短期間で数十万人の人族を殺し、怪異の器にしたというのだ?」」」」」」」」
「どうされますか? 大蛇様」
「人族の捜索範囲を広げますか?」
「「「「「「「「それと包囲網もしけ。この帝都の〖怪異〗共は今宵で滅ぼす故な……今後、〖怪異〗共の分布は〖黒龍〗と〖鳴神〗の地にする為にもだ…………最早、神話も、神代も終わったのだ。〖神〗の時代……〖七原龍〗の時代は終わりだ。今後は人の時代よ。魔法世界は神から人類へと明け渡さなくてはならん」」」」」」」」
「「ハッ!」」
〖上級区画 上空〗
「ルオオオ!! よくも俺達の身体を!!」
「黙れ!! 怪異共! ここに住んでた奴等を何処にやりやがった!」
「蓬莱殿。落ち着くでござる。それに多分でござるが……あれがこの上級区画の元住人達でござるよ……」
〖神帝区画 大扉前〗
「ゼェ…ゼェ…ゼェ……俺は死なねえ。世話になったアンタらの為にも。良くしてもらった恩義は必ず返すぜ。閻魔様よう」
「どれだけ倒したかしら?」
「……何百回は……それからは数えていません」
「そう。凄いのね。列島大陸の〖怪異〗と言う人達は信念もある。仲間思いでもある。彼は凄いわね。敵ながら尊敬するわ」
「はい……私もです」
「早く勝てよ。帝様よう……あんたの最大の障害を止めてやってるだからよう」
〖神帝区画・摩天楼 廃墟地〗
「〖神地 天照〗で本体でもない僕に破れた子が今更、何の様だい? 悪いが君みたいな弱い子の相手をしている暇はないんだよ。目の前の強者の〖最良〗君の相手をしないといけなくてね」
「……あの時の私は貴方の策に踊らされ、徹底的に負けました。ですが今は違います。力も……信念も取り戻した。彼が戻って来てくれて側に居てくれる……だから今度は負けません。お覚悟下さい! ヤマトタケル殿」
「……君は……もう列島大陸に必要ない古い時代の存在なんだよ。新時代は直ぐそこに来ているんだ。だから邪魔するなよ! 不知火 焔将軍」
〖摩天楼 廃墟地〗に水と炎の柱が上がり、列島大陸の未来をかけた二度目の戦いが始まる。




