表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
770/867

乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.12 闇精霊のリリス


ユナ・エスフィール三歳


死の大地とユグドラシル地方の境目 〖緑闇の泉〗


パキッ!

「お母様。〖魔法族の里〗を出て三日が経ちましゅ……何で死の大地の近くまで向かうのですか?」


「討伐ですよ。ユナ……最近、ここ一帯で暴れている〖闇精霊 リリス〗の討伐ですよ」


「〖闇精霊 リリス〗……●●地方の無法者ですか」


「はい。里にも被害が出始めていますしね。〖死霊伯爵〗からの依頼でもありますからね」


「〖死霊伯爵〗?……それはどんなお方何でしゅ……」


(フフフ……それは私の事よ。魔法族のおチビさん)


パキッ……!


「出ましたか。闇精霊 リリス」

「この精霊がリリス?」


「フフフ……お久しぶりね。アイリス、その隣の娘は貴女の子供? 愛らしいわね」


「ありがとうございます。貴女と初めてここで出会ったのは、あの廃棄の旅から帰って来てここに降り立った時でしたね。あれから十数年もの時が経ちました……暴れ過ぎましたね。リリス。封印の時です」


「……暴れるも何も私はここ一帯をあれから護っているだけなのだけどね。まあ、良いわ。貴女が勝ったら大人しくなってあげるわよ……その後、ここがどうなるかは知らないけどね(ボソッ……)」


「お母様。あの闇精霊何か……」

「お話は後です。来ますよ。ユナ!」


「フフフ……世界の破滅の始まりね……」


ドゴオオオンン!!




「新たな敵か。面妖な姿と雰囲気を……先に潰すか。木遁術〖株木櫓岳(かぶきやがく)〗」


 上空に樹木の幹が絡み付く岩石が現れ、堕ちてくる。


「死の大地とユグドラシル地方を彷徨う〖闇精霊 リリス〗……突然、呼び出して申し訳ないが、目の前の赤鼻天狗を一緒に倒してくれ」

「一緒に倒す? アイリスの娘の貴女と?……フフフ……嫌よ」

「何?……何故じゃ? リリス」

「だって貴女と私はお友達じゃないもの。でも、護ってはあげるわ。貴女はアイリスの娘だものね……神代魔法(紫)〖影遠〗」


「……リリスを中心に紫色の影が広がっていく? なんじゃ、この神代魔法は? 幼少の頃と戦った時と全然、違うではないか」


「貴様が出現させておいて、その奇怪な者の正体も見定められんのか? 小娘。こんな得体の知れないものはこうして正面から叩き潰せば良いだけの事よ。〖土砂崩木〗」


 数百の岩石が帝都都市部から勢いをつけて落ちてくる。


「フフフ……無駄よ。無理ね……戦いには相性があるもの。そして、このアイリスの子は良く分かっているの。貴方と真っ正面からやり合えば、大ダメージを受けるとね。だからこの子は私を呼び出したの……〖沈闇〗」


「ぬ?……常闇か……成る程。特殊系の魔法か。西方の呪法は……広がる前に止める! 怪異奇術〖大天狗〗」


 リリスの神代魔法で辺り一帯が黒紫色の闇が広がっていく一方。赤鼻天狗は高層建物よりも大きく巨大化していく。


「ウオオオオオォォォ!! この帝都に降りかかる闇を降りはらん」


「あの赤鼻天狗が巨大に……」

「フフフ……その対応は正解。体格面積を増やせば、私の闇が届かない場所が出来るものね。姿に似合わず頭が良いのね。妖魔さん。神代魔法〖闇の大剣〗」


「笑止。ワシは神代から生き続ける〖大怪異〗。侵略者共に褒められる筋合いはないわ。木遁術〖樹海大剣〗」


 〖闇精霊 リリス〗と〖大天狗〗は摩天楼の上空へと上がっていく。


 そして、闇の沼が広がり、その広がりを赤鼻天狗は大木の大剣で切り裂いていく。


「フフフ……素敵……貴方、素晴らしい力を持っているのね。本当にあの子に呼ばれて良かったわ。でも、このまま私と貴方が戦い続ければ、帝都だったからしら? 更地になるわよ」


「ヌオラアア!!………ふんっ! ならば郊外に飛ばしてやろう……木遁術〖生命宝来〗」


「な?! 赤鼻天狗の口から閃光が避けよ。リリス!」


「……無理よ。私がこれを避けたら。貴女が傷付くもの。それはアイリスが悲しむから嫌……」


「吹き飛べ! 〖生命降誕〗」


ドガアァァン!!


 〖闇精霊 リリス〗に向けて魔力の閃光が放たれ、当たった。するとリリスの身体は帝都の外へと吹き飛ばされて行く。


「リリス!!」


「……小娘。あの異質な者に感謝しておくんだな。ワシの興味を貴様からあの異質な者へと変えた事に、でなければ貴様はワシに殺されていた……いや、貴様も奥の手は残って見ると見えるが。それを出した瞬間。ワシは貴様の頭を瞬時きに食いちぎっていただろうよ」


「……赤鼻天狗。貴様!!」


「そして、ここからの戦いは一切の邪魔をするなよ。久方ぶりの強者との戦い水を差せば、容赦なく殺す……ではな」


 赤鼻天狗はそう告げると帝都郊外へと飛び出して行った。


「……何なんじゃ。あの〖神仏〗は? 明らかに最初に対峙した者と中身が違うではないか」


 私は飛んでいく赤鼻天狗を見上げながら、そんな独り言を漏らした。



〖帝都郊外〗


ドガアァァン!!


「……これで障害物は消えたわ」


「……これで真に帝様の驚異になりうる者を消せるか」


「……行くわ。神代魔法(紫)〖闇沼〗」

「障害は取り除く。怪異奇術〖螺旋〗」


 この〖帝都郊外〗の戦いは数時間続く事になり、その後、大爆発が数回続いた後、〖闇精霊 リリス〗と〖大天狗〗の姿は何処にも見当たらなかったと〖七原龍〗の眷属達は口を揃えて証言したのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ